今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 清野精彦(せいの よしひこ) 日本医科大学 名誉教授/医療法人社団菱秀会 名誉院長・顧問

監修: 代田浩之 順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学

著者校正済:2022/08/03
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本循環器学会/日本心不全学会:急性・慢性心不全診療ガイドライン 2017年改訂版
  1. 日本循環器学会:急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)
  1. 日本循環器学会:2020年 JCSガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法
  1. 日本循環器学会/日本心不全学会:2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療
  1. 日本循環器学会:2022年JCSガイドラインフォーカスアップデート版 安定冠動脈疾患の診断と治療
  1. 2013 ESC guidelines on the management of stable coronary artery disease
  1. 2014 ESC guidelines for revascularization
  1. 2016 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure
  1. 2018 ESC/EACTS Guidelines on myocardial revascularization
  1. 2021 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure
 
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. HFrEFの基本治療薬は{ACE/ARB+β遮断薬+MRA}から{ARNI+β遮断薬+MRA+SGLT-2阻害薬}、それでも洞調律HR75以上の場合イバブラジン併用を考慮するとの改訂が提示された。
  1. ARNIのHFpEFや虚血性心不全に対する有用性を検証する臨床試験が進行中である。
  1. ISCHEMIA試験(N Engl J Med 2020:382:1395-1407、Circulation 2020;142;1725-1735)で、中等度の LVEF低下(35~ 45%)と心不全既往を有する群を対象にしたサブ解析により、保存的治療群よりも侵襲的治療群でイベント非発生生存率が良好な傾向が示された。

概要・推奨   

  1. 冠動脈疾患を合併した心不全の薬物療法(ACE阻害薬ARB、β遮断薬MRAの推奨とエビデンスを表示。(表
  1. フォーカスアップデート版では効果不十分の場合にはACE阻害薬/ARBをARNIに切り替えを推奨(レベルI)。
  1. 高強度、低強度スタチン治療群、非スタチン治療群の順に、LDL-C値にかかわらず心血管イベント(全死亡・心不全による入院)が有意に低下する
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 虚血性心不全としては、以下のように急性と慢性に識別して診療するが、ここでは慢性虚血性心不全について取り上げる。
 
虚血に伴う心不全の諸病態

急性と慢性に識別される。急性冠症候群の10~20%に心不全合併、急性心筋梗塞ではポンプ失調として合併する。一方、急性心不全の50~70%で冠動脈疾患を合併している。本稿では慢性の場合について取り上げている。いわゆる虚血性心筋症の診断、治療(薬物療法または外科治療)が臨床的に問題とされる。収縮能が保持された心不全(HFpEF)の頻度が高いことにも注意したい。
 
AHFS:Acute Heart Failure Syndrome

出典

著者提供
 
急性虚血性心不全:
  1. 急性冠症候群( ST上昇型心筋梗塞 、 非ST上昇型心筋梗塞 の項を参照のこと)
 
急性冠症候群の病態と心筋傷害の進展

出典

清野精彦:心筋傷害と心筋/血管マーカー―心筋梗塞再定義(ESC/ACC)に基づく迅速生化学診断. メジカルビュー社, 2002年
 
  1. 急性心筋梗塞に伴うポンプ失調(acute myocardial infarction[AMI]with pump failure)
 
ST上昇型心筋梗塞におけるポンプ失調

出典

清野精彦:これでわかる心電図の読み方と心臓病. 南江堂, 1998年第1刷~2016年第10刷
 
  1. 二次性(動的)僧帽弁逆流(secondary :dynamic mitral regurgitation)
  1. 気絶心筋(stunned myocardium)
 
気絶心筋

閉塞冠動脈を再開通したにもかかわらず心室の壁運動障害が遷延して、回復まで数日を要する病態を気絶心筋という。急性心筋梗塞血行再建術のみならず冠動脈攣縮後、PCI後などにも観察される。その機序を図中に列記する。
 
参考文献:
Kloner RA, Przyklenk K, Patel B.:Altered myocardial states. The stunned and hibernating myocardium. Am J Med.1989 Jan 16;86(1A):14-22. Review. PMID:2644829

出典

著者提供
 
  1. 再灌流障害(reperfusion injury)
 
慢性虚血性心不全:
  1. 心室リモデリングを伴った陳旧性心筋梗塞(previous myocardial infarction with remodeling)
 
急性心筋梗塞後の心室リモデリング

梗塞サイズ(大ほど著明)、左室負荷(急性期高血圧、慢性的容量負荷で著明)
梗塞責任動脈の開存性(閉塞、高度狭窄で大)、梗塞部位(前壁、心尖部で著明)
a:初回梗塞
b:梗塞部位のexpansion(数時間から数日)
c:全体的なモデリング(数日から数カ月)

出典

James D. Flaherty, Robert O. Bonow et al.:19.Heart Failure as a Consequence of Ischemic Heart Disease, Fig. 19.3. Heart Failure: A Companion to Braunwald's Heart Disease, 4th Edition. Elsevier, 2020(改変あり)
 
  1. 冬眠心筋(myocardial hibernation)
 
冬眠心筋

安定狭心症などで心筋梗塞がないにもかかわらず慢性的な虚血により収縮障害を生じている病態。その機序について図中に列記する。
 
参考文献:
  1. Rahimtoola SH.:Coronary bypass surgery for chronic angina--1981. A perspective. Circulation. 1982 Feb;65(2):225-41. Review. PMID:7032746

出典

著者提供
 
  1. いわゆる虚血性心筋症(so called ischemic cardiomyopathy)
  1. 収縮能が保持された心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)( 心不全 拡張能障害 の項を参照のこと)
問診・診察のポイント  
慢性虚血性心不全について:
  1. 冠動脈疾患の危険因子をチェックする(例:高血圧、脂質異常症、喫煙、糖尿病、メタボリックシンドローム、家族歴など)。慢性腎臓病(CKD)も冠動脈疾患進行の危険因子なので留意したい。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
清野精彦(せいの よしひこ) : 特に申告事項無し[2025年]
監修:代田浩之 : 特に申告事項無し[2025年]

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