今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 永井秀哉 福井県立病院 救命救急センター

監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院

著者校正済:2025/02/12
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 米国アレルギー・喘息・免疫学会 (AAAAI):Anaphylaxis: A 2023 practice parameter update
  1. 日本アレルギー学会:アナフィラキシーガイドライン2022
  1. 日本アレルギー学会:アレルギー総合ガイドライン2022
  1. 日本麻酔科学会:アナフィラキシーに対する対応プラクティカルガイド
  1. 世界アレルギー機構(WAO):World Allergy Organization guidelines for the assessment and management of anaphylaxis
  1. 世界アレルギー機構(WAO):World allergy organization anaphylaxis guidance 2020
 
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 米国アレルギー・喘息・免疫学会『Anaphylaxis: A 2023 practice parameter update』の内容を踏まえ、以下について追記・修正を行った。
  1. 急性期症状へ「二相性アナフィラキシー」「難治性アナフィラキシー」について追記した。
  1. 急性アレルギー反応の重症度分類表を改訂した。
 

概要・推奨   

  1. アナフィラキシーは「急速に発症した重度の全身性アレルギー反応で、死に至る危険があるもの」と定義される。
  1. 皮膚粘膜症状に加えて呼吸・循環・消化器症状がある場合、原因不明のショックや呼吸困難をみた場合には、必ずアナフィラキシーを鑑別に入れる。
  1. アナフィラキシーの初期診療では、早期治療に寄与する有用な検査はなく、経過と症状から臨床診断することが重要である(推奨度1、JG)
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  1. H1受容体拮抗薬は、呼吸・循環の安定化を図るための初期治療としては勧められない。皮膚粘膜症状の治療として投与してもよい(推奨度3、JG)
  1. H2受容体拮抗薬は、呼吸・循環の安定化を図るための初期治療としては勧められない。アドレナリンの投与でも喘鳴、皮膚症状が改善しない場合に、投与してもよい。H1受容体拮抗薬と併用することが望ましい(推奨度3、JG)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
アナフィラキシー全般:
  1. アナフィラキシーは「急速に発症した重度の全身性アレルギー反応で、死に至る危険があるもの」と定義される[1][2]。そのうち、血圧低下等の循環障害を伴うものをアナフィラキシーショックと呼ぶ。
  1. 刺激された肥満細胞と好塩基球から放出されたメディエーターが全身に作用する。
  1. 全人口の0.05~2%がアナフィラキシーを発症する。
  1. 全年齢で発症の可能性がある。平均発症年齢20~30歳代で、19歳未満で最も発症率が高い。アナフィラキシーの発症は増加傾向にあり、特に若年者での増加が目立つ[3]
  1. わが国ではアナフィラキシーの既往を有する児童・生徒の割合は、小学生0.6%、中学生0.4%、高校生0.3%である(平成25年度文部科学省:学校生活における健康管理に関する調査)。
 
時間経過: 
  1. 急性期症状:
  1. アレルゲンへの曝露後、数秒~2時間(通常は5~30分)で発症する。まれには数時間後に発症することもある。
  1. 無治療でも数時間かけて自然軽快することが多い(が、それを期待して治療を控えてはならない)。
 
  1. 持続性アナフィラキシー:
  1. アナフィラキシー症状や所見が少なくとも4時間持続することを指す。
 
  1. 二相性アナフィラキシー:
  1. 急性期症状が治まった後に起こる症状の再燃を指す。
  1. 以下の4つの基準をすべて満たす場合に強く疑われる[4]
  1. 新規または再発性のアナフィラキシー症状
  1. 初期症状および診察所見が完全に消失した後に、新たな症状または診察所見が出現
  1. アレルゲンまたは誘因の再暴露がないこと
  1. 最初の症状または検査所見が完全に消失してから1~48時間以内に、新規または再発する症状または検査所見
  1. 初期治療薬剤の効果切れ、不十分な治療、アレルゲンの再吸収、遅発型のIgE反応など、複数の機序が関与すると考えられている。
  1. アナフィラキシー全体の1~23%にみられるとされるが、2010年以降は0~6%の報告が多い。多くはアナフィラキシーに至らない軽症で、蕁麻疹がみられる程度であるが、まれに重症である場合もある[5]
  1. 二相性反応のリスク因子:初回反応が重症(オッズ比 2.11; 95%CI 1.23-3.61)、2回以上のアドレナリン投与(オッズ比 4.82; 95%CI 2.70-8.58)、脈圧上昇(オッズ比 2.11; 95%CI 1.32-3.37)、アレルゲン未特定(オッズ比 1.63; 95%CI 1.14-2.33)、皮膚症状(オッズ比 2.54; 95%CI 1.25-5.15)、小児で薬剤性(オッズ比 2.35; 95%CI 1.16-4.76)で、呼吸困難はリスクを下げる(オッズ比 0.6; 95%CI 0.38-0.96-3.61)[6]
 
  1. 難治性アナフィラキシー:
  1. 以下の2つの基準を両方満たす場合に疑われる[4]
  1. アドレナリン投与や輸液など適切に治療されても症状が持続していること
  1. 初回反応に対して3回以上のアドレナリン投与(または点滴静注の開始)が行われた
  1. 初期治療薬剤の効果切れ、不十分な治療、アレルゲンの再吸収、遅発型のIgE反応など、複数の機序が関与すると考えられる。
 
  1. 遷延性反応:
  1. 急性期症状が32時間まで持続する例も報告されており、遷延性反応と呼ばれるが、その定義は曖昧である[3]
 
問診・診察のポイント  
診察:
  1. 気道、呼吸、循環の評価を優先し、意識状態、皮膚粘膜所見、腹部所見を確認する。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
永井秀哉 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:林寛之 : 原稿料((株)羊土社)[2025年]

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