今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 花田豪郎 虎の門病院 呼吸器センター内科

監修: 高橋和久 順天堂大学大学院

著者校正済:2025/02/12
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本肺癌学会:肺癌診療ガイドライン―悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む 2024年版
  1. NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology:Thymomas and Thymic Carcinomas Version 1. 2025
  1. 日本胸腺学会:縦隔腫瘍取り扱い規約第1版(2009)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『肺がん診療ガイドライン2024年版』に基づき以下について加筆・修正した。
  1. 胸腺上皮性腫瘍の進行度および病期分類としてTNM分類(暫定UICC第9版)を追加した。
  1. 臨床病期Ⅳ期または再発胸腺癌に対するペムブロリズマブの記述を修正追加した。
  1. また、以下の内容についても加筆・修正した。
  1. 正岡分類とTNM分類の再現性に関する記述を追加した。
  1. 胸腺腫および胸腺癌の長期予後について最新の疫学情報に基づき記述内容を変更した。

概要・推奨   

  1. 縦隔腫瘍の臨床において、縦隔の区分は、正確な存在診断を可能にする(推奨度1)
  1. 胸腺上皮性腫瘍の進行度および病期分類として正岡分類は腫瘍の浸潤と播種転移を主たる基準にした分類であり、国際的に最も汎用されている臨床病期分類である(推奨度1)。近年、UICCによるTNM分類が発表されており、正岡分類とともに併記する(推奨度2)
  1. 胸腺腫では完全切除が不可能な場合には、亜全摘でも生存延長に意義があると考えられており、可能な限りの切除を行う(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 縦隔腫瘍とは、縦隔内臓器・組織から発生した腫瘍、嚢腫で、心疾患や食道腫瘍は除外する。
  1. 縦隔腫瘍のうち、胸腺関連腫瘍、先天性嚢胞、神経原性腫瘍、胚細胞性腫瘍、リンパ性腫瘍、縦隔内甲状腺腫などの頻度が高い。
  1. 縦隔はCT画像を基準に、縦隔上部、前縦隔、中縦隔、後縦隔に区分され(縦隔区分<図表>)、腫瘍占拠部位により起源組織・臓器が推定できる(縦隔腫瘍の好発部位<図表>)。
  1. 症状がないか、あっても軽度の咳嗽、胸痛の場合が多いが、周辺臓器の圧迫、浸潤による症状を呈することもある。
  1. 画像診断には、胸部造影CTが有用である。症例によっては、MRI、FDG-PETが役立つ。
  1. 腫瘍の鑑別が必要な場合や、術前治療の適応の場合、切除不能例の場合は、組織学的な確定診断が必要となり、経皮的針生検や胸腔鏡による組織採取が行われる。
  1. 治療は、原則として外科的切除が行われる。手術不能例や術後再発例では、化学療法や放射線療法が主体となる。
 
  1. 縦隔腫瘍は、胸腺腫、先天性嚢胞、神経原性腫瘍、リンパ性腫瘍、胸腺癌、胚細胞腫瘍、縦隔内甲状腺腫の順で頻度が高い(推奨度2、O)。(参考文献:[1]
  1. まとめ:2008年胸部外科学会の手術例の集計では、胸腺腫(36.8%)、先天性嚢胞(16.2%)、神経原生腫瘍(11.6%)、リンパ性腫瘍(6.4%)、胸腺癌(5.8%)、胚細胞腫瘍(5.6%)、縦隔内甲状腺腫(3.1%)の順で頻度が高い。
  1. 追記:悪性リンパ腫など手術適応にならない疾患は過小評価されていることを考慮する。
問診・診察のポイント  
問診のポイント:
  1. 縦隔腫瘍はさまざまな症状を呈することがあり、全身症状を含めた問診が必要となる。

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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
花田豪郎 : 講演料(アストラゼネカ(株))[2025年]
監修:高橋和久 : 講演料(アストラゼネカ(株),中外製薬(株)),研究費・助成金など(小野薬品工業(株),中外製薬(株)),奨学(奨励)寄付など(杏林製薬(株))[2025年]

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