今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 春名眞一 獨協医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科

監修: 森山寛1) 東京慈恵会医科大学附属病院

監修: 小島博己2) 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科

著者校正/監修レビュー済:2023/01/25
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 好酸球性副鼻腔炎術後再発例の治療に生物学的製剤(抗体療法)が導入された。
  1. 重症度分類を追加した。

概要・推奨   

  1. 慢性副鼻腔炎で、嗅覚障害を主訴にする、喘息や中耳炎を合併している場合に本疾患を考える。
  1. 好酸球性副鼻腔炎の軽症例では薬物療法、中等症や重症例では手術療法が推奨される。
  1. 好酸球性副鼻腔炎再発重症例では生物学的製剤の適応となる。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 副鼻腔炎は急性副鼻腔炎、慢性化膿性副鼻腔炎、好酸球副鼻腔炎に大きく分類される。その他、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性真菌性副鼻腔炎がある。そのうち、好酸球性副鼻腔炎とは、副鼻腔粘膜に著明に好酸球浸潤の認められる副鼻腔炎である。好酸球性副鼻腔炎にはone airway one diseaseであり、しばしば気管支喘息(asthma)、アスピリン喘息(AIA)を合併する。
 
好酸球性副鼻腔炎の範疇

好酸球性副鼻腔炎にはone airway one diseaseであり、しばしば気管支喘息、アスピリン喘息を合併する。

出典

春名眞一:好酸球性副鼻腔炎の治療update.ENTONI 2009;106:1-5.
 
アスピリン喘息を伴う好酸球性副鼻腔炎

CT所見にて汎副鼻腔炎を認める。

出典

著者提供
 
  1. 成人発症である(まれに10歳代に認める)。
  1. 両側性副鼻腔炎。
  1. CT所見で上顎洞より篩骨洞の陰影が優位である。<図表>
  1. 内視鏡鼻内所見で上中鼻道、上中鼻甲介に多発性鼻ポリープを認める(鼻ポリープを観察できにくい症例もある)。<図表>
  1. 主訴のなかに嗅覚障害がある。
  1. 血中好酸球数増多あるいは副鼻腔組織中著明な好酸球数浸潤が認められる。
 
好酸球性副鼻腔炎の鼻ポリープの組織像

好酸球優位の炎症細胞浸潤、杯細胞の増生、基底膜の肥厚が認められる。

出典

著者提供
 
  1. ステロイド薬、特に経口ステロイド薬が臨床所見の改善に有効である。
 
好酸球性副鼻腔炎の経口ステロイド薬投与前後の鼻内所見

ステロイドを投与すると鼻ポリープの著明な改善を認めた。
a:経口ステロイド薬投与前
b:経口ステロイド薬投与後

出典

著者提供
 
  1. 内視鏡下鼻内副鼻腔手術後に経過不良を呈する。
  1. マクロライド療法の効果は不明である。
  1. 粘稠性分泌物が認められる。
 
好酸球性中耳炎の鼓膜所見

好酸球優位の炎症細胞浸潤、杯細胞の増生、基底膜の肥厚が認められる。

出典

著者提供
 
  1. 好酸球性副鼻腔炎は、指定難病であり、①重症度分類で中等症以上、または②好酸球性中耳炎を合併している場合などでは、申請し認定されると保険料の自己負担分の一部が公費負担として助成される。([平成27年7月施行])
  1.  難病法に基づく医療費助成制度 

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
春名眞一 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:森山寛 : 未申告[2024年]
監修:小島博己 : 特に申告事項無し[2024年]

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好酸球性副鼻腔炎

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