今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 谷直樹 諏訪中央病院 呼吸器内科

監修: 具芳明 東京科学大学大学院医歯学総合研究科 統合臨床感染症学分野

著者校正/監修レビュー済:2025/09/02
参考ガイドライン:
  1. 深在性真菌症のガイドライン作成委員会:深在性真菌症の診断・治療ガイドライン 2014
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. アスペルギルス沈降抗体検査が終了し、代わりに2024年8月から血清アスペルギルスIgG抗体検査が保険収載されたため、記載を修正した。
  1. 『深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014』では、確定診断の1つにアスペルギルス沈降抗体検査が挙げられているが、A.fumigatus 以外の菌種に対する陽性率が低いことや、海外ではELISA法によるIgG抗体測定が主流であることなどから、沈降抗体検査キットの生産は終了し、2022年以降、国内での沈降抗体検査の実施は不可能となった。代替として、現在アスペルギルスIgG抗体の測定が可能であり、2024年8月より保険収載され、今後の診断の中心になると考えられる。
  1. システマティックレビューによると、慢性肺アスペルギルス症の診断におけるIgG抗体検査は感度および特異度はともに90%と報告されている(Anan K, et al. Mycoses. 2021 Jul;64(7):701-715.)。
  1. イサブコナゾール(ISCZ:クレセンバ)が慢性肺アスペルギルス症にも保険適応となっているため、記載を修正した。
  1. ISCZは2023年3月に薬価収載された新規抗真菌薬であり、バイオアベイラビリティは98%と高く、内服でも点滴と同等の効果が期待される。
  1. ⽇本国内で実施された多施設共同ランダム化オープンラベル第III相試験での慢性肺アス ペルギルス症患者での奏効率は、イサブコナゾール群(52名)が82.7%、ボリコナゾール群(27名)が77.8%であった(Kohno S, et al. J Infect Chemother. 2023 Feb;29(2):163-170.)。
  1. 典型例および治療に難渋した症例を加筆した。

概要・推奨   

診断
  1. 慢性進行性肺アスペルギルス症は、陳旧性肺結核、COPD、間質性肺炎、非結核性抗酸菌症などの呼吸器系基礎疾患や、糖尿病、アルコール依存、低栄養、ステロイド薬治療などの全身性免疫不全を背景に持つ患者に発症する。
  1. 上記のようなリスク因子を持つ患者に、亜急性から慢性の経過で、咳嗽、喀痰、発熱、呼吸困難、血痰・喀血などが出現したとき胸部画像検査にて、新たな空洞影の出現、空洞影の拡大、空洞壁の肥厚、空洞周囲浸潤影の拡大、fungus ball様の陰影などを認め、一般抗菌薬の投与に反応しない場合には、本症を疑う。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
谷直樹 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:具芳明 : 研究費・助成金など(MSD(株),ビオメリュー・ジャパン(株))[2025年]

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