今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 氏家 無限 国立国際医療研究センター 国際感染症センター

監修: 大曲貴夫 国立国際医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2023/05/10
参考ガイドライン:
  1. 熱帯病治療薬研究班: 「寄生虫症薬物治療の手引き」2020年8月改訂版
  1. World Health Organization(WHO):Guidelines for the treatment of malaria(2022)
  1. Centers for Disease Control and Prevention(CDC): Treatment of Malaria: Guidelines for Clinicians (United States)
  1. Public Health England Advisory Committee on Malaria Prevention in UK Travellers: UK malaria treatment guidelines 2016
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. WHOのGuidelines for malaria(2022)は、主に流行地域での活用を目的としているが、日本を含む非流行地域からの渡航者に対する高原虫血症を伴う治療薬の選択などについてガイドラインに基づき更新した。
  1. 高原虫血症(過去に感染歴がない場合には≧2%)を伴う熱帯熱マラリアでは、アルテメテル・ルメファントリンを用いる。非重症例であってもアトバコン・プログアニル塩酸塩は用いるべきでない。
  1. また、以下について追記した。
  1. 抗マラリア薬として国内で使用できた塩酸キニーネは、2019年9月に販売中止となった。
  1. 流行地域での使用を目的としたマラリアワクチン(RTS,S/AS01)が開発され、複数の国で予防接種プログラムが開始されたことについて加筆した。ただし、当該ワクチンはマラリア流行地域での使用に限定されており、日本での承認や接種適応はない。

概要・推奨   

  1. 高齢者ではマラリアが重症化しやすく致命率が高い(推奨度2)
  1. サハラ砂漠以南では熱帯熱マラリアの罹患リスクが最も高い(推奨度2)
  1. 発熱や脾腫の身体所見、高ビリルビン血症や血小板低下の検査所見はマラリアを疑うために有用な所見である(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. マラリアは、マラリア原虫(Plasmodium spp.)を運ぶ雌のハマダラカ(Anopheles spp.)の吸血で感染する発熱性の疾患である。
 
マラリア原虫の生活環

ハマダラカが吸血することで体内に侵入する(スポロゾイト)。マラリア原虫はまず肝臓に感染し、潜伏期間を経て成長し(シゾント)、血液中に数千の娘細胞(メロゾイト)を放出する(マラリアが発症する)。赤血球に寄生した娘細胞(トロフォゾイト)は赤血球内で成長して破裂し、娘細胞の放出を繰り返す。これにより、赤血球のマラリア原虫寄生率が高くなり、重症化する。血液中のマラリア原虫の一部(ガメトサイト)は蚊に吸血されることで再び蚊に感染、蚊の中で成長して、蚊の刺咬により人に感染できる状態となる。

出典

Barnett, Elizabeth D. – Feigin and Cherry’s Textbook of Pediatric Infectious Diseases, 2899-2920, 2009
 
吸血するハマダラカ

マラリアを媒介するハマダラカは吸血時に臀部を上を向ける特徴がある。

出典

Richard L. Guerrant, David H. Walker, and Peter F. Weller: Tropical Infectious Diseases: Principles, Pathogens and Practice, Third Edition. Elsevier Inc, 2011; CHAPTER 96: 646-675
 
  1. 蚊を介して人と人の間で感染するマラリアは熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)、卵形マラリア原虫(P. ovale)の4種類がある。近年はこれに東南アジアのサルマラリア原虫(P. knowlesi)を加えて、5種類とすることもある。
 
赤血球に感染した熱帯熱マラリア原虫

マラリア原虫が感染した赤血球から破裂して複数のメロゾイトが放出される

出典

Richard L. Guerrant, David H. Walker, and Peter F. Weller: Tropical Infectious Diseases: Principles, Pathogens and Practice, Third Edition. Elsevier Inc, 2011; CHAPTER 96: 646-675
 
  1. 特に熱帯熱マラリアは発症後短期間で重症化しやすく、多臓器不全や死亡などの転帰をたどることがある。
  1. 熱帯熱マラリアの流行はサハラ砂漠以南の西アフリカ、ドミニカ共和国、ハイチで多く認める。
  1. 三日熱マラリアはメキシコ、中米、中東、北アフリカで多く認める。
  1. 熱帯熱マラリアと三日熱マラリアのどちらの流行も認める地域は、インド、インド亜大陸、南米、中米、東南アジア、オセアニア、パプアニューギニアなどである。
  1. 四日熱マラリアの流行は、まれではあるがほとんどの地域で認める(特に中央アフリカ、西アフリカ)。
  1. 卵形マラリアの流行は主に西アフリカで認める。
  1. 一般にマラリア流行国は社会経済状態の低い国に多い。
  1. WHOによる報告[1]によると2021年にマラリアは熱帯・亜熱帯地域の84カ国での流行を認め<図表>、2021年に推定で年間2億4700万人がマラリアに感染、61.9万人が死亡しているとされる。
  1. 人にも感染するサルマラリアの一種として注目されているP. knowlesiは、1965年にマレーシアで人への自然感染が報告されて以降、死亡例を含めて東南アジアでの感染報告が続き、米国、フランス、日本などへの輸入感染報告も認められる[2][3][4]
 
渡航者におけるマラリア罹患のリスク地域

マラリアの流行地域は熱帯地域に広がっているが、熱帯熱マラリア(上図)は特に西アフリカ、中央アフリカで感染のリスクが高い。三日熱マラリア(下図)

出典

Travel Medicine.Lalloo, David G.; Magill, et al. Published January 1, 2019. p.141, Fig. 14.3.
 
  1. 世界における死亡例の5歳未満の小児割合は2000年には87%を占めたが、2015年には76%まで減少し、その後の変化はない[1]
  1. 日本国内においても、かつて三日熱マラリアは土着の感染症であり、南西諸島では熱帯熱マラリアも認めた。
  1. 1900年頃には年間1,000人を超えるマラリアによる死亡数が報告されたが、大正期よりマラリア症例は減少した[5]
  1. 終戦後に帰還兵による国内のマラリア症例数が増加したものの、その後国内発生数は急速に減少し、1962年以降にシナハマダラカを介した国内のマラリア伝播の報告はない[6]
  1. 2019年までの過去10年間では、国内では輸入マラリアとして年間37~77症例[7]が報告されているが、新型コロナウイルス感染症の流行による影響で2020年には21例、2021年には25例と減少した。2022年には海外渡航者数の増加に伴い31例の報告と再び増加傾向にある。
  1. 非流行地域の輸入マラリアによる致命率は、英国において1987~2006年までに報告された熱帯熱マラリアでは0.73%(184/25,054)とされる[8]
  1. 三日熱マラリア、卵形マラリアでは、急性期の感染治療の後、数カ月~数年以内(多くは3~45週間)[4]に肝細胞に潜伏する休眠原虫(ヒプノゾイト)による再発を認めることがある。
  1. マラリアの罹患を予防するためには、抗マラリア薬を用いた予防内服やDEET(ディート)やicaridin(イカリジン、別名:picaridin ピカリジン)などの忌避剤の使用が有効である。
  1. 2022年9月に、マラリアワクチン(RTS,S/AS01)がWHOから事前承認され、2022年12月には臨床第Ⅲ相パイロット試験が実施されたマラウィで予防接種プログラムが開始された。ただし、当該ワクチンはマラリア流行地域での使用に限定されており、日本での承認や接種適応はない。
問診・診察のポイント  
  1. 現在、マラリアは国内での感染を認めず、発熱患者に対して渡航歴を聴取することが診断に重要である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
氏家 無限 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:大曲貴夫 : 特に申告事項無し[2024年]

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