今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 香取竜生 公立昭和病院 小児科

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2024/05/01
参考ガイドライン:
日本小児循環器学会学術委員会:小児期急性・劇症心筋炎の診断と治療の指針. 日本小児循環器学会雑誌 2006;.22 (4):514-524.
日本循環器学会編:急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン. Circ J 2004; 68( Suppl. Ⅳ): 1231-1263.
 
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1.  2023年改訂版 心筋炎の診断・治療に関するガイドラインに沿って一部改訂した。

概要・推奨   

  1. 心筋炎は心筋の炎症性疾患であり、原因の多くはウイルス感染による。
  1. 小児の致死性心筋炎の頻度は10万人中0.5人との報告がある。死亡率は20%とされるが、生存例の2/3は後遺症なく回復する。
  1. 発熱、嘔吐・下痢、食欲不振等の非特異的な感冒症状、消化器症状から発症する。「ただの感冒にしては」とまず疑うことが重要である。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 心筋炎は心筋の炎症性疾患であり、原因の多くはウイルス感染による。(<図表>
  1. 心筋壊死とともに炎症性物質による心筋細胞機能障害が起こり、心ポンプ失調、不整脈を来す。
  1. 好発年齢は乳幼児と10代半ばの二峰性。8歳未満の急性・劇症心筋炎(2006-2011年国内調査)221人中9人(4.1%)が新生児[1]
  1. 小児期の心筋炎の40%は劇症型、50%が急性である。小児例全体の生存例は75%とされる、60%は後遺症なく退院する。小児心筋炎は小児剖検例の18%にあたり、うち57%は突然死である。小児の致死性心筋炎の頻度は10万人中0.5人との報告がある[2][3][4]
  1. 生存退院は75.6%(劇症型48%、急性心筋炎91%)。退院後死亡1.8%。心臓移植0.6%[1]
  1. 風邪症状や消化器症状などに続いて、数日から数時間で心不全症状、胸痛、不整脈が出現する。劇症型では、急速に心原性ショックや重症不整脈を呈する。
  1. 前駆症状として、発熱55%、嘔吐45%、胸痛27%が多くみられる。
  1. 不安感、顔面蒼白、低血圧、頻脈、奔馬調律(ギャロップ)、不整脈、胸痛、腹痛、頚静脈怒張、呼吸不全などがみられたときは心筋炎を疑う必要がある。(<図表>
  1. 血液検査(心筋逸脱酵素、心筋トロポニン等)、心電図(ST-T異常、不整脈等)、胸部X線所見(心拡大、肺うっ血)、心エコー検査を行う。心エコーは特に有用である。
  1. 1~2週の炎症期ののち回復期に入る。急性期の治療としては回復期までの血行動態の維持(薬物療法、補助循環)が基本となる。特異的療法として、抗ウイルス薬、免疫抑制薬、大量免疫グロブリン療法がある。
  1. 回復期までの心不全管理が予後を左右する。心不全症状のみられる場合、できるだけ早期に、心筋生検を含む心臓カテーテル検査、大動脈内バルーンパンピング(IABP)や心肺補助循環など集中治療の可能な施設に搬送する。
 
  1. 小児期・新生児期の急性心筋炎の全国調査結果より劇症型心筋炎の特徴のまとめ(推奨度2)
  1. 対象:1984~93年に剖検で死因が確定した20歳未満の劇症型心筋炎患者11例[4]
  1. 年齢:平均11.5±5.5歳 10例が6歳以上。
  1. 前駆症状:発熱6例、嘔吐5例、胸痛3例、咳漱、不整脈各1例。
  1. 医療機関受診状況と死亡病日:4例は受診なく、うち2例は突然死。受診していた7例はいずれも前駆症状発症後3~4病日に死亡。
  1. 追記:非特異的な前駆症状と急速な経過に注意
 
  1. 日本における多施設でのアンケート調査のまとめ(推奨度2)
  1. 小児科学会認定施設627病院に対して、1997年1月~2002年12月までの5年間の小児期心筋炎経験例をアンケート調査した[5]。111施設から261症例の報告があり、そのうち161例について二次回答が得られた。劇症型が全体の約40%と多く、急性型と合わせた死亡率は約20%であった。生存例の約2/3は後遺症なく回復した。また、長期観察記での不整脈や心機能低下の遺残は比較的少なかった。治療として、ステロイドが26 %、免疫グロブリン大量療法が46 %、補助循環が約半数で有効と判断された。
  1. 病型:劇症型62 例(38.5 %)、急性85 例(52.8 %)、慢性7 例、不明7 例。
  1. 原因ウイルス:37 例(23.0 %)で判明。インフルエンザ 13例、コクサッキーウイルス A群6 例/B群9例、エコーウイルス 2例、エンテロウイルス属 2例、パルボウイルス 2例、サイトメガロウイルス 1例、麻疹 1例、ムンプス 1例。
  1. 初発症状:発熱86 例、悪心・嘔吐52 例、腹痛24 例。
  1. 心症状:心不全70 例、不整脈37 例、アダムス・ストークス発作/失神17 例、徐脈16 例。
  1. 入院時血液生化学検査:CK 5~38,100(CK-MB 1~1,525)IU/l、心筋トロポニンT<0.01~35.8 ng/ml、ミオシン軽鎖<0.1~120 ng/ml。
  1. 心エコー図(n=143):心収縮能低下117 例、心膜液貯留31 例、心筋肥厚15 例
  1. 心臓核医学:201Tl 集積:異常26、正常16。67Ga 集積:異常1、正常9。99mTc-ピロリン酸
  1. 集積:異常4、正常1。123I-MIBG 集積:異常19、正常4。
  1. 治療:大量免疫グロブリン療法:有効29(46 %)、無効16、不明28。ステロイド:有効11(26 %)、無効16、不明21。補助循環(IABP 4 例、PCPS 10 例、LVAS 0 例、ECMO 4 例):有効12、無効8、不明1。
  1. 転帰:生存120 例(74.5 %):後遺症なし 71 例、後遺症あり 49 例(心不全7、心機能低下29、不整脈10、弁膜症4、その他4)、再発/再燃なし77 例、死亡 39 例(18.6 %)。
  1. 長期観察期:正常 87 例(83 %)、異常 9 例、不変9 例、増悪 0 例。
  1. 不整脈:あり9 例(10 %)、なし28 例。
  1. 心機能低下:あり13 例(14.2 %)、なし78 例。
  1. 追記:国内における多施設へのアンケート調査のまとめである。確立したエビデンスのない現在、参考にすべきであろう。相当数の施設で免疫抑制療法、免疫グロブリン大量療法、補助循環が有用であると考えられている。
問診・診察のポイント  
  1. 発熱、嘔吐・下痢、食欲不振等の非特異的な感冒症状、消化器症状から発症する。鑑別疾患としての心筋炎が念頭にないと早期診断は困難である。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
香取竜生 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2024年]

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