今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 神尾陽子 神尾陽子クリニック

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2025/06/25
参考ガイドライン:
  1. 米国児童青年精神医学会 (AACAP): Clinical Practice Guideline for the Assessment and Treatment of Children and Adolescents With Major and Persistent Depressive Disorders
  1. 英国国立医療技術評価機構 (NICE)Depression in children and young people: identification and management
  1. 日本うつ病学会日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.うつ病(DSM-5)/大うつ病性障害2016(2024年3月1日改訂)
 
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. これまで「うつ病(小児科)」としていた項目を「うつ病(児童思春期)」に変更し、新たに解説する。
  1. ガイドラインを示した。
  1. 児童思春期のうつ病はたとえ軽度であっても、成人期になっても影響が続くので初期対応が重要である。
  1. 診断の補助となる検査例を示した。
  1. うつ病の治療を、段階的治療(ステップド・ケア)モデルに則って、ステップ1からステップ4まで示した。
  1. 治療方針をうつ病の重症度別に示した。
  1. 専門医への紹介の基準を示した。
  1. 症例を記載した。

概要・推奨   

  1. 児童思春期のうつ病の症状は、年齢や発達水準、発達特性により異なる。身体症状の背景や、不機嫌、不登校、反抗などの行動変化の背景にうつ病が隠れていることがあるので、うつ症状のスクリーニングをルーチンで行う(推奨度2、G)、表2
  1. うつ病は児童青年の自殺リスクを高めるので、うつ病が疑われたら、まずリスク評価を行い、安全な治療計画を家族と話し合って構築しなくてはならない(推奨度1、JG)、表1
  1. 児童思春期のうつ病には他の精神医学的併存が多く、発達に応じて包括的な診断評価を行う(推奨度1、JG)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態・経過)  
  1. 年齢に関係なく、うつ病は発症する。有病率は年齢とともに増加し、思春期前の児童で2~3%、思春期後の青年では8%と推定されている[1][2]。経年的にみるとうつ病は増加傾向[3]にあり、COVID-19期にさらに増加した[4]。この傾向は、軽度のうつ病(診断閾下を含む)で著しい[5]
  1. 有病率の性差は思春期前にはないが、思春期を過ぎると女児に多くなる。その説明としてテストステロンの増加の関与が想定されている[6]。性的マイノリティは発症リスクが高い。
  1. 児童思春期のうつ病は、親や周りの大人に気づかれにくい。たとえ軽度であっても、学業や、対人関係を著しく損ない、自殺行動のリスクを高める。その影響は成人期になっても続くことから初期対応が重要である。
  1. うつ病は「ストレス-脆弱性モデル」で説明される。多くの場合、発症前にすでに症状が長期間持続し、学校不適応や家族関係の変化など社会機能が低下している。脆弱性のある人が環境リスクによるストレス[7]に晒されると、うつ病発症のリスクが最も起こりやすくなる(G×E相互作用)(表1<図表>)。
 
表1. 脆弱性要因と環境リスク要因

*は参考文献:
  1. Bleys D, Luyten P, et al. Gene-environment interactions between stress and 5-HTTLPR in depression: A meta-analytic update. J Affect Disord. 2018 Jan 15;226:339-345. doi: 10.1016/j.jad.2017.09.050. Epub 2017 Oct 3. PMID: 29031184.
  1. Beck AT. The evolution of the cognitive model of depression and its neurobiological correlates. Am J Psychiatry. 2008 Aug;165(8):969-77. doi: 10.1176/appi.ajp.2008.08050721. Epub 2008 Jul 15. PMID: 18628348.
  1. Kovács LN, Takacs ZK, et al. Rumination in major depressive and bipolar disorder - a meta-analysis. J Affect Disord. 2020 Nov 1;276:1131-1141. doi: 10.1016/j.jad.2020.07.131. Epub 2020 Jul 31. PMID: 32777651.
  1. Marino C, Andrade B, et al. Association Between Disturbed Sleep and Depression in Children and Youths: A Systematic Review and Meta-analysis of Cohort Studies. JAMA Netw Open. 2021 Mar 1;4(3):e212373. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2021.2373. PMID: 33749768; PMCID: PMC7985724.
  1. Hirota T, King BH. Autism Spectrum Disorder: A Review. JAMA. 2023 Jan 10;329(2):157-168. doi: 10.1001/jama.2022.23661. PMID: 36625807.
  1. Larson K, Russ SA, et al. Patterns of comorbidity, functioning, and service use for US children with ADHD, 2007. Pediatrics. 2011 Mar;127(3):462-70. doi: 10.1542/peds.2010-0165. Epub 2011 Feb 7. PMID: 21300675; PMCID: PMC3065146.
  1. Vidal-Ribas P, Stringaris A. How and Why Are Irritability and Depression Linked? Child Adolesc Psychiatr Clin N Am. 2021 Apr;30(2):401-414. doi: 10.1016/j.chc.2020.10.009. PMID: 33743947; PMCID: PMC7988746.
  1. Lavigne JV, Hopkins J, et al. Bidirectional influences of anxiety and depression in young children. J Abnorm Child Psychol. 2015 Jan;43(1):163-76. doi: 10.1007/s10802-014-9884-7. PMID: 24934567; PMCID: PMC4270931.

出典

著者提供
 
  1. 親との温かな支持的な関係、情動調整スキル、問題対処スキルなどは、うつ病の発症から守る保護要因である。
  1. 言語や認知が未発達な児童は、成人のように悲哀感や憂うつ気分を経験したり表現したりすることは難しい。身体化しやすく、不機嫌、かんしゃく、いらいら、攻撃性といった未分化な情緒や行動の変化として現れやすい。思春期には、不眠や食欲低下よりも、過眠、過食として現れることが多い。薬物反応性も成人とは異なり、児童思春期のうつの病態生理は十分に明らかになっていない。
  1. 発症年齢が低いほど、抑うつエピソードを反復しやすく、重篤になりやすい。児童期にうつ病と診断されても、初発の抑うつエピソードの後、軽躁や躁エピソードを発症し、うつ病から双極症に診断が変更されることもある。不安症、物質使用症など気分障害の他の診断に変更されることもしばしばある[8]
問診・診察のポイント:気づきと早期発見  
  1. うつが疑われる患者に対してはスクリーニング検査(表2 <図表>)を用いるなどして、うつ症状を同定することから始める(推奨度2、G)(図1<図表>のステップ1に相当)。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
神尾陽子 : 未申告[2024年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2025年]

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