今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 佐藤哲朗 仙台整形外科病院

監修: 酒井昭典 産業医科大学 整形外科学教室

著者校正/監修レビュー済:2024/05/29
参考ガイドライン:
  1. 日本整形外科学会/日本脊椎脊髄病学会:頸椎症性脊髄症診療ガイドライン 第3版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下について加筆・修正した。
  1. Drop armを肩の挙上障害と書き換えた
  1. 椎間板ヘルニアの定義について、語句の修正
  1. 頚部神経根症を呈する頚椎椎間板ヘルニアのフローチャートの修正
  1. その他語句や文字の修正

概要・推奨   

  1. 頚部神経根症に伴う疼痛がみられる場合は薬物療法に加えて頚部の前屈位保持を励行させる。
  1. 頚部神経根症に伴って上肢に重度の麻痺(肩の挙上障害、下垂指)がみられる場合は早めに手術治療を検討する。
  1. 進行性あるいは重度の頚部脊髄症がみられる場合は手術治療を行う。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 頚部椎間板ヘルニアとは、椎間板が退行変性することで、髄核や線維輪が脊柱管内に突出あるいは脱出した病態である。
  1. 男性に多く、40~60歳代に多い。
  1. 椎間板の変性過程で髄核、線維輪が軟骨板を含んで断片化し、この断片が脆弱となった後縦靱帯を穿破して脱出する。脱出の形態は、Ⅰ型:靱帯内脱出(脱出腫瘤が後縦靱帯の深層を穿破し、浅・深層間にとどまるもの)、II型:後縦靱帯浅層穿破(靱帯を破り、一部が硬膜外腔に脱出したもの)、Ⅲ型:硬膜外腔遊離片に分けられる[1]
 
頚椎椎間板ヘルニアの脱出形態

脱出の形態は、
Ⅰ型:靱帯内脱出(脱出腫瘤が後縦靱帯の深層を穿破し、浅・深層間にとどまるもの)、
II型:後縦靱帯浅層穿破(靱帯を破り、一部が硬膜外腔に脱出したもの)、
Ⅲ型:硬膜外腔遊離片、
に分けられる。

出典

国分正一:頚部椎間板ヘルニアの病態と治療.日整会誌69:375-387, 1995.図5. 後縦靱帯穿破様式の分類
 
  1. 脊柱管内への脱出方向から、正中ヘルニア、傍正中ヘルニア、外側ヘルニアに分けられる。正中、傍正中のものは脊髄症を起こしやすく、外側型は神経根症を起こしやすい[1][2]
  1. 正中ヘルニア:術前MRIa:矢状断像b:横断断像(C5/6):<図表>
  1. 傍正中ヘルニア:術前MRIa:矢状断像b:横断断像(C3/4):<図表>
  1. 外側ヘルニア:術前MRI(横断像):<図表>
  1. 神経根症を引き起こすヘルニアはC6/7椎間に最も多く、次いでC5/6、C7/T1、C4/5の順である[3]。脊髄症を引き起こすものはC5/6椎間に最も多く、次いでC4/5、C3/4の順である[1]
  1. 頚椎椎間板ヘルニアの自然縮小とそれに伴う症状の改善が報告されている[4][5]
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 事故などを契機に発症か

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
佐藤哲朗 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:酒井昭典 : 講演料(旭化成ファーマ(株),日本臓器製薬(株),帝人ヘルスケア(株))[2024年]

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