今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 横田恭子 香川大学 医学部附属病院 感染症教育センター

監修: 大曲貴夫 国立国際医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2023/01/11
参考ガイドライン:
  1. 日本結核・非結核性抗酸菌症学会(旧:日本結核病学会):結核診療ガイド 2018年 
  1. Official American Thoracic Society/Centers for Disease Control and Prevention/Infectious Diseases Society of America Clinical Practice Guidelines: Treatment of Drug-Susceptible Tuberculosis. Clinical Infectious Diseases: 2016;63(7):e147–95
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、加筆・修正した。

概要・推奨   

  1. 画像検査のみでは腸結核の診断は困難であるが、他の腹腔内疾患との鑑別、内視鏡の適応、緊急性のある病態の有無の評価のため、状況によっては行う価値があると考えられる(推奨度2)
  1. 大腸内視鏡検査は腸結核の診断に有用である。大腸内視鏡検査は、腸結核が疑われる患者では、他の疾患との鑑別も含め、施行が可能な全症例で行われることが推奨される(推奨度1)

病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 腸結核は、比較的まれな肺外結核の1つである。近年、HIV感染症や多剤耐性結核との関連で再度、問題となりつつある。感染経路は血行性播腫、近隣臓器からの波及、結核菌自体の嚥下に伴うものと考えられている。
  1. 比較的まれな疾患であるが、結核に対するリスク(結核の既往、結核患者への曝露、免疫抑制状態、悪性疾患など)のある患者が長期間持続する腹部症状を訴えた場合には、積極的に疑い、精査を施行する必要がある。
  1. 鑑別として、クローン病などの自己免疫疾患や他の感染性疾患(アメーバ症)および悪性疾患が挙げられる。これらを除外して診断を確定させるためにも、下部内視鏡が施行可能な患者では内視鏡検査を行う。
  1. 15-25%の患者で肺結核を合併するといわれている呼吸器症状にも注意し、肺の画像所見も参考とする。
  1. 診断が確定した場合には、抗結核薬にて治療を開始する。
  1. また診断が確定しない場合にも、臨床上、強く腸結核が疑われる場合には、診断的治療を開始する。通常、2-4週で臨床的な改善が見られる。4-8週間以内に反応がみられない場合には、さらなる精査を試験開腹も含めて検討する。
問診・診察のポイント  
  1. 診察の際には、通常の診察に加え、結核を示唆する所見がないか注意する。慢性の消耗性疾患であるので、貧血、るいそうの有無を確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
横田恭子 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:大曲貴夫 : 特に申告事項無し[2024年]

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