今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 高野貴子 国立成育医療研究センター研究所周産期病態研究部

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2023/05/24
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 母体血による新型出生前検査(NIPT)の正しい理解のための文章を「専門医に相談するタイミング」の最後に加えた。妊婦とそのご家族のNIPTを受検する・しないの自発的な意思の尊重、検査前に質の担保された説明(遺伝カウンセリング)を受けることが重要である。

概要・推奨   

  1. 臨床から診断を疑う場合は染色体検査で確定診断が推奨される(推奨度1
  1. 先天性心疾患の合併を診断するために心エコー検査が推奨される(推奨度1

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. Down症候群は、21番染色体の長腕21q22の過剰が原因である。
  1. 21トリソミー(21番染色体が1つ多い、全体の約95%)、転座型(過剰な21番染色体が他の染色体[14番と21番染色体が多い]に転座、約2%)、モザイク型(正常細胞と21トリソミー細胞が混在、約2%)である。
  1. 遺伝性は転座型の一部である。
  1. 出生頻度は約600~700人に1人。
  1. 出生頻度は出生時の母親年齢と相関があり、母親が30歳では0.1%であるが、40歳では0.9%と増加する。日本では高齢出産の増加で出生頻度は漸増している。
  1. 染色体不分離は母親の第一減数分裂で最も多く、染色体接着因子であるコヒーシン(cohesin)のmeiotic cohesinが年齢に依存して減少していること[1]が指摘されている。しかし父親の精子形成過程での不分離の場合もある(5%)。
  1. 臨床所見から本症を疑い、染色体検査で確定診断を行う。
  1. 40~50%の患者が先天性心疾患を合併する。
  1. 十二指腸閉鎖・狭窄、鎖肛、Hirschsprung病などの消化器系合併症がある場合は、新生児期に手術が必要となる。
  1. 日本での平均寿命は50歳を超えている。二大死因は心疾患と肺炎である。
問診・診察のポイント  
  1. 妊娠初期の胎児の後頚部浮腫(NT)の厚さとDown症候群の発生頻度に正の相関があるという報告[2]以来、胎児超音波検査が行われているが、NT肥厚がありながら、染色体異常がない例や他の疾患に罹患している可能性もある。
  1. 胎児スクリーニングとして母体血清マーカー検査が行われているが、「母体血清マーカー検査に関する見解」(厚生科学審議会、1999年)では、医師がこれらの検査を積極的に進めるべきではないとされた。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
高野貴子 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2025年]

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Down症候群(小児科)

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