今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 村島美穂 名古屋市立大学腎臓内科学講座

監修: 大滝純司 東京医科大学 医学教育学分野 総合診療科

著者校正/監修レビュー済:2023/05/24
参考ガイドライン:
  1. 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等製作研究事業「間脳下垂体機能障害に関する調査研究」班、日本内分泌学会間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)
  1. SOCIETY FOR ENDOCRINOLOGY CLINICAL GUIDANCE: Inpatient management of cranial diabetes insipidus
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 高張食塩水負荷試験の判定基準について、日本で新たに利用可能となった、AVP測定のRIA kit(YAMASA Shoyu Corporation, Choshi, Japan)での測定値に基づいた判定基準の図に変更した。
  1. 中枢性尿崩症に対して、経口DDAVP製剤であるミニリンメルトが保険適応になった。用法用量や、副作用情報などについて追記を行った。
  1. Society for Endocrinologyの中枢性尿崩症患者の入院中の治療についてのclinical guidanceの内容について追記を行った。

概要・推奨   

  1. 尿崩症と心因性多飲の鑑別のためには、高張食塩水負荷試験あるいは水制限試験を行い、そのあと、バソプレシン負荷試験にて中枢性および腎性の尿崩症の鑑別を行う。水制限試験は尿崩症患者に行うと著しい脱水の危険があるため、通常、高張食塩水負荷試験が推奨されている(推奨度2)
  1. 中枢性尿崩症の治療においては、脱水を避けるために十分な水分をとることが重要である。また、塩分制限と蛋白制限が推奨されている(推奨度2)
  1. 腎性尿崩症の治療として、塩分制限と蛋白制限が推奨されている(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 1日尿量3L以上を一般的に多尿と呼び、飲水量が多くて多尿を来す状態を多飲としている。したがって、1日何L以上飲めば多飲、という定義はない[1][2]
 
  1. 多飲は精神疾患患者で多くみられる。過去の報告によれば、精神科長期入院病棟での多飲の頻度は3~21%であると報告がある。
  1. 多飲は精神疾患患者で多くみられる。
  1. ある総説では、1979年から1992年に行われた9つの疫学研究から、精神科長期入院病棟での多飲の頻度は3~17%であると報告しているが[3]、これらの疫学研究は、カルテのレビューや病棟スタッフへのアンケートに基づいた頻度であり、実際の頻度を過少評価している可能性が高い。ある研究では多飲を日中の体重増加が4%以上であること、早朝尿が低張尿であるというより精度の高い基準で判断した[4]。この研究では精神科で長期入院を要する精神疾患患者61人を対象に多飲の頻度を調査した。43%が精神分裂病、12%が躁うつ病であった。多飲は13/61(21%)の患者でみられ、特に精神分裂病患者では8/32(25%)と割合が高かった。低Na血症は7/61(11%)の患者でみられた。
  1. 心因性多飲は精神疾患患者では特に多くみられる。
問診・診察のポイント  
  1. 多飲を来す疾患、病態の代表例は以下の通りであり、それぞれの可能性をふまえて問診を行う。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
村島美穂 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:大滝純司 : 特に申告事項無し[2025年]

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