今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 田邉信宏 千葉県済生会習志野病院 肺高血圧症センター

監修: 久保惠嗣 信州大学名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2025/10/01
参考ガイドライン:
  1. 日本循環器学会/日本肺高血圧・肺循環学会:2025 年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン(2025年7月閲覧)
  1. 日本肺高血圧・肺循環学会:肺高血圧症診療ガイダンス2024(2025年閲覧)
  1. Humbert M, Kovacs G, Hoeper MM, et al. 2022 ESC/ERS Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension. Eur Heart J, 2022; 43(38): 3618-731. PMID: 36017548
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 肺高血圧症の診断基準が「平均肺動脈圧>20 mmHg」に変更になったこと、および国内外のガイドラインの改訂に伴い大幅な改訂を行った。主な加筆・修正点は以下となる。
  1. CTEPHの確定診断は、胸部造影CTあるいは肺動脈造影の慢性血栓所見と、右心カテーテル検査で、肺動脈楔入圧が正常(≦ 15 mmHg)な肺高血圧症(ガイドラインでは、平均肺動脈圧>20 mmHかつ肺血管抵抗>2 WU、指定難病認定基準では平均肺動脈圧 ≧ 25 mmHg)を確認する。
  1. 急性肺血栓塞栓症後に労作時呼吸苦、運動耐容能やQOLの低下を来す患者が存在し、そのうち残存器質化血栓に起因する症状を持つ患者は、肺高血圧症の有無にかかわらず慢性血栓塞栓性肺疾患(CTEPD)とされる。「CTEPD with PH」が「CTEPH」と同義である。
  1. 専門施設あるいはコンサルトすることで、多職種による治療方針の検討を行い、肺血栓内膜摘除術(PEA)(中枢)、バルーン肺動脈形成術(BPA)(末梢)、肺血管拡張薬(細動脈)の組み合わせによる集学的治療を行う。
  1. 手術の適応とならないまたはPEA後残存、再発したCTEPHに対してBPAを行うが、BPA前に、リオシグアトやセレキシパグを投与してもよい。

概要・推奨   

病態
  1. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)[ESCガイドラインでは肺高血圧症を伴う慢性血栓塞栓性肺疾患(CTEPD with PH)という表現が用いられるようになった] は、器質化した血栓により肺動脈が慢性的に閉塞を起こし、肺高血圧症を合併するもので、労作時の息切れが特徴である。
  1. 血栓塞栓の反復と中枢側肺動脈内での血栓の進展が病状成立の主原因であるが、①亜区域レベルの弾性動脈での血栓性閉塞、②末梢側の筋性動脈における血管病変――などの関与も病態として関与していると考えられる。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
田邉信宏 : 講演料(日本新薬(株),MSD(株),持田製薬(株))[2025年]
監修:久保惠嗣 : 特に申告事項無し[2025年]

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