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縦隔洞炎

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著者: 牛木淳人1) 信州大学 内科学第一教室

著者: 久保惠嗣2) 信州大学名誉教授

監修: 久保惠嗣 信州大学名誉教授

著者校正/監修レビュー済：2024/12/11
参考ガイドライン：
  1. 日本形成外科学会/日本創傷外科学会/日本頭蓋顎顔面外科学会：形成外科診療ガイドライン 3 2021年版 第2版
患者向け説明資料
改訂のポイント：
  1. 『形成外科診療ガイドライン 3 2021年版 第2版』の改訂に伴い、同ガイドラインに沿った内容に改訂した。主な改訂箇所は下記となる。
  1. 局所の培養検体については、「縦隔穿刺液」だけではなく、広く「創部培養」と修正し、推奨度を「推奨しない（推奨度3）」から「推奨する（推奨度2）」へ変更した。
  1. 高気圧酸素療法の項目を追加した。
  1. また、症例として「食道癌の治療中に発症した急性縦隔洞炎」例を報告した。

概要・推奨   

  1. 食道穿孔に続発した急性縦隔洞炎に対しては早期の食道修復術を行うことが強く推奨される（推奨度1、S）。
  1. 頭頚部領域の感染に続発した急性縦隔洞炎（降下性壊死性縦隔洞炎）に対しては、頚部のドレナージと縦隔のドレナージを併用することが強く推奨される（推奨度1、S）。
  1. 胸骨正中切開術後に発症した急性縦隔洞炎に対しては、外科的ドレナージとデブリードマンが強く推奨される（推奨度1、OJ）。
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急性縦隔洞炎と慢性縦隔洞炎
急性縦隔洞炎の胸部CT
食道穿孔や、頭頚部領域の感染に続発した急性縦隔洞炎の代表的な起因菌
胸骨正中切開術後の急性縦隔洞炎の代表的な起因菌と頻度
急性縦隔洞炎の診断、治療フローチャート

病態・疫学・診察 

疾患情報（疫学・病態）  
  1. 縦隔洞炎とは、縦隔に発生する炎症の総称であり、比較的まれな疾患である。
  1. 経過により急性縦隔洞炎と慢性縦隔洞炎に分けられる。
  1. 急性縦隔洞炎の原因として食道穿孔や、口腔・頚部の膿瘍などの重篤な感染症の波及、開心術後の感染などがある。
  1. 食道穿孔による急性縦隔洞炎は食道癌などの基礎疾患のある場合に発症しやすいが、特発性食道破裂（Boerhaave症候群）も原因となる。
  1. 歯原性膿瘍、咽後膿瘍や扁桃周囲膿瘍など口腔や頸部などの重症感染症が、筋膜間隙や気管周囲間隙に沿って下降し縦隔に波及して、重篤な感染状態に至る急性縦隔洞炎を降下性壊死性縦隔洞炎という。
  1. 降下性壊死性縦隔洞炎では胸膜炎や膿胸、心外膜炎を合併することがある。
 
急性縦隔洞炎と慢性縦隔洞炎
画像

急性縦隔洞炎は医療行為などを契機として急速に進行し予後不良である。一方、慢性縦隔洞炎は真菌や結核菌感染による緩徐進行性の疾患であり、予後良好である。

出典

著者提供
 
  1. 開心術における発生率は0.6～1.8％である[1][2][3][4][5]。
  1. 急性縦隔洞炎の死亡率は10～30％と予後不良であり、早期診断・治療が重要である。
  1. 慢性縦隔洞炎は、ヒストプラズマなどの真菌や、結核菌などによる硬化性、線維性、肉芽腫性の炎症である。
  1. 慢性縦隔洞炎に対する治療は確立していないが、予後は比較的良好である。
問診、診察のポイント  
  1. 感染に伴う全身症状および局所症状を確認する。

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薬剤監修について：
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也　以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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（詳細はこちらを参照）
著者のCOI（Conflicts of Interest）開示:
牛木淳人 : 特に申告事項無し[2024年]
久保惠嗣 : 特に申告事項無し[2024年]
監修：久保惠嗣 : 特に申告事項無し[2024年]

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