今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 池田このみ 聖マリアンナ医科大学附属病院 耳鼻咽喉科

監修: 小島博己 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科

著者校正済:2025/11/12
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本呼吸器学会:睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020
  1. 日本循環器学会:2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
  1. ⽇本肥満症治療学会:減量・代謝改善手術のための包括的な肥満症治療ガイドライン2024
  1. アメリカ睡眠医学:Aurora RN, et al.: Practice parameters for the surgical modifications of the upper airway for obstructive sleep apnea in adults. Sleep. 2010 Oct;33(10):1408-13.
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下について加筆・修正した。
  1. 日本循環器学会から発行された『2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』の内容をさらに追加した。
  1. 自覚症状がなくても循環器疾患等を有する場合もSASと診断できる点を明記した。併せて、循環器疾患併存患者におけるSRBDのスクリーニングおよび早期介入の推奨を明記した。
  1. オートCPAP(Auto-titrating CPAP)は固定圧と同等の効果を示す点について明記した。
  1. 心不全合併の中枢性無呼吸(CSA)に対する保存的加療(CPAP、ASV、薬物療法、生活や睡眠の質に関する指導)を追記した。
  1. 不眠合併やCPAP導入時の不適応に限り、非ベンゾジアゼピン系・オレキシン受容体拮抗薬の慎重投与が提案された点を追記した。
  1. 小児・女性・非肥満OSAの存在により、日本人を含むアジア人ではBMIが正常範囲でも上気道閉塞を生じやすいことが明らかになり、従来の「肥満男性に多い疾患」とされてきたBMI重視のスクリーニング概念が解剖学的・ホルモン的・機能的要因を重視する方向に修正された点を追記した。
  1. 日本肥満症治療学会が2024年に公表した『減量・代謝改善手術のための包括的な肥満症治療ガイドライン2024』の中で、睡眠時無呼吸症候群が糖尿病や高血圧と同等の外科的治療適応疾患として明確化された点を追記した。
 

概要・推奨   

  1. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは睡眠関連呼吸障害(sleep related breathing disorder:SRBD)に含まれる病態である。いびきや睡眠中の無呼吸、日中の傾眠などを主訴とする疾患であり、2014年に改訂された睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)では主に睡眠中の気道、主に咽頭が完全または不完全に虚脱することが原因の閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea:OSA)と呼吸努力を伴わない中枢性睡眠時無呼吸症候群、睡眠関連低換気障害、睡眠関連低酸素血症に大別される。
  1. OSAは成人と小児では臨床像、診断基準、経過、合併症が異なるため分けて定義された。
  1. SRBDはいびきによる騒音だけではなく、未治療の成人重症例では脳血管、心循環系など重篤な疾患の合併により、長期の生存率が低下することや、睡眠の分断による日中傾眠が交通事故や産業事故などの原因となるリスクが問題である。小児では、身体発育の遅れや、学校の成績の低下など成長に影響するため、成長発達や学業への影響を考慮し早期に治療介入する必要がある。
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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
池田このみ : 特に申告事項無し[2025年]
監修:小島博己 : 特に申告事項無し[2025年]

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