今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 吉村和晃 産業医科大学若松病院 産婦人科

監修: 小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学

著者校正/監修レビュー済:2024/06/26
参考ガイドライン:
  1. 日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会:産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023
  1. 日本性感染症学会編:性感染症 診断・治療ガイドライン2020
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編 2023」の発行に伴いレビューを行った。
  1. 性器ヘルペスウイルス感染症数の定点観測グラフの更新を行った。

概要・推奨   

  1. 外陰部水疱性・潰瘍性病変を認め、病歴・視診でHSV感染が疑われた場合、病変部からの抗原検査を行う(推奨度1)
  1. 血清抗体検査の判定は慎重に行う。
  1. HSV感染に対してはアシクロビル、バラシクロビル、またはファムシクロビルを投与する。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 外陰ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus、HSV)1型(HSV-1)または2型(HSV-2)の感染による性感染症である。
  1. 性感染症のなかで女性では性器クラミジア感染症に次ぐ第2位で、女性/男性比が1.51と女性優位である。
 
性器ヘルペスウイルス感染症報告数の年次推移(定点報告)

性器ヘルペスの患者数はこの5年間で横ばいとなっており、女性優位である。

出典

[http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html 性器ヘルペスウイルス感染症報告数の年次推移 定点報告(厚生労働省ホームページ)]をもとに作成
 
  1. 初めて症状が出現した場合を初発といい、初めての感染による場合を初感染初発といい、過去の感染による場合を非初感染初発と呼ぶ[1]
  1. 初発の後、HSVは感染後知覚神経節に潜伏感染し、ときどき再活性化されて外陰部に潰瘍性または水疱性病変を形成することが多く、これを再発と呼ぶ[1]
  1. 初感染初発の潜伏期間は平均2~10日で重症となることが多く、約2~3週間で自然治癒するが、抗ウイルス薬投与で約1週間で軽快する。
  1. 非初感染初発は発症時HSV IgG陽性である。初感染初発よりも軽症で、全身症状もなく治癒までの期間も短い。
  1. 再発では、病変が出現する直前に大腿に放散する神経痛様の疼痛や外陰部不快感が30~50%の症例でみられ、軽症であることが多い。
  1. 再発頻度はHSV-2感染例がHSV-1感染例よりも高い。
 
初感染初発型の臨床経過

初感染初発の潜伏期間は平均2-10日で重症となることが多く、約2~3週間で自然治癒するが、抗ウイルス薬投与で約1週間で軽快する。

出典

安元慎一郎:STD性感染症アトラス. 秀潤社, 2008:80.
 
再発型の臨床経過

再発では、病変が出現する直前に大腿に放散する神経痛様の疼痛や外陰部不快感が30-50%の症例でみられ、軽症であることが多い。

出典

安元慎一郎:STD性感染症アトラス. 秀潤社, 2008:81.
 
女性性器におけるHSV初感染例の年次別再発率

再発頻度はHSV-2感染例がHSV-1感染例よりも高い。

出典

安元慎一郎:STD性感染症アトラス. 秀潤社, 2008:81.
問診・診察のポイント  
  1. 過去に同じようなエピソードがあったか、あればいつ頃・何回くらいあったかを問診する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
吉村和晃 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:小林裕明 : 講演料(MSD(株),アストラゼネカ(株),サノフィ(株)),研究費・助成金など(日本ベクトン・ディッキンソン(株)),奨学(奨励)寄付など(中外製薬(株),(株)新日本科学)[2025年]

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