今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 黒崎知道 くろさきこどもクリニック

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2025/02/26
参考ガイドライン:
  1. 日本小児呼吸器学会日本小児感染症学会編:小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022
  1. Pediatric Infectious Diseases Society and the Infectious Diseases Society of America. The management of community-acquired pneumonia in infants and children older than 3 months of age: clinical practice guidelines by the Pediatric Infectious Diseases Society and the Infectious Diseases Society of America. 2011
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、前回改訂後に販売中止となった薬剤の処方例を更新した。
 

概要・推奨   

  1. 肺炎は小児の日常診療上よく遭遇する疾患ではあるが、その罹患率などに関するわが国における検討は限られた報告しかない(O)。
  1. 小児肺炎において血清CRP値は、細菌性とウイルス性を鑑別する確固たる指標ではないが、大まかな指標にはなり得る(推奨度2)
  1. 胸部X線像で細菌性、ウイルス性、マイコプラズマ性かの鑑別は無理である(O)。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 発熱、鼻汁、咳嗽などの呼吸器症状を伴い、胸部X線像などの画像検査で肺に急性に新たな浸潤影(肺実質への感染を意味する)が認められるものを肺炎という[1]
  1. さまざまな原因により起こる肺の炎症をいうが、一般的には病原微生物の感染によって生じる滲出炎を指している。
  1. 市中感染例(community-acquired pneumonia、CAP)と主に基礎疾患がある院内発症肺炎(hospital-acquired pneumonia)があるが、本稿ではCAPを中心に概説する。
 
  1. 肺炎は小児の日常診療上よく遭遇する疾患ではあるが、その罹患率などに関するわが国における検討は限られた報告のみである(O)。
  1. 千葉市及び周辺の病院に入院した15歳未満の小児肺炎入院例での罹患率(/1000人/年)は、2008年(7価小児肺炎球菌ワクチン導入前)、2012年(7価小児肺炎球菌ワクチン導入後)、2018年(13価小児肺炎球菌ワクチン導入後)で検討してみると5歳未満では17.7、14.3、9.7であり、5~15歳では1.18、2.64、0.69で、小児肺炎球菌ワクチン導入前に比べ13価小児肺炎球菌ワクチン導入後では45%(5~15歳)、41%(5~15歳)減少していた。原因菌の検討でも肺炎球菌(特に13価小児肺炎球菌ワクチン含有血清型)の分離率は減少したが、インフルエンザ菌の分離率は若干増加していた。これらの結果から小児市中肺炎の減少は、13価小児肺炎球菌ワクチンの定期接種化によると考えられている[2]
  1. 先進国からの報告は、5歳未満人口1,000人あたりの罹患率は3.3人/年であり、上記の検討は高値である。
  1. コメント:肺炎の確定には、胸部X線撮影が不可欠となる。しかし、胸部X線像の読影結果には、読影医によるばらつきの問題は絶えずつきまとい、問題が出てくる[3][4]。乳幼児にも有効な肺炎球菌蛋白結合型ワクチンの導入により、肺炎の発症率を比較するためWHOは、撮影条件なども含め肺炎の診断基準を作成している。この基準では肺炎の画像を3つに分類し、一定の硬化像や胸水を伴うものをend-point pneumonia 、これ以外の浸潤像、硬化像を伴うものをother infiltrate、所見のないものをno consolidation/infiltrate/effusionとしている。この基準をもとに読影した結果、読影医間によるばらつき、同一個人の読影のばらつきが少なくなることが証明されている。今後はこのような基準を用いた診断を行うことにより診断の統一化が図られ、他国や肺炎球菌蛋白結合型ワクチン導入前後の肺炎発症率の比較はより正確になる。
  1. 追記:診断基準が一様ではなく、罹患率の比較には注意が必要である。
 
  1. 原因微生物による病因分類(細菌性、ウイルス性、マイコプラズマ性、クラミジア性、真菌性など)と形態発生的分類(大葉性、小葉性、区域性など)がある。
  1. 年齢によって原因微生物が異なる[5][6] (解説参照 >詳細情報 )。
  1. 新生児期:B群溶連菌や、大腸菌などのグラム陰性桿菌が多い。
  1. 新生児期以降~5歳:ライノウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルスによるものが多いが、インフルエンザ菌、肺炎球菌など、一般細菌によるものはこの年齢層に多い。4~5カ月くらいの乳幼児で無熱~微熱、激しい咳、頻呼吸を呈する場合はC. trachomatis肺炎を考慮する。
  1. 6歳以上:Mycoplasma pneumoniae Chlamydia pneumoniae などの非定型菌による肺炎が多くなる。
  1. 遷延する咳の代表として肺炎マイコプラズマ感染症と並び百日咳がある。百日咳は2018年から全数把握疾患になったが、2018~2020年の患者年齢中央値は10歳(範囲0~98歳)で、6~13歳の小中学生世代に患者の集積を認めている[7]。合併症としての肺炎は、米国疾病対策センターからの報告をみると全報告数の13.2%、6か月未満に限ると18.6%と報告されている[8]
 
原因微生物の年齢分布

年齢別に原因微生物の占める割合は異なる。生直後から3週間までの肺炎はまれであるが、周産期の全身感染症と関連して発症する。生後3週間から3カ月までの肺炎の多くは、マクロライド系抗菌薬に感受性のある原因微生物であるクラミジア・トラコマチスや百日咳菌による。5歳以上の小児例では、同様にマクロライド系抗菌薬に感受性のある2種の原因微生物、すなわち肺炎マイコプラズマと肺炎クラミジアによる肺炎が多い。
 
参考文献:
McIntosh K: Community-acquired pneumonia in children. N Engl J Med. 2002 Feb 7;346(6):429-37. より一部改変

出典

著者提供
 
小児肺炎の原因微生物と年齢別罹患数と罹患割合

3歳以下で罹患数が多く、かつ抗菌薬療法を必要とする細菌性肺炎の頻度が高い。
 

出典

黒崎知道:小児肺炎の診断と治療.呼吸,28:861-868,2009
 
  1. 血行性に伝播する(菌血症を伴う)肺炎と局所感染(菌血症を伴わない)としての肺炎とがある。
  1. 菌血症を伴う肺炎はごく限られており、7価小児肺炎球菌ワクチンが導入前の千葉市における調査で、血液培養陽性の肺炎球菌性肺炎は、5歳未満人口10万人あたりの罹患率は9.2人/年であった[9]
  1. ほとんどの症例は局所感染(菌血症を伴わない)としての肺炎である。これは経気道的に伝播され発症する。
 
病態からみた肺炎の発症と臨床症状・治療

原因微生物の気道への感染により気道のびらん(気管支炎)を起こし、一部肺炎に進展する。その病態により種々の臨床症状が出現する。

出典

著者提供
 
問診・診察のポイント  
  1. 発熱、鼻汁、咳嗽などの呼吸器症状、および胸部聴診でときに副雑音(ラ音)、呼吸音の減弱が聴取される。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
黒崎知道 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2025年]

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肺炎(小児科)

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