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改訂のポイント:
  1. 『2024年JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療』を参照に、下記の点を加筆・修正した。
  1. 発症早期(診断確定から1年以内)の心房細動患者に対するリズムコントロール(洞調律維持療法)の有用性について
  1. 症候性の発作性心房細動に対する第一選択治療としてのカテーテルアブレーション治療の適応拡大について
  1. 抗凝固薬投与が困難な超高齢高出血リスク患者に対するエドキサバン15 mgの使用について
  1. 心房細動患者における心原性塞栓症のリスク評価において、本邦のエビデンスに基づいて作られたHELT-E2S2スコアについて

概要・推奨   

【診断】
  1. 心電図による記録が必要とされる。12誘導心電図もしくは1誘導以上の心電図で、30秒以上明らかなP波を認めず、RR間隔の絶対不整を認めた場合、心房細動と診断する。
  1. 発作性心房細動の場合はホルター心電図(可能ならば携帯心電図や貼付型ループ式イベントレコーダも)考慮すべきである。
【治療】
  1. 塞栓症リスク評価をCHADS2スコアを用いて行い、1点以上の心房細動患者には抗凝固療法を考慮する(推奨度1)
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  1. 無症候であっても脳梗塞発症リスクが高い(CHA2DS2VAScスコア3点以上)再発性の発作性心房細動患者ではカテーテルアブレーション治療を考慮する(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 心房細動とは、心房に変動する複数のリエントリーが成立し心房が秩序のないまま局所的には250~350回/分またはそれ以上の頻度で興奮している状態である。
  1. 診断は、心電図でf波(不規則に上下に変動し細かく揺れる基線)と、不規則なRR間隔を持ったnarrow QRSとが認められることでなされる。
  1. 持続時間から、発作性(7日間以内多くは48時間以内)、持続性(7日間以上)、長期持続性(1年以上継続しているが洞調律維持療法を考慮し得るもの)および永続性(除細動が不能)に分類される。発作性の心房細動は毎年5.0~8.6%で慢性化するとされている。なお、発作性から慢性への移行は初期に多く、最初の5年で約25%が永続性の心房細動に移行するとのデータがある[1]
  1. 米国のフラミンガムスタディによると、生涯の間に一過性および慢性の心房細動を発症するリスクは40歳男性で26%、女性では23%であった[2]
  1. 日本での発症率は欧米より低く、日本循環器学会の疫学調査では、有病率は70歳代男性で3.44%、女性で2.19%であり、米国の有病率と比較すると2/3の有病率となっている[3]。高齢化で患者数は増加の一途をたどっているといわれる。全国の健診心電図を集計した疫学調査で心房細動有病率は1%前後であり、common diseaseといえるレベルに達している[4][5]
  1. 加齡、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム、閉塞性睡眠時呼吸障害、慢性腎臓病(CKD)など、さまざまな心血管リスク因子が心房細動発症と相関する[6][7]
  1. 脳梗塞発症後の心房細動患者の予後はきわめて不良である[8]。抗凝固療法を適切に導入し、脳梗塞予防に努めることが重要である。
 
  1. 心房細動発症リスクの予測マーカーとして腎機能を参考にすることは、推奨される(推奨度2)
  1. 近年、腎機能が心房細動発症と有意に相関することを示す疫学データが多数報告されている[9][10][7][11]
  1. そのなかで最近報告されたのは、The Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)研究のサブ解析報告[9]である。ARIC研究は米国住民約1万5,000例を対象とした10年間に及ぶ観察研究である。本サブ解析では、シスタチンCと尿中アルブミンが採取された1996~98年(ARIC visit4)を起点として解析がなされた。特に、シスタチンCによって推測されたGFR値(eGFRcys)が心房細動発症とよく相関し、正常範囲内と比較した場合、eGFRcysが15~29 mL/分/1.73m2で、心房細動の発症リスクは3倍となった。
  1. 腎機能低下が心房細動発症と相関する理由として、高血圧、左室肥大、炎症による心房の線維化、冠動脈疾患、心不全、交感神経系の亢進などが背景にあると考えられ、腎機能低下はそのような患者背景悪化の「代理マーカー」的な役割を果たしているものと考えられる。少なくとも腎機能低下と心房細動発症との相関は、欧米と日本を含む複数の疫学データで証明されており、心房細動発症リスクの予測マーカーとして腎機能を参考にすることは推奨される。
病歴・診察のポイント  
  1. 心房細動については、現在持続しているならば、いつから持続していると考えられるかを確認する。また、発作の頻度と自覚症状の強さを把握する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
篠原徹二 : 未申告[2024年]
監修:山下武志 : 講演料(第一三共(株),ブリストル・マイヤーズ スクイブ(株),ノバルティスファーマ(株),大塚製薬(株),日本ベーリンガーインゲルハイム(株),バイエル薬品(株)),原稿料(第一三共(株)),研究費・助成金など(第一三共(株))[2024年]

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