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著者: 森美樹 昭和大学病院ブレストセンター 乳腺外科、自由が丘みきブレストクリニック

監修: 中村清吾 昭和大学医学部外科学講座乳腺外科学部門

著者校正済:2024/12/11
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本乳癌学会:乳癌診療ガイドライン 1 治療編 2022年版
  1. 日本乳癌学会:乳癌診療ガイドライン 2 疫学・診断編 2022年版
  1. 日本乳癌学会:患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版
  1. National Comprehensive Cancer Network(NCCN):NCCN guidelines Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast, Ovarian, and Pancreatic Version: 3.2024
  1. 日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構:遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン2024年版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン2024年版』『NCCNガイドライン』(version3. 2024年)を参照に、下記の点を加筆・修正した。
  1. BRCAを含む遺伝学的検査を推奨するクライエント
  1. BRCA遺伝学的検査推奨基準
  1. 治療方法を決定する際のポイント
  1. 症例(典型例、難渋例)を記載した。

概要・推奨   

  1. BRCAを含む遺伝学的検査を推奨するクライエント:①がん易罹患性遺伝子の病的バリアント保持が確認されている家系の血縁者(がんの発症、未発症を問わない)。②家族歴および既往歴より遺伝性腫瘍を疑う(がんの発症、未発症を問わない)。③PARP阻害薬に対するコンパニオン診断の適応基準を満たす。④がんゲノムプロファイリング検査で、がん易罹患性遺伝子の病的バリアントの保持が疑われ、臨床的にactionableな遺伝子である場合。
  1. BRCA1/2病的バリアントを持つ乳癌既発症者における対側リスク低減乳房切除術は、遺伝カウンセリングなどの体制が整っている施設での実施が推奨される。
  1. BRCA1/2病的バリアントを持つ乳癌未発症者への両側リスク低減乳房切除術は、遺伝カウンセリングなどの体制が整っている施設での実施が推奨される。
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  1. BRCA1/2病的バリアント保持者のリスク低減卵管卵巣摘出術は、全生存率改善効果が認められており、推奨される。

病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 全乳癌のうち、遺伝要因が関係しているのは5~10%であり、全卵巣癌のうち遺伝要因が関係しているのは15%以下とされる[1][2][3][4]
  1. 遺伝性乳癌や卵巣癌のうち、多くはBRCA1あるいはBRCA2遺伝子の病的変異であり、そのほかTP53遺伝子の病的変異によるLi-Fraumeni症候群や、PTEN遺伝子の病的変異によるCowden症候群などがある。このうち、BRCA1BRCA2遺伝子に病的変異があるものを遺伝性乳癌・卵巣癌症候群(Hereditary Breast and Ovarian Cancer syndrome、HBOC)という。
  1. 常染色体優性遺伝である。
  1. BRCA1:染色体17q21に存在する。BRCA1がコードする蛋白は、細胞周期やDNA損傷の修復に重要な役割を持つ。
  1. BRCA2:染色体13q12に存在する。BRCA2がコードするタンパクは、BRCA1蛋白と結合して、DNA損傷に応答する経路に関与するとされている。
  1. BRCA1またはBRCA2遺伝子のいずれかに病的変異がある場合、乳癌の生涯の発症リスクは65~74%、卵巣癌の生涯の発症リスクはBRCA1遺伝子の病的変異がある場合39~46%、BRCA2遺伝子の病的変異がある場合12~20%である[5]
問診・診察のポイント  
  1. 本人の癌の既往の聴取

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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
森美樹 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:中村清吾 : 特に申告事項無し[2024年]

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遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)

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