今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 山岨達也 東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・聴覚音声外科

監修: 森山寛1) 東京慈恵会医科大学附属病院

監修: 小島博己2) 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科

著者校正/監修レビュー済:2025/01/29
参考ガイドライン:
  1. American Academy of Otolaryngology—Head and Neck Surgery:Clinical Practice Guideline: Age-Related Hearing Loss. 2024
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下について追記・加筆、修正を行った。
  1. 認知症との関連について、および聴覚介入による認知症抑制の可能性に言及した。
  1. 「特発性難聴」という診断名は2024年時点でほとんど使用されていないため、指定難病である「若年発症型両側性感音難聴」について鑑別診断に加筆をした。
  1. 家族歴や年齢に関する記載を一部修正した。
 

概要・推奨   

  1.  軽度難聴でも生活上の不自由を感じる場合、早期の補聴器装用を勧める。
  1.  補聴器については補聴器相談医に紹介する。
  1.  補聴効果の乏しい場合は人工内耳の適応があり、専門医に紹介する。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 老人性難聴とは高齢者にみられる聴力の生理的な年齢変化により生じる難聴、すなわち加齢に伴って徐々に進行する両側性感音難聴である[1]
  1. 純音聴力検査では高音域から聴力閾値が上昇し、徐々に低・中音域まで障害される。
  1. 中年以降の難聴は認知症の最大の危険因子であり[2]、その大半が老人性難聴である。
  1. 認知機能低下のリスクが高い高齢者集団では補聴器装用などの聴覚介入により認知機能の変化が抑制される可能性がある[3]
 
老人性難聴(軽度難聴 高音急墜型)

高音急墜型感音難聴のオージオグラム(軽度難聴)

出典

著者提供
 
老人性難聴(軽度難聴 高音漸傾型)

高音漸傾型感音難聴のオージオグラム(軽度難聴)

出典

著者提供
 
老人性難聴(中等度難聴 水平型・高音漸傾型)

水平型感音難聴のオージオグラム(中等度難聴)

出典

著者提供
 
  1. 聴覚情報の中枢処理の遅延、音源定位の悪化などが特徴である[4][5]
  1. 騒音下での聴取が困難となり、難聴が進むと子音の弁別に困難を覚え、さらに進行すると母音の弁別も困難となりコミュニケーションが高度に障害される[4][5]
  1. 難聴の発現時期や程度には個人差が大きい。同年代では女性が男性より難聴が軽い傾向にある[1]
  1. 頻度については65歳以上の25~40%、75歳以上の40~66%、85歳以上の80%以上と推定されている[6]
  1. わが国での老人性難聴の正確な頻度は不明であるが、良聴耳の平均聴力が25 dB を超えたものと定義すると、65歳以上で1,900万人が罹患していると推定される。
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 難聴の有無、その経緯、性状

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
山岨達也 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:森山寛 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:小島博己 : 特に申告事項無し[2025年]

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