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著者: 寺田教彦 筑波大学 医学医療系 臨床医学域 感染症内科学

監修: 具芳明 東京科学大学大学院医歯学総合研究科 統合臨床感染症学分野

著者校正/監修レビュー済:2024/11/27
参考ガイドライン:
  1. 米国感染症学会:Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Aspergillosis: 2016 Update by the Infectious Diseases Society of America. PMID:27365388
  1. ヨーロッパ臨床微生物学会・ヨーロッパ感染症学会・ヨーロッパ呼吸器学会:Chronic pulmonary aspergillosis: rationale and clinical guidelines for diagnosis and management. 2016 PMID: 26699723
  1. 深在性真菌症のガイドライン作成委員会:深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014
  1. 日本医真菌学会:アスペルギルス症の診断・治療ガイドライン2015
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下について加筆・修正した。
  1. 単純性アスペルギローマに対するイサブコナゾニウム硫酸塩(クレセンバ)の保険承認に伴い、抗真菌薬に関して追記した。
  1. アスペルギルス IgG 抗体の保険収載に伴いガラクトマンナン抗原検査について加筆した。ガラクトマンナン抗原検査は、慢性肺アスペルギルス症に対して感度や特異度は不良だが、アスペルギルスIgG抗体検査は感度が高く、現時点では最も期待される血清学的なアスペルギルスの診断方法である。
  1. 症例として典型例と難渋例を追加した。詳細は本文を参照されたい。

概要・推奨   

  1. アスペルギローマの多くは無症状で経過するが、致死的な喀血が問題となる。
  1. 無症状で画像上も安定して経過している場合、治療は不要である。喀血例、大量の喀血が懸念される場合外科的治療を考慮する(推奨度2、G)
  1. 大量喀血時などには、外科的治療前に気管支動脈塞栓術により血行動態を安定させることもある(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. アスペルギローマとは、アスペルギルス属による腐生寄生による疾患である。通常肺結核などの抗酸菌感染症、肺気腫、嚢胞性あるいは線維性肺疾患のあとにできた空洞に自然界に生息するアスペルギルス属の分生子が吸入された後到達して発育し、菌糸とフィブリン、気道粘液、細胞の残骸が絡み合って凝集してできたものである。同様の菌球は他の真菌でもみられることがあるとされているがアスペルギルス属によるものが圧倒的に多いとされる。実際の頻度は不詳である。
  1. 以前は、アスペルギローマのサイズと喀血の頻度は無関係と考えられていたが[1]、最近は空洞と真菌球のサイズが大きいほど喀血を来しやすいことが報告されている[2]
  1. 結核後に2.5 cm以上の空洞性肺病変があった患者では、11%に真菌球があったという報告がある。さらに調査の3年後には17%に増加したと報告している[3]
  1. アスペルギローマは従来simple aspergillomaと呼ばれる、単一の空洞にできる独立した菌球による病変と、complex aspergillomaと呼ばれる複数の空洞にわたって寄生がみられるタイプの2つを含む概念であった。ところが現在後者は経過として慢性進行性肺アスペルギルス症(CPPA:Chronic progressive pulmonary aspergillosis)と呼ばれる侵襲性真菌症の範疇に入るとされ、治療も内科的治療が奏効する場合が多いということで別の疾患とされている。この項で扱うアスペルギローマは上述のsimple aspergillomaのことである。
  1. アスペルギローマには肺の空洞、あるいは拡張した気管支にアスペルギルスの菌糸、フィブリン、気道粘液、細胞の残骸が絡み合って凝集したものと定義づけられ[3]、基礎に空洞性の肺、気管支病変が存在することが前提となる。また、その空洞性の病変としては、肺結核後遺症、肺嚢胞を有する肺線維症、嚢胞形成性の肺気腫といったものが代表例となる。
  1. ほかに、Simple aspergillomaを欧州のガイドラインでは、「アスペルギルス属に関連する血清学的あるいは微生物学的な証明を伴い、真菌球を含む単一の肺の空洞病変を認める。症状は軽度あるいは無症状で、少なくとも3カ月の画像経過で進行が認められない免疫不全ではない患者。」と定義している[4]
  1. 多くの場合は無症状であるが、血痰、胸痛、咳、疲労感、発熱、体重減少がみられることがある[5]。発熱や体重減少などの全身症状があり、その症状が空洞の基礎疾患によらない場合は、単純なアスペルギローマではなく、慢性空洞性肺アスペルギルス症(chronic cavitary pulmonary aspergillosis:CCPA)として管理することが望ましい[4]
  1. ときに喀血がみられ、致命的になる。程度の差はあるが、約90%で喀血のエピソードを経験するという[6]。また、その喀血がまれに致命的となるため根治療法として手術が必要となる。なお、内科的治療は有用ではないことが多い[3][7]
問診・診察のポイント  
  1. 病歴のみで鑑別疾患の上位に挙げることはやや難しい。

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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
寺田教彦 : 講演料(ファイザー(株))[2024年]
監修:具芳明 : 研究費・助成金など(MSD(株))[2024年]

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アスペルギローマ

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