今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 里見貴史 日本歯科大学 生命歯学部口腔外科学講座

監修: 近津大地 東京医科大学

著者校正/監修レビュー済:2022/10/26
参考ガイドライン:
  1. 日本口腔腫瘍学会日本口腔外科学会:口腔癌診療ガイドライン2019年版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

概要・推奨   

  1. 舌癌の確定診断を得るには病理組織検査を行うことが推奨される(推奨度1)
  1. 舌癌の浸潤や転移を確認するには、画像検査(造影CT, 造影MR, US, PETなど)を行うことが推奨される(推奨度1)
  1. 舌癌の治療法は、主に病期に基づいて決定されるが、基本的に手術療法が中心である。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 舌癌は、全悪性腫瘍の約1%を占める口腔癌の中で最も頻度の多い癌(口腔癌の約40%)で、罹患者は毎年約4,000人程度である[1]
  1. 舌癌の定義は、有郭乳頭より前方部に発生する腫瘍となっている。一方、舌根部に発生した腫瘍は咽頭癌と定義され、解剖学的な舌の定義と名称にはずれがある。
  1. 好発部位は、舌縁から舌下面で、特に臼歯部に相当する舌縁部に多く発症する[2]
 
舌癌の好発部位は、舌側縁から舌下面

舌下面に病巣があると、開口しただけではわかりにくい。舌を前方に牽引し、舌が緊張していない状態で視診・触診を行う。ただし、腫瘍の広範囲進展例や舌の疼痛が著しい症例では、舌を前方に牽引できないこともある。
a:開口時
b:舌を前方に牽引すると潰瘍性病変が左側舌下面に認められる

出典

著者提供
 
  1. 膨隆型、びらん型、潰瘍型が半数を占め、白板型がこれに続く。乳頭型、肉芽型は少ない[2]
  1. 発生年齢は50~60歳の男性に多い。20歳代で発症することもあり、最近は女性も増加傾向である[1]
  1. 組織学的には、大多数が扁平上皮癌であり、まれに腺系癌も発生する[1][3][2]
  1. 顎下リンパ節や上内深頸リンパ節などの頸部リンパ節への転移頻度は30~40%と口腔癌の中では高く、治療後にもリンパ節転移(後発転移)が出現することがある[1][2]
  1. 危険因子は喫煙[4][5]や飲酒[6]、慢性の機械的・化学的刺激(不良な義歯、う歯など)、ウイルス(ヒトパピローマウイルス[HPV])感染[7]である。喫煙と飲酒が罹患要因の約8割を占める。
  1. 白板症(癌化率3.1~16.3%)[8][9]、紅板症(癌化率約50%)は口腔潜在的悪性疾患であり、フォローアップが必要になる。
  1. 重複癌の発生頻度は11~16%で、上部消化管または肺癌が60~70%を占め、近年増加傾向である[10]
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 症状の経過の確認(舌の痛み、運動障害、構音障害、嚥下障害)

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
里見貴史 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:近津大地 : 特に申告事項無し[2025年]

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舌癌

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