今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 作田学 一般社団法人日本禁煙学会理事長

監修: 庄司進一 筑波大学

著者校正/監修レビュー済:2021/08/11
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 「禁煙治療のための標準手順書 第8版」に基づき、情報通信機器を用いた禁煙治療について加筆した。
  1. 「医療用禁煙補助薬欠品&品薄状況における外来禁煙治療の指針 令和3年改定版」について追記した。

概要・推奨   

  1. 禁煙治療には医師だけではなく、看護師が必要である。看護師が行う禁煙介入や多職種での禁煙支援の有効性からも、禁煙治療に看護師が関わることは禁煙治療の効果・効率性を上昇させる(推奨度1)
  1. 禁煙外来はAsk(喫煙状況の問診)、Advise(禁煙への誘導)、Assess(禁煙の評価)、Assist(禁煙の支援)、Arrange(禁煙の準備)の5Aが中心になる。
  1. 喫煙習慣をすぐにやめようとしない患者では、Relevance(関連性)、Risk(リスク)、Rewards(報酬)、Roadblock(障害)、Repetition(反復)の5Rの動機づけを試みる。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 平成29年度の厚生労働省国民栄養調査によると、成人男性29.4%、成人女性7.2%であり、日本人の平均喫煙率は17.7%だった。最も高い層は40台男性の40%で諸外国と比較すると成人男性の喫煙率はまだまだ高い。
  1. 日本人では喫煙をすると、健康寿命が4年短く、平均余命が4年短くなり、受動喫煙の害を周囲に及ぼす[1]
  1. 喫煙と関係のある疾患は、悪性腫瘍、心筋梗塞、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、糖尿病、胃・十二指腸潰瘍、慢性膵炎、慢性腎臓病、喘息・アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、不妊症、胎児・新生児異常、小児の精神発達障害、低出生体重児、乳幼児突然死症候群(SIDS)、中耳炎、認知症、精神疾患(うつ病)、歯周疾患など広範かつ高頻度である。
  1. 喫煙習慣の本質はニコチン依存症であり、TDSスコアについて質問すると、20歳代の喫煙者は69.7%がニコチン依存症とされた。そのうちニコチン依存症を自覚していたのは45.3%にすぎなかった。
  1. デンマーク人男性喫煙者を調査した結果では、非喫煙者の健康寿命は69歳、喫煙者は57歳、平均寿命は非喫煙者が77歳、喫煙者が70歳であった。いうなれば健康保険を使用する期間が非喫煙者の8年間に比べて喫煙者は13年間である。
  1. その他、受動喫煙によっても同様の疾患が起こるほか、化学物質過敏症になるとごく少量の受動喫煙でも発症することになる[1]
  1. 禁煙すればこれらの疾患にかかる危険性が減るうえ、味覚が鋭くなり、また自然の緑と花の香りがわかる、身体が臭くない、ストレスがなくなる、火を消したかどうかが気にならない、喫煙場所を探し回らなくてよい、経済的に楽になる、原稿を書き上げる時間が早くなる――などは皆が一様に言うことである。そのほか、タバコのポイ捨てやタバコの煙を撒き散らしていたことにはじめて気がつくのである。家族や周囲に対する迷惑、家計への負担、家を汚していたことにも気づく。むろん、不整脈、妙な咳、吐き気、喉の痛み、呼吸困難も自然に軽快していく。
  1. ファイザーによる20歳代の喫煙者1,000人に対する調査(2010年1月)では、タバコを吸い始めたきっかけは「友達に勧められた」(50.9%)、「ストレス解消になると思った」(30.2%)、「格好いいと思った」(23.5%)だった。8割以上の喫煙者が学校の授業でタバコの害を学んだ経験がある。喫煙者の7割以上が「タバコを吸い始めたとき、タバコの害を認識していた」。20歳代の喫煙者のうち、約半数が高校卒業までに喫煙を開始したと証言。
  1. 喫煙者の2人に1人がタバコを吸い始めたことを後悔したことがあり、禁煙に失敗した20歳代喫煙者は約7割で、そのうち6割以上が「また禁煙に挑戦したいと思っている」が、ニコチン依存症の20歳代喫煙者の7割がすぐには禁煙できないと思っている。
  1. 喫煙する男性の6割以上が、結婚相手には「タバコを吸わない女性」を選ぶ。
  1. 禁煙しようと思ったきっかけは第1位がタバコの値上げであり、タバコの価格が500円になったら約半数、1,000円になったら8割以上が禁煙するとしている。
病歴・診察のポイント  
  1. 医科・歯科を問わず、どの診療科でも、喫煙の状況についてたずね(ask)、患者が吸っている場合には禁煙することを勧め(advise)、患者の禁煙に対する意欲を評価する(assess)ことが大切である。さらに禁煙の意志があれば支援し(assist)、受診日を設定・準備する(arrange)。ask、advise、assessに要する時間は、通常の診療では3分間程度かそれ以内である。硬直した方法ではなく、個人個人に合わせた方法が望ましい[2]
  1. assessの結果、すぐには禁煙したくないとはっきり言う場合。禁煙の動機づけを試みる。relevance(関連性)、risk(リスク)、rewards(報酬)、roadblock(障害)、repetition(反復)の5Rの動機づけを試みる[2]
 
5A:Ask、Advise、Assess、Assist、Arrange[1][3]
  1. 禁煙外来はAsk、Advise、Assess、Assist、Arrangeの5Aが中心になる。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
作田学 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:庄司進一 : 特に申告事項無し[2025年]

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