今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 大場雄一郎 大阪急性期・総合医療センター 総合内科・感染症科

監修: 上原由紀 順天堂大学医学部臨床検査医学科/総合診療科/微生物学

著者校正/監修レビュー済:2024/06/12
参考ガイドライン:
  1. 米国感染症学会(IDSA):Clinical Practice Guidelines for the Management of Cryptococcal Disease: 2010 Update by the Infectious Diseases Society of America (クリプトコッカス症診療ガイドライン2010年)
  1. ヨーロッパ医真菌学会(ECCM), ヒトと動物の国際真菌学会(ISHAM), 米国微生物学会(ASM):Global guideline for the diagnosis and management of cryptococcosis: an initiative of the ECMM and ISHAM in cooperation with the ASM(クリプトコッカス症国際診療ガイドライン 2024年)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、2023年に本邦で新規に薬価収載されたイサブコナゾニウム硫酸塩(クレセンバ)について加筆した。
  1. イサブコナゾニウム硫酸塩はアゾール系抗真菌薬である。
  1. 同薬剤の添付文書上はクリプトコッカス肺炎が適応症となっているが、治療の有効性に関するエビデンスレベルが低いため、現時点では従来の治療選択肢が使用できない場合の代替選択肢として使用する(Chang CC, et al. Lancet Infect Dis. 2024 Feb 9:S1473-3099(23)00731-4.)。

概要・推奨   

  1. クリプトコッカス肺炎はHIV患者やその他免疫不全患者に多いが、免疫健常者であっても、クリプトコッカス肺炎を除外することはできない(推奨度1)
  1. クリプトコッカス肺炎で、血清クリプトコッカス抗原陽性の場合は、髄液穿刺を行って、髄膜脳炎併発の有無を確認するほうがよい(推奨度2)
  1. 軽症から中等症のクリプトコッカス肺炎で、肺外病変、中枢神経病変が除外されている場合の治療には、フルコナゾール400 mg静注または内服を6~12カ月用いる。重症クリプトコッカス肺炎では、中枢神経が感染している場合と同様に、アムホテリシンB静注を主軸とした初期治療を行う(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. クリプトコッカスは、莢膜のある酵母様真菌で、Cryptococcus neoformans と、C.gattii にヒト病原性がある。
 
Cryptococcus neoformans 気管支肺胞洗浄液・墨汁染色

墨汁染色・インディアインク染色で、菌体周囲の莢膜が白く抜け特徴的なhaloを認める。

出典

著者提供
 
Cryptococcus neoformans 培養コロニー

a:白~クリーム色、滑らかで光沢のあるコロニーを形成する。
b:グラム染色では、球形~卵円状で、発芽を伴う酵母様真菌の形態を呈する。

出典

著者提供
 
  1. ハト・ニワトリなどの腸管に定着し、その糞や、糞に汚染された土壌粉塵を吸入して肺胞に達し感染する。
  1. マクロファージに貪食され、肺実質や所属リンパ節の肉芽腫性病変を形成し、無症状定着、肺病変(気道内定着、結節、浸潤影、すりガラス影、空洞、粟粒状病変、acute respiratory distress syndrome: ARDS、縦隔・肺門リンパ節腫脹、気胸、胸膜炎・膿胸)、髄膜脳炎、全身播種まで、結核に類似した多様な病態を呈する。
  1. 肺クリプトコッカス症は、細胞性免疫不全患者が多いが、免疫健常者も1/3以上を占める[1]
  1. 途上国では頻度が多く、先進国での頻度は比較的まれである。
  1. 免疫健常者の肺病変は1/3が無症状で胸部画像発見とされる。
 
  1. クリプトコッカス肺炎はHIV患者やその他免疫不全患者に多いが、免疫健常者であっても、クリプトコッカス肺炎を除外することはできない(推奨度1)
 
  1. 2005年~2019年の台湾の都市部基幹病院1施設の非HIV患者の肺クリプトコッカス症321例の観察研究では、免疫不全に関与する何らかの基礎疾患が64%に見られ、複数の基礎疾患をもつものが21%いたが、36%には全く基礎疾患がなかった。年齢は20~87歳(中央値59歳)で、基礎疾患は多い順に糖尿病(27%)、固形がん(20%)、自己免疫性疾患(16%)、慢性腎臓病(8.4%)、血液疾患(5.3%)、慢性肺疾患(4.7%)、慢性肝疾患(3.2%)、心血管疾患(2.5%)、臓器移植後(0.9%)などであった[1]
問診・診察のポイント  
  1. クリプトコッカス肺炎の経過は、急性から亜急性・慢性、無症状まで幅がある。

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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
大場雄一郎 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:上原由紀 : 特に申告事項無し[2025年]

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クリプトコッカス肺炎

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