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改訂のポイント:
  1. 最新のガイドラインである「腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2021(改訂第2版)」に基づき、腰部脊柱管狭窄症に伴う間欠性跛行の治療について加筆を行った。
  1. 最新のガイドラインである「末梢動脈疾患ガイドライン(2022年改訂版)」に基づき、間欠性跛行を示す末梢動脈疾患を「動脈硬化性の下肢閉塞性動脈疾患(動脈硬化性LEAD)」と記載すると共に、治療について加筆を行った。

概要・推奨   

  1. 異なる病態の多くの疾患が跛行の原因となり得る。
  1. 歩行の観察から原因となる疾患を想定し、適切な検査を行う。
  1. 腰部脊柱管狭窄症に伴う間欠性跛行の場合、薬物治療を行うことが推奨される(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 跛行とは歩行、歩容の異常であり、「異常歩行」、「歩容異常」との区別は明確でなく、原因や病態も多岐にわたる。
  1. 間欠性跛行は、歩行距離とともに下肢に脱力や疼痛が生じ、休息により回復するもので、腰部脊柱管狭窄症や、動脈硬化性の下肢閉塞性動脈疾患(以下、動脈硬化性LEAD:lower extremity artery disease)により生じる。
  1. 軟性墜落性跛行は、股関節外転筋の筋力低下により骨盤の傾斜を生じるもので、変形性股関節症などにより生じる。
  1. 硬性墜落性跛行は、下肢長差による異常歩行で、下肢長差の原因はさまざまである。
  1. 以上のほかに、片側下肢に痛みがある場合の疼痛回避歩行、足関節背屈筋力低下による鶏歩、中枢神経の異常による痙性歩行、失調性歩行などを跛行に含めることがある。
 
  1. 間欠性跛行を示す疾患の有病率
  1. 日本における腰部脊柱管狭窄症の有病率は、60歳以上の成人で12.5%である[1]
  1. 日本における動脈硬化性LEADの有病率は、40歳以上の成人で1.71%である[2]
 
  1. 変形性股関節症の有病率
  1. 日本における変形性股関節症の有病率は、60~79歳の女性で2%である[3]
 
跛行の原因の鑑別方法:
  1. 軟性墜落性跛行:片側での立脚相に反対側の骨盤が下降する。股関節の外転筋力が低下している。
  1. 硬性墜落性跛行:片側での立脚相に反対側の骨盤が下降する。反対側の下肢長が短い。
  1. 疼痛回避歩行:痛みのある側の立脚相の時間が反対側に比べて短い。
  1. 足関節背屈筋力低下:患側の遊脚相で股関節・膝関節の屈曲角度が大きく、前足部が下垂し足関節底屈位を示す。
  1. 中枢神経の異常による痙性歩行:股関節が伸展し、足部は内反尖足を示す。
  1. 失調性歩行:左右の足を広く開いて歩き、足を高く上げて強く床にたたきつけるように歩く。
問診・診察のポイント  
 
  1. 下肢や体幹の疾患の既往について問診する。それら以外にも、高血圧、糖尿病など動脈硬化と関連した疾患、中枢神経系の疾患の既往も確認する。下肢の痙縮や失調を示す疾患のなかには遺伝性の疾患も含まれるため、家族歴の聴取も必要である。
  1. 跛行をいつから自覚し、その程度が不変か悪化しているかを問診する。跛行を自覚しているかだけでなく、以前に他人から指摘されたことがないかも尋ねる。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
芳賀信彦 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:酒井昭典 : 講演料(旭化成ファーマ(株),帝人ヘルスケア(株))[2025年]

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