今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 五來逸雄 医療法人産育会堀病院 産婦人科

監修: 小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学

著者校正/監修レビュー済:2025/05/29
参考ガイドライン:
  1. 日本産科婦人科学会:産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編 2023
  1. 米国産婦人科学会(ACOG):米国産婦人科学会 第4版2014年
  1. 英国王立産科婦人科学会(RCOG):英国王立産科婦人科学会(Green-top Guideline No. 48) 2017年
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『婦人科診療ガイドライン婦人科外来編 2023』、「米国産婦人科学会第4版2014年」および「英国王立産科婦人科学会(Green-top Guideline No. 48)2017年」に基づき確認を行った。
  1. 病因、治療では最新の知見を追加した。
  1. 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬をLEPと記載した。
 

概要・推奨   

  1. 月経前症候群では発症時期、精神症状、身体症状の病歴を詳細に聴取して診断することが勧められる。
  1. カウンセリング、生活指導や運動療法を行うことがある。
  1. 治療薬剤を決めるときには患者自身とよく話し合うことが重要である。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 月経前症候群(premenstrual syndrome、PMS)は、月経前3~10日間の黄体期後期に発症する多種多様な精神的あるいは身体的症状で月経発来とともに減弱あるいは消失するものをいう[1]
  1. 症状としては、精神症状(いらいら、のぼせ、怒りっぽくなる、落ち着きがない、憂うつの順で多い)、身体症状(下腹部膨満感、下腹痛、腰痛、頭重感、頭痛、乳房痛の順に多い)が観察される[1]
  1. 日本では生殖年齢女性の約70~80%が月経前に何らかの症状を有するといわれる。欧米と同じ基準を適応すると生殖年齢女性の約5.4%で社会生活困難を伴うPMSが認められる[2][3]。最近のメタ解析によると、人種差はあるものの平均すると47.8%が観察されている[4]。22~39歳の若年成人女性では、33~41%との報告もある[5]。精神症状が強い場合は月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder、PMDD)と呼び、その頻度は約1.2%であり[2][3]、欧米では3~8%である[6]
  1. PMS、PMDDの発症には年齢差、人種差は認めず、生活習慣や勤務の有無とは関係しない。
  1. 月経前の体調不良について国際月経前疾患学会(ISPMD)ではPMSとPMDDを含めて月経前の体調不良をpremenstrual disorders(PMDs)と定義している[7][8]
  1. 病因は多岐にわたり、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの不均衡[9]、黄体期初期でのエストロゲン低値と黄体ホルモン高値[10]、黄体期後期の急峻な黄体ホルモン値の低下[11]、エストロゲン受容体の遺伝子多型[12]、黄体ホルモン代謝産物(allopregnanolone)に対するGABA-A受容体の感受性の異常[13][14][15]、セロトニン作動性ニューロンの異常[16][17]、レプチン[18]・μ-オピオイド受容体の増加とcAMP/ERKシグナル伝達経路の活性化[19]、α2アドレナリン作動性受容体の異常[20]、精神的葛藤、社会的不安[21]、脳波の変調[22]、カルシウム代謝ホルモンの異常 [23][24][25][26][27][28][29]、マグネシウム欠乏[30][31]、メラトニン日内変動異常[32][33][34]、喫煙[35]、アルコール摂取[36]などが考えられている。
  1. 月経周期の後半に類似の身体症状、精神症状が繰り返して出現することにより診断する。
  1. 日常生活、勤務などの社会生活に影響を与える中等度以上のPMS、PMDDのみが治療の対象になる[37]
  1. カウンセリング、生活指導、運動療法などを行う。
  1. 対症療法として鎮痛薬、抗精神薬、抗不安薬、利尿薬(スピロノラクトン)、漢方薬などがあり、ホルモン療法としてLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)、主としてドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠[38][39][40]が用いられる[25][41][42]
  1. 補完療法としてビタミンB6、カルシウム、マグネシウム、チェストベリー[43][44][45]、エクオール[46][47]などある。ビタミンB6はRCOGのガイドラインでfirst lineとして推奨されている。
  1. 精神症状が強度の場合には精神科あるいは心療内科に紹介する。
  1. PMSの既往と産後うつ発症との関連[48][49][50]、PMSとその後の高血圧症発症との関連[51] 、PMSと自殺との関連[52]が示唆されている。
問診・診察のポイント  
問診:
  1. いらいら、怒りっぽくなる、のぼせ、憂うつ、下腹部膨満感、下腹部痛、腰痛、頭重感、頭痛、乳房痛、落ち着きがないなどの症状を聞きだし、精神症状と身体症状に分けて評価する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
五來逸雄 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:小林裕明 : 講演料(MSD(株),アストラゼネカ(株),サノフィ(株)),研究費・助成金など(日本ベクトン・ディッキンソン(株)),奨学(奨励)寄付など(中外製薬(株),(株)新日本科学)[2025年]

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