今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 藤岡 宏幸1) 兵庫医科大学 ささやま医療センター 病院長

著者: 田中 寿一2) 神戸大山病院 手外科・スポーツ傷害治療センター長

監修: 竹下克志 自治医科大学整形外科

著者校正/監修レビュー済:2025/03/26
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

概要・推奨   

  1. 肘関節脱臼・骨折などに伴う急性靱帯損傷で肘関節不安定性がある場合には、一次的靭帯修復を行うことが推奨される。
  1. 投球動作などに起因する慢性靭帯損傷では、まず、理学療法などを中心にした保存的治療を行うことが推奨される。
  1. 肘関節不安定性が持続する慢性靭帯損傷では、靭帯再建術を行うことが推奨される。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 肘関節靱帯損傷は、軽微な外傷による捻挫程度の病態から高度な靱帯の機能不全によって肘関節不安定症を呈する病態まである。
  1. 急性靱帯損傷は、転倒や転落などによる大きな外傷(肘関節脱臼・骨折など)に伴って生じる。
  1. 慢性靱帯損傷は、肘関節脱臼や骨折後に生じる場合や野球肘のように繰り返すストレスによって生じる場合がある。
  1. 肘関節は上腕骨と前腕骨(尺骨と橈骨)で屈曲伸展運動を行い、橈骨と尺骨は近位橈尺関節として、前腕の回内および回外運動に関与している[1]
 
肘関節の解剖

a:前方より b:内側より
 
参考文献:
Lynch JR, Waitayawinyu T, Hanel DP, Trumble TE. Medial collateral ligament injury in the overhand-throwing athlete. J Hand Surg Am [Internet]. 2008 Mar [cited 2018 Dec 18];33(3):430–7. Available from: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0363502307011070 PMID: 18343303

出典

上羽康夫:II 関節. 手 その機能と解剖 改訂3版. 金芳堂, 1996:87-88. 図49,50. より一部改変
  1. 上腕骨と尺骨から成る腕尺関節は蝶番関節で、近位橈尺関節は車軸関節である。
  1. 肘関節の主な支持機構は、前方は尺骨鈎状突起と上腕二頭筋や上腕筋、後方は尺骨肘頭や上腕三頭筋、内側は内側側副靱帯や前腕屈筋群(橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、円回内筋、浅指屈筋など)、外側は外側側副靱帯や前腕伸筋群(橈側手根伸筋、尺側手根伸筋、総指伸筋など)である。
  1. 橈骨頭は輪状靱帯によって安定化されている。
  1. 肘関節の靱帯で関節の安定性に最も重要な役割を果たしているのは内側側副靱帯である。
問診・診察のポイント  
  1. 転倒や交通事故などにおける外傷歴およびスポーツ活動などを問診し、肘関節の靱帯損傷や脱臼、骨折などの可能性を聴取する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
藤岡 宏幸 : 特に申告事項無し[2025年]
田中 寿一 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:竹下克志 : 講演料(第一三共(株))[2025年]

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肘関節靱帯損傷

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