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著者: 栁内 秀勝 国立国際医療研究センター 国府台病院 糖尿病・内分泌代謝内科

監修: 野田光彦 国際医療福祉大学市川病院 糖尿病・代謝・内分泌内科

著者校正/監修レビュー済:2024/05/15
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。
  1. 症例2例を加筆した。

概要・推奨   

  1. メトホルミン内服中に乳酸アシドーシスを発症した症例に多く認められた特徴としては、腎機能障害、脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取、心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害、高齢者などが挙げられる。高齢者だけでなく、比較的若年者でも少量投与でも、上記の特徴を有する患者で、乳酸アシドーシスの発現が報告されている。経口摂取が困難な患者や寝たきりなど、全身状態が悪い患者には投与しないこと大前提である(推奨度1)
  1. 乳酸アシドーシス患者の血圧維持を図るためにアドレナリン、ノルアドレナリンは使用せず、ドパミン、ドブタミンを使用することが推奨される(推奨度2)
  1. メトホルミンによる乳酸アシドーシスの治療に重炭酸透析は有効である(推奨度2)
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  1. ビタミンB1欠乏による乳酸アシドーシスの治療には100mg以上のビタミンB1の静脈注射が必要である(推奨度1)

病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 乳酸アシドーシスは、乳酸が何らかの原因により蓄積して生じるアシドーシスで、致死率が約50%と高く、早急な対応が求められる病態である。
  1. 乳酸アシドーシスの原因は多岐にわたるため、乳酸アシドーシスとしての正確な発症頻度は不明である。
  1. 人体はブドウ糖を細胞質における解糖系で代謝しピルビン酸から乳酸を生成する。酸素が存在する好気的条件下であれば、ピルビン酸はミトコンドリアに入り、ピルビン酸デヒドロゲナーゼの作用によりアセチルCoAに変換された後、クエン酸回路にて代謝される。このクエン酸回路が不具合なく機能していれば乳酸アシドーシスを発症することはない。
 
乳酸産生の代謝経路

ビタミンB1と糖質代謝の関係について示す。
ビタミンB1は、生体内でその活性体であるチアミンピロリン酸(TPP)に変換される。TPPは、ピルビン酸をアセチルCoAに変換するピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)の補酵素であり、PDHの活性化には必須の成分である。
ビタミンB1が不足すると、この反応系が阻害される。不足したATP産生を補うために嫌気的解糖が亢進し、ピルビン酸が多量に産生される。このピルビン酸から乳酸が大量に産生されて蓄積し、乳酸アシドーシスが起こると考えられる。
また、ビタミンB1はこのほかにもα-ケトグルタール酸デヒドロゲナーゼや、ペントースリン酸回路のトランスケトラーゼの補酵素としても重要である。
ビタミンB1は、心臓、腎臓、肝臓、脳などのエネルギー代謝活性の高い臓器に高濃度に存在し、その必要量は糖質およびエネルギー量に比例するといわれている。完全静脈栄養(TPN)時には大量の糖質が投与されることから、体内でのビタミンB1の消費量も増大する。
補酵素として機能したビタミンB1は、そのままの形または代謝されて尿中に排泄される。そのため、ビタミンB1欠乏を防止するためには、一定量を常に補給する必要がある。

出典

著者提供
 
  1. 酸素が存在しないような嫌気的条件下であれば最終産物は乳酸のみである。ブドウ糖の炭素数は6個で乳酸の炭素数は3個であるため、ブドウ糖1個が解糖系に入り乳酸に変化すると乳酸は2個生成されることになる。
  1. 嫌気的条件下では、ブドウ糖からピルビン酸という解糖系にのみ依存しATPの供給を補おうとするため乳酸の蓄積が発生する。
  1. 解糖系では、2分子のNAD+(酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)がNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)に変換される。クエン酸回路が円滑に機能している状態であればNADHがNAD+に変換されるが、クエン酸回路に障害があるとNADHが蓄積する。NADHの蓄積は、ピルビン酸から乳酸への変換を促進し、さらに乳酸の蓄積をもたらす。
 
  1. 乳酸アシドーシスは入院中の患者の代謝性アシドーシスの主要な原因である(推奨度1S)(参考文献:[1][2]
  1. さまざまな代謝性アシドーシスを来す疾患の入院中に発症する頻度を検討し、乳酸アシドーシスの頻度が高いことが明らかになっている。
問診・診察のポイント  
  1. 食事歴(ビタミンB1欠乏)、アルコール歴、薬剤歴(メトホルミン、イソニアジドなど)、輸血歴、危険な性交渉歴(肝炎、ヒト免疫不全ウイルス[HIV]感染など)、家族歴(先天性代謝異常など)
  1. 食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛といった消化器症状および倦怠感、筋肉痛の有無(初期症状)

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
栁内 秀勝 : 講演料(持田製薬(株))[2025年]
監修:野田光彦 : 特に申告事項無し[2025年]

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乳酸アシドーシス

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