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改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、ガイドラインに追加された事項について記載した。
  1. 完全閉塞を来している食塊による食道閉塞においては、可能であれば2時間以内での解除が推奨されていることを強調したい。

概要・推奨   

  1. Food bolus impactionは食道異常の症状と考え、精査していくことが勧められる(推奨度1)
  1. Food bolus impactionは食塊内に鋭利なものがなく、食道完全閉塞状態でなければ24時間までは自然経過観察をしても許容される(推奨度2)
  1. 小児におけるfood bolus impactionでは、喘鳴(stridor)や呼吸状態などを観察することが勧められる(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 食塊による食道閉塞(food bolus impaction)では7~8割近くに食道疾患(食道アカラシア好酸球性食道炎、狭窄、憩室、強皮症食道癌など)を有する。food bolus impactionは食道異常の症状とみなす。
 
Food bolus impactionの内視鏡像

食道に食塊が詰まった内視鏡像。食道粘膜に気管様多発輪状狭窄を認め、基礎疾患として好酸球性食道炎の存在が疑われる。

出典

Goldman et al: Goldman’s Cecil Medicine, 24th edition. Saunders, 2012; Figure136-6
 
  1. ゴールドスタンダードは内視鏡による解除および食道病変検索である。
  1. 唾液を飲み込めないなど完全閉塞を疑うときは緊急内視鏡による解除が必須となり、可能であれば2時間以内、少なくとも6時間以内の解除が推奨されている[1][2]
  1. 蛋白質分解酵素パパインには食道粘膜損傷や食道穿孔のリスク、造影剤ガストログラフィンには誤嚥による肺臓炎のリスクがあり使用を控える。
  1. グルカゴン、炭酸水、ニトロ製剤などLES(lower esophageal sphincter)圧低下による解除方法も存在するが、エビデンスに乏しい。
  1. 内視鏡による解除は、胃内へと押し込むpush法、体外へ取り出すextraction法に大別される。どちらも有効であるが、大きな食塊、食塊内に骨など鋭利なものが内在している場合や、遠位食道に狭窄病変が既知の場合は体外へ取り出すextraction法を選択する。
  1. 食塊内に骨など鋭利なものが存在する場合、オーバーチューブを使用するなど食道粘膜保護にも注意を払う。
 
オーバーチューブの概観

(食塊内に骨など鋭利なものが存在する場合に、)オーバーチューブを用いて、食道粘膜の保護を図る。

出典

http://www.sumibe.co.jp/product/medical/endoscope/flexible-overtube/index.html (咽頭部通過用ガイドチューブ, 住友ベークライト株式会社)
 
  1. Food bolus impactionは食道異常の症状と考え、精査していくことが勧められる[3](推奨度 1MG)
  1. Food bolus impactionを起こした患者では8割近く[1]に食道疾患(狭窄、憩室、食道癌強皮症、びまん性食道攣縮、食道アカラシア好酸球性食道炎、消化管手術既往、奇形など)を認めた[3][4][5][6]
  1. 食道癌は進行するとfood bolus impactionを起こすが、早期癌では意外にもfood bolus impactionを起こさない[3]。食道病変を有する人が、あまり咀嚼しないで食べると起こりやすい[7]
 
  1. Food bolus impactionは食塊内に鋭利なものがなく、食道完全閉塞状態でなければ24時間までは自然経過観察をしても許容される[6][8](推奨度 2MG)
  1. Food bolus impactionの54%は自然に解除される[8]
  1. 食塊の大きさ、形、種類、中身、詰まった場所、時間経過、患者の状態、患者年齢、基礎疾患、合併症の有無などによって治療戦略が異なる[6][9]。涎が出る、唾液を飲み込むことができないなどの症状は食道完全閉塞状態を示唆しており、内視鏡による緊急解除を要する[5][6][9]
  1. 合併症は食道粘膜びらん、出血、潰瘍形成、裂傷、穿孔、食道‐大動脈瘻、食道‐気管瘻などが挙げられる[6]。食塊による長期間の食道粘膜圧迫や骨など鋭利なものの存在は、穿孔リスクが上昇する[6]。肉塊は他の食べものより自然解除が期待できず、内視鏡での解除が必要とされる[7]。発症6~12時間までであれば、食道粘膜の圧迫や食塊の軟化も高度でなく、一塊で取り出すことができる[4][5]
  1. Zhao-Shenらによると、中国でのfood bolus impactionは魚骨や鶏骨を含むことが多いためか自覚症状が強く、合併症も多いため内視鏡による早期の解除を勧めている[10]
 
  1. 薬剤による食塊解除方法も存在するが、エビデンスに乏しくあまり推奨しない。(推奨度 3MG)
  1. グルカゴン、炭酸水、ニトロ製剤などLES(lower esophageal sphincter)圧低下による解除方法も存在するが、プラセボより優れた効果は見いだせていない[6][11]。比較的安全な薬剤でもあり試す価値はあるかもしれないが、内視鏡での除去を遅らせるものではない[6]
  1. 蛋白質分解酵素パパインは食道粘膜損傷や食道穿孔の恐れがあり、使用してはならない[6][12]
  1. ガストログラフィンなどの造影剤は誤嚥および肺臓炎のリスクがあるため、使用してはならない[5][6][9]
 
問診・診察のポイント  
  1. 何を飲み込んだか、どこに詰まった感じがするか、飲み込んでから何時間経過しているか、今までにも同じエピソードがあったかなどの質問は治療方針にも影響するため、可能な限り聴取する。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
西川佳友 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:林寛之 : 原稿料((株)羊土社)[2025年]

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食塊による食道閉塞

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