今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 古川孝俊1) 山形大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座、山形県立新庄病院耳鼻咽喉科

著者: 欠畑誠治2) 山形大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座

監修: 森山寛1) 東京慈恵会医科大学附属病院

監修: 小島博己2) 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科

著者校正/監修レビュー済:2022/10/12
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、最近の文献を追加して内容のアップデートを行った。
  1. 2019年に世界初の鼓膜再生用剤が製造販売承認され、耳鼻咽喉科一般診療施設で鼓膜再生療法が施行可能となったことを追記した。

概要・推奨   

  1. 鼓膜穿孔のみであれば、感染予防のみ注意して穿孔の閉鎖を待つ。
  1. 一般的に2~3カ月間鼓膜穿孔が残存すれば、鼓膜形成術・鼓室形成術の適応となる。
  1. 内耳に障害がある場合は、ステロイドの投与が推奨される。
アカウントをお持ちの方はログイン
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。
閲覧にはご契

まとめ 

疾患情報(疫学・病態)  
ポイント:
  1. 外傷性鼓膜穿孔とは外部からの圧力などによって鼓膜が損傷する外傷と定義される。
  1. 損傷に至らしめる外力には直達性と介達性とがある。
  1. 直達性では、異物が外耳道を通って鼓膜に達し損傷する。綿棒や耳かき棒による。
  1. 介達性は、平手で外耳を打ったり爆発時の爆風などによって鼓膜が破損したりする場合をいう。
  1. 病態の可及的速やかな把握が重要である。
  1. 鼓膜穿孔のみであれば、感染予防のみ注意して穿孔の閉鎖を待つ[1][2](推奨度2 O)
  1. 一般的に2~3カ月間鼓膜穿孔が残存すれば、鼓膜形成術・鼓室形成術の適応となる[1][2][3][4][5](推奨度2 O)
  1. 耳小骨の損傷があって、内耳障害がなく、伝音難聴のみの場合には原則として待機手術とする。
  1. 内耳障害の有無をまず鑑別する。そのためには、眼振の有無、感音難聴の有無を可及的速やかに調べる[6](推奨度2 O)
  1. 内耳に障害がある場合は、ステロイドの投与が推奨される[7][8][9](推奨度2 O)
  1. 外リンパ瘻を生じた場合には、入院して安静を保ち、場合により緊急手術(アブミ骨手術)が必要である。
 
  1. 耳かき外傷について
  1. 外耳道はS字上に弯曲しているため耳かきによる鼓膜穿孔は鼓膜前部に生じやすく、この場合耳小骨連鎖障害は合併しない[10][11]
  1. 耳小骨連鎖障害の合併は2~3%[11][12]
  1. 強いめまい、眼振所見、2,000Hz以上の骨導閾値の上昇がある症例では外リンパ瘻を疑う[6][10]
  1. 外リンパ瘻の合併が疑われる症例に対しては感染のリスク、めまいのコントロールの観点からも可及的早期の手術が望ましい[6][13][14][15](推奨度2 O)
  1. 若年~中年女性に多い。
  1. 子どもがぶつかったために生じることが多い。
 
  1. 耳かきによる外傷性外リンパ瘻
  1. 耳かきによる外傷性鼓膜穿孔のうち11.1%を占める[6]
  1. 症状としてはめまい(100%:うち回転性57.1%、浮動性42.9%)、難聴(100%)、耳鳴り(85.7%)、耳閉塞感(71.4%)、耳痛(14.3%)[6]
  1. 鼓膜穿孔部位は後上象限のみが57.1%、後下象限のみが28.6%、後上象限と後下象限にわたるものが14.3%[6]
  1. 聴力検査所見では高音域の骨導低下を伴う混合性難聴が多い[6]
  1. 平衡機能検査では自発眼振(100%、水平回旋混合性眼振。うち健側向き85.7%、患側向き14.3%)、瘻孔症状は100%でみられた[6]
  1. 患側下頭位での患側向き眼振や瘻孔症状が外リンパ瘻を疑わせる有力な手がかりとなる[16]
 
  1. 迷路気腫(pneumolabyrinth)
  1. 1984年にMafeeらが初めて報告した[17]
  1. 原因としては外傷、中耳手術、先天奇形などがある。
  1. 広範な気腫が混入している症例では、内耳の組織像変化を来し、不可逆的な内耳障害を生じる[18]
  1. 保存的治療では、気腫が前庭、半規管に限定していれば48%が10dB以上の聴力改善を得る。気腫が蝸牛に達していると聴力改善が得られない[19]
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 原因

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
古川孝俊 : 特に申告事項無し[2025年]
欠畑誠治 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:森山寛 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:小島博己 : 特に申告事項無し[2025年]

ページ上部に戻る

外傷性鼓膜穿孔・耳小骨損傷

戻る