今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 中屋孝清 公立丹南病院

監修: 杉山幸比古 練馬光が丘病院 呼吸器内科

著者校正/監修レビュー済:2025/05/29
参考ガイドライン:
  1. イギリス胸部疾患学会(British Thoracic Society): Guideline for pleural disease
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、下記について加筆・追加を行った。
  1. 気胸の分類、気胸の予防や日常対応について加筆した。
  1. British Thoracic Societyについての記載をアップデートした。
  1. 一般的な気胸の重症度分類シェーマ図を追加した。

概要・推奨   

  1. 患者のバイタルと胸部X線検査で肺虚脱度を確認し、バイタルの異常や虚脱の程度で治療方針を決定する。
  1. 背景肺によっては難治性気胸になるため、専門医の判断や治療が望ましい。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 気胸とは胸腔内に空気が貯留した病態である。
  1. 肺が虚脱した際に胸痛、背部痛、呼吸困難などの症状がみられる。
  1. 気胸は、発症要因によって、外的要因(外傷や治療など)に伴わずに発症する自然気胸と、外的要因によって発症する外傷性気胸に分けられる。
  1. 自然気胸はさらに、臨床的に明らかな呼吸器疾患を伴わない(原発性)自然気胸と、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの続発性(二次性)自然気胸に分けられる。
  1. 外傷性気胸はさらに、胸部への外傷による狭義の外傷性気胸と、検査(気管支内視鏡による経気管支肺生検など)や治療(鎖骨下静脈への中心静脈カテーテル挿入など)に伴う手技で生じる医原性気胸に分けられる。
  1. 男性で7.4~18/10万人、女性で1.2~6/10万人の発症率とされている。
  1. わが国での気胸に対する手術は2009年統計によると1万3,570件(呼吸器外科手術中の20.6%)とされている。
  1. 保存的治療での再発率は30%前後、再々発率は62%とされている。
  1. 気胸を繰り返したり、家族歴に気胸あるいは肺嚢胞を指摘されたりした者がいる場合、Birt-Hogg-Dubē(バート-ホッグ-デュベ)症候群(常染色体顕性遺伝)やMarfan症候群(常染色体顕性遺伝)、結節性硬化症(常染色体顕性遺伝)、肺リンパ脈管筋腫症、Ehlers-Danlos(エーラス-ダンロス)症候群といった遺伝性疾患の可能性について考える必要がある。
問診・診察のポイント  
  1. 呼吸状態、循環状態が安定しているかどうかを判断する。循環呼吸状態が不安定な緊張性気胸の場合には緊急脱気が必要である。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中屋孝清 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:杉山幸比古 : 特に申告事項無し[2025年]

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