今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 森博威 順天堂大学医学部総合診療科学講座/マヒドン大学熱帯医学部

監修: 上原由紀 順天堂大学医学部臨床検査医学科/総合診療科/微生物学

著者校正/監修レビュー済:2022/06/08
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、加筆修正を行った。

概要・推奨   

  1. 糞線虫の検出には寒天平板培養法が有用であり、繰り返し行うことで感度を上げる(推奨度2)
  1. 糞線虫症は世界各地で報告されている。日本では特に沖縄、奄美で検出例が多い(推奨度2)
  1. 播種性糞線虫症は敗血症、髄膜炎、肺炎、そしてイレウスを引き起こす。糞便以外に喀痰などから虫体を認めることが指標になる(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 糞線虫症はStrongyloides stercoralisという線虫が引き起こす感染症である。
  1. 世界中で3000万から一億人が感染していると推測される[1]
  1. 日本では沖縄、奄美などに限定されるが、世界的にみれば東南アジアを中心に流行が持続しており、渡航後の帰国者が日本各地で発症する可能性は十分にある。
 
糞線虫の虫体

腸管内の糞線虫の虫体

出典

Robert M. Kliegman, Bonita F. Stanton, Joseph W. St. Geme, Nina F. Schor, and Richard E. Behrman:Nelson Textbook of Pediatrics , 19th ed.Saunders,2011; Figure 287-1
 
  1. 土との接触で感染する(Soil-transmitted helminths)。人の便で汚染された土壌を裸足で歩くことで感染する。
  1. 自家感染(autoinfection)という特徴があり糞口感染した後、数十年感染が持続することがある。世代交代を行いながら継続的に宿主内にとどまり、免疫不全などにより過剰感染(hyperinfection)になる。
  1. 沖縄、奄美での症例は減少してきているが、高齢者、農家に散見される。
 
糞線虫の生活環

糞線虫の特徴的な生活環を示している(青線:人体内、赤線:外界)。糞線虫は人体内で消化管(主に十二指腸)にて成虫となり、雌成虫単体で排卵する。消化管を下りながらラブジチス型幼虫へと孵化するが、一部がフィラリア型幼虫となり「自家感染(autoinfection)」を起こす。糞便とともに外界に出た幼虫は、土壌内で発育して雌雄成虫となり交尾、産卵して孵化した幼虫はフィラリア型になる。これが経皮的に感染して体内へと移行し、静脈系から右心室、肺を介して一部が肺胞から気管を上行して喉頭、咽頭に達し、嚥下されて食道、そして十二指腸に至る。

出典

編集部作成
 
  1. 糞線虫症は、症状は全くないことも多いが、軟便や便秘、腹部膨満などを訴える場合もある。
  1. 過剰感染からグラム陰性桿菌(大腸菌、クレブシエラ)などによる敗血症や髄膜炎、肺炎、イレウスなどを伴う播種性糞線虫症(Disseminated strongyloidiasis)という重篤な病態を引き起こす。
  1. 免疫不全状態(ステロイド・免疫抑制薬の使用、HIV感染症、慢性肺疾患、慢性腎不全、アルコール多飲など)が重症化のリスクとなる。
  1. 治療にはイベルメクチンを使用するが、播種性糞線虫症であれば同時にグラム陰性桿菌を中心とした細菌をカバーする抗菌薬も必要になる。
 
  1. 糞線虫症は世界各地で報告されている。日本では特に沖縄、奄美で検出例が多い(推奨度2O)(参考文献:[2][3]
  1. 糞線虫症は主にStrongyloides stercoralisが引き起こす(アフリカではS. fuelleborniの報告もある)。世界各地から報告があり、感染者の推計は300万~1億人と幅がある。主に東南アジア、ラテンアメリカ、サハラ以南アフリカ、米国の東南部の一部に流行がある。日本では主に沖縄、奄美からの報告が多いが、南九州地方からも報告がある。
 
  1. 播種性糞線虫症は敗血症、髄膜炎、肺炎、そしてイレウスを引き起こす。糞便以外に喀痰などから虫体を認めることが指標になる(推奨度1O)(参考文献:[4][5][6][7][8][9][10]
  1. 糞線虫は腸管内に存在するだけであれば無症候のことが多い。しかし宿主に免疫不全があると通常のライフサイクルが加速され、自家感染する虫体量が増加して過剰感染(hyperinfection)の状態になる。そのため腸管からグラム陰性桿菌などの誘導を招き、敗血症や肺炎、髄膜炎を引き起こし、イレウス像を呈することもある。これが播種性糞線虫症の病態であり、適切な治療を行っても致死的な状態になり得る重篤な状態である。この場合、便以外にも喀痰、尿、腹水、皮疹などから虫体を検出することができる。各病態が合併して生じるため「不明熱」の状態を呈することもあるが、流行地での居住歴や渡航歴がある場合、また免疫不全状態にある場合には積極的に本疾患を疑い、速やかに対処する必要がある。しかし注意深く症例をみていると、明らかに髄液検査所見では「細菌性髄膜炎」を疑うが、髄液培養検査で細菌は検出されず、その一方で糞便からは糞線虫を認める場合があることを喜舎場[3]は指摘している。
問診・診察のポイント  
問診のポイント:
  1. 流行地域での居住歴や渡航歴を確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
森博威 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:上原由紀 : 特に申告事項無し[2025年]

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糞線虫症

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