今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 松浦哲也 徳島大学医学部運動機能外科学

監修: 落合直之 キッコーマン総合病院外科系センター

著者校正/監修レビュー済:2021/04/14
参考ガイドライン:
  1. 日本臨床スポーツ医学会整形外科学術部会:野球障害予防ガイドライン
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

概要・推奨   

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 肘関節には内側に内側上顆と滑車、外側に小頭、外側上顆と橈骨頭、後方に肘頭の6つの骨端核が存在する。
  1. 骨端核の出現は最も早い小頭の1歳前後から外側上顆の11歳頃までバリエーションに富んでいるが(<図表>)、閉鎖時期は14~17歳頃に集中している[1]
 
肘の骨端核出現時期

左:正面像、右:側面像
肘関節骨端核の出現時期はバリエーションに富んでおり、最も早い小頭(c)の1歳前後から、外側上顆(L)の9~11歳頃までさまざまである。

出典

金谷文則:第26章 肘関節.内田淳正監修. 中村利孝, 松野丈夫, 井樋栄二, 馬場久敏編集:標準整形外科学第11版.医学書院,2011;426.
 
  1. 投球動作では内側に牽引力、外側に圧迫力、後方に剪断力が加わり(<図表>)、それぞれの骨端核に障害が生じ得る。
 
投球動作で肘関節に加わるストレス

a:加速期
b:フォロースルー期
投球動作の加速期(a)では内側に牽引力、外側に圧迫力、後方に剪断力が加わる。また、フォロースルー期(b)では後方に圧迫・剪断力が加わる。

 
  1. 広義には投球による骨端核の障害を総称して野球肘と呼ぶが、狭義には最も頻度の高い内側上顆障害のみを野球肘と呼ぶ。
  1. 次いで多いのが、離断性骨軟骨炎とも呼ばれる小頭障害である。
 
肘関節の骨軟骨障害発生頻度

最も頻度が高いのは内側上顆障害(狭義の野球肘)、次いで多いのが離断性骨軟骨炎である。

 
  1. 主な症状は疼痛であるが、離断性骨軟骨炎の病初期では症状が乏しい[2]
問診・診察のポイント  
  1. 野球歴、週間練習日数と時間、年間試合数やポジションを確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
松浦哲也 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:落合直之 : 未申告[2024年]

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野球肘、離断性骨軟骨炎

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