今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 塩谷隆信 秋田大学名誉教授、介護老人保健施設 ニコニコ苑

監修: 長瀬隆英 東京大学名誉教授

著者校正済:2025/01/15
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本循環器学会他編: 2016-2017年度活動 肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)
 
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行ったが、追記・加筆すべき新たな知見はなかった。
  1. 2025年に日本循環器学会より『肺高血圧症治療ガイドライン』の発表が予定されており、発表後に本臨床レビューの内容を改訂予定である。

概要・推奨   

  1. 肺高血圧症は予後不良の難治性疾患であり、現在でもその病態生理は十分には明らかにされていない。そのなかで、従来、原因不明の原発性肺高血圧症とされていたものは、近年、肺動脈性肺高血圧症(特発性、遺伝性)に分類されることが提唱されている(推奨度1)
  1. 肺高血圧症の診断においては、労作時息切れや失神などの典型的な症状と、問診、視診、聴診などにより得られたさまざまな理学的所見から肺高血圧症を疑うことがきわめて重要である(推奨度1)
  1. 診察所見から肺高血圧症を疑い、次に胸部X線、心電図、心エコー法、右心カテーテル検査から肺高血圧症を診断する(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 肺高血圧症とは、血行動態的な診断基準により安静時右心カテーテル検査で得られた「平均動脈圧25 mmHg以上」と定義される状態である。
  1. 疫学的には、人口100万人に1~2人が発症する非常にまれな疾患で、30~50歳に多く、女性に多いことが特徴である。なお、家族歴を認める肺高血圧症の約70% に、家族歴の確認されない肺高血圧症の約20%にBMPR2遺伝子の変異の存在が確認されている。
  1. 2008年のダナポイント分類では、肺高血圧症を5つの群、すなわち第1群「肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)」、第2群「左心性心疾患に伴う肺高血圧症」、第3群「肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症」、第4群「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)」、第5群「詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症」に分類した。この基本構造は、再改訂版肺高血圧症臨床分類(ニース分類 [2013年])でも維持されている。
 
再改訂版肺高血圧症臨床分類(ニース分類[2013年])

出典

日本循環器学会他編. 2016-2017年度活動 肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版). https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/10/JCS2017_fukuda_h.pdf(2024年12月閲覧). 班長 福田恵一, p9, 表4 再改訂版肺高血圧症臨床分類(ニース分類 [2013年]).
 
  1. 肺動脈性肺高血圧症の診断は、膠原病などの各種疾患に伴う肺高血圧症、心疾患に伴う肺高血圧症、肺疾患に伴う肺高血圧症、慢性血栓性肺高血圧症などの除外診断により行われる。
  1. 肺動脈性肺高血圧症は、指定難病であり、その一部(新規申請時はStage 3以上、更新時はStage 3以上またはNYHAII度以上または肺血管拡張薬を使用している場合)などでは、申請し認定されると保険料の自己負担分の一部が公費負担として助成される。([平成27年1月施行])
  1.  難病法に基づく医療費助成制度 
 
  1. 肺高血圧症は予後不良の難治性疾患であり、現在でもその病態生理は十分には明らかにされていない。そのなかで、従来、原因不明の原発性肺高血圧症とされていたものは、近年、肺動脈性肺高血圧症(特発性、遺伝性)に分類されることが提唱されている(推奨度1S)。(参考文献:[1]
  1. 肺高血圧症を世界統一の考え方で整理しようとの理念で、1973年から2013年まで5回の世界会議が開催されている。2008年のダナポイント分類では、肺高血圧症を5つの群、すなわち第1群「肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)」、第2群「左心性心疾患に伴う肺高血圧症」、第3群「肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症」、第4群「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)」、第5群「詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症」に分類した。
問診・診察のポイント  
  1. 肺高血圧症は、労作時の息切れなどの典型的な症状から疑われる場合と、肺高血圧症を合併しやすい膠原病などの疾患の経過中に症状が出現することから、心エコー法などで疑われて診断される場合が多い。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
塩谷隆信 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:長瀬隆英 : 特に申告事項無し[2025年]

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