今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 星野晴彦 東京都済生会中央病院 脳神経内科 脳卒中センター

監修: 永山正雄 国際医療福祉大学医学部・成田病院 脳神経内科、集中治療部

著者校正/監修レビュー済:2024/12/25
参考ガイドライン:
  1. 日本脳卒中学会:脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2023]
  1. American Heart Association/American Stroke Association:2021 Guideline for the Prevention of Stroke in Patients With Stroke and Transient Ischemic Attack.Stroke. 2021;52:e364–e467
  1. American Heart Association/American Stroke Association:Guidelines for the Early Management of Patients With Acute Ischemic Stroke: 2019 Update to the 2018 Guidelines for the Early Management of Acute Ischemic Stroke. Stroke. 2019;50:e344–e418
  1. ESO guideline for the management of extracranial and intracranial artery dissection. Eur Stroke J 
2021;6(3):XXXIX–LXXXVIII
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2023]を参照に、下記の点を加筆・修正した。
  1. 内科的治療としての抗血栓療法の推奨度が上がった。
  1. 急性期の血管内治療について、解離による頭蓋外頸動脈狭窄とそこからの塞栓による頭蓋内動脈閉塞については血栓回収療法の有用性が示されてきている。

概要・推奨   

  1. 動脈硬化の危険因子が比較的少ない若年脳卒中患者では解離を念頭に置いて、頭痛・頸部痛の病歴を聴取する。
  1. 大動脈解離の進展による頚部動脈解離を除外する。
  1. MRA、CTAによって解離の特徴的な所見を見逃さないようにする。
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
疾患のポイント:
  1. 脳動脈解離とは、若年者脳卒中の主要な原因の1つで、何らかの誘因で脳動脈壁内に出血し壁が裂けた状態である。その結果、出血性の症状(くも膜下出血)、虚血性の症状(一過性脳虚血発作、脳梗塞)、その他の症状(頭痛、解離部の圧迫症状)などを来す。頭痛が神経症候に先行あるいは同時に起こる。
  1. 脳動脈解離の症状としては、解離そのものによる直接症状(頭痛、頚部痛、血管拡張による局所症状)と血管障害による症状(脳梗塞、くも膜下出血)などを来す。特に、突然の激しい頭痛・頚部痛は、動脈解離の約50~80%にみられる特徴的症状である。血管拡張による局所症状としては、頚部内頸動脈解離では血管の拡張による迷走神経、副神経、舌咽・舌下神経障害を、また頭蓋内も含めた内頸動脈解離では血管壁を走る交感神経線維の障害によるホルネル徴候などを来すことがある。
  1. わが国の調査では、SCADS-JAPANによると中央値54歳(13~88歳)、50歳以下が39.4%であった[1]。脳卒中データバンク2021では平均年齢±SDは脳梗塞発症で54.8±15.1歳、くも膜下出血発症で54.8±12.8歳であった[2]
  1. 頚部回旋などの軽い外傷に伴って起こることが多いとされるが、明らかな誘因のない場合も多い。カイロプラクティック(整体)との関連が示唆されている[3]
  1. Fibromuscular dysplasiaや結合織疾患が基礎疾患として存在する場合がある。
  1. 脳卒中データバンク2021では、わが国で990例の動脈解離が登録され、脳梗塞発症が566例(57.2%、男性420、女性146)、脳出血発症が10例(1.0%)、くも膜下出血414例(41.8%、男性227、女性187)であった。併存疾患では高血圧症が多い。解離部位は脳梗塞発症57例では頭蓋内椎骨動脈34例、頚部内頚動脈6例、頭蓋内内頚動脈6例、前大脳動脈5例の順で多く、くも膜下出血発症72例では頭蓋内椎骨動脈27例、後大脳動脈14例、中大脳動脈12例、前大脳動脈12例の順で多かった[2]
  1. 欧米の疫学的研究からは、冬季に発症率が高いことが示されている[4]
  1. ヨーロッパの大規模登録研究であるCervical Artery Dissection and Ischemic Stroke Patients (CADISP) 668例によれば、内頸動脈解離のほうが椎骨動脈解離に比べて、年齢が高く(46.3±9.6対42.0±10.2歳)、男性に多く(62.7%対53.0%)、耳鳴りが多く(10.9%対3.4%)、NIHSSが高スコアである(10±7.1対5±5.9)。椎骨動脈解離では、両側性(15.2%対7.6%)、喫煙者(36.0%対28.7%)、雷鳴頭痛(9.2%対3.6%)と頚部痛(65.8%対33.5%)が多く、くも膜下出血(6.0%対0.6%)と虚血性脳卒中(69.5%対52.2%)も多かった。3カ月後の虚血性脳卒中後の転帰良好例と3カ月以内の虚血性脳卒中再発は椎骨動脈解離のほうが多かった[5]
 
脳動脈解離の分類:
  1. 成因からは、外傷性、医原性、特発性の3種類に分類される。頚部回旋などの軽い外傷に伴って起こることが多いとされるが、明らかな誘因のない場合も多い。
  1. 発症様式からは上述のように、出血性発症、虚血性発症、その他の症状、無症候に分けられる。罹患動脈では内頸動脈系と椎骨動脈系に分けられ、それぞれ頭蓋内、頭蓋外にさらに分類される。わが国の調査では、頭蓋内椎骨動脈解離が多い。
  1. わが国の調査では、頭蓋内椎骨動脈解離が動脈解離全体の63.4%を占め、海外の頭蓋外内頸動脈解離が多いのとは対照的である。
  1. 頭蓋内脳動脈系では前大動脈解離が比較的多い。
  1. 頭蓋外脳動脈解離では虚血性発症(一過性脳虚血発作(TIA)/脳梗塞)を、頭蓋内脳動脈解離では虚血性発症(TIA/脳梗塞)のみでなく、出血性発症(くも膜下出血)を来す。
Borgess分類[6]
  1. Type I:内膜断裂なし
  1. Type IA:壁内血腫による内腔狭窄はあるが順行性血流がある
  1. Type IB:壁内血腫による完全閉塞で順行性血流がない
  1. Type II:内膜断裂あり
  1. Type IIA:小さい内膜の局所断裂があり外側への動脈瘤形成を伴うが、外膜は正常で、動脈瘤内に血流うっ滞が認められる
  1. Type IIB:大きな内膜の断裂があり、偽腔または動脈瘤拡張がみられる
病歴・診察のポイント  
病歴:
  1. TIA/脳梗塞による神経症候およびくも膜下出血による激しい頭痛の発症前に頚部から頭部にかけて、頭痛が先行あるいは同時に出現したかどうかを問診する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
星野晴彦 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:永山正雄 : 特に申告事項無し[2025年]

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