今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 高階經和 公益社団法人 臨床心臓病学教育研究会 理事長

監修: 今井靖 自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門・内科学講座循環器内科学部門

著者校正/監修レビュー済:2020/12/03
参考ガイドライン:
  1. 髙階經和著:心臓病患者の診察ガイドブック(2008)
患者向け説明資料

病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
疫学情報:
  1. 成人で認められる心雑音の原因疾患には、リウマチ熱の後遺症による各弁膜の狭窄・閉鎖不全、心内膜炎、腱索断裂、心筋症、成人にみられる先天性心疾患等がある。
  1. 高齢者で心雑音が聴かれる症例は、医療機関により差がみられる。リウマチ熱の後遺症として心弁膜症では僧帽弁閉鎖不全が多く、次に加齢に伴う動脈硬化性変化による大動脈弁狭窄、大動脈弁閉鎖不全がよくみられる。その他、残存した先天性心疾患も散見される。
 
血行動態:
  1. 左心系・右心系の血行動態を知ることが循環器疾患を考えるうえでの最初のステップである。<図表>
 
一心周期における左心系の循環動態

左心系と右心系における循環動態が、①~⑩までのナンバーで表示されている。
 

出典

髙階經和: Clinical Bedside Cardiology.臨床心臓病学教育研究会, 2008; 82-83.
髙階經和:心臓病患者の診察ガイドブック.インターメディカ, 2008; 154-155.
 
病態:
  1. 後天性心疾患で心雑音が聴かれる主な心弁膜症は、大動脈弁狭窄(<図表>)、大動脈弁閉鎖不全(<図表>)、僧帽弁狭窄(<図表>)、僧帽弁閉鎖不全(<図表>)である。
  1. 心筋症では肥大型、拡張型ともに、収縮期雑音とIII音、IV音を伴うことが多い。
  1. その他、成人の先天性心疾患(特に心房中隔欠損)がみられることがある。
 
注意事項:
  1. 聴診上、最も大切なことは心音の聴診である。また、心雑音が収縮期性か拡張期性かを確認すること。
  1. 大動脈弁部位で収縮中期雑音を聴いた場合、高齢者では「大動脈弁硬化」(aortic sclerosis)が、「大動脈弁狭窄」よりも多く、血圧は正常に保たれていることを確認する必要がある。
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 小児期より心雑音を指摘されたかどうかを聞く。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
高階經和 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:今井靖 : 未申告[2024年]

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心雑音(後天性心疾患)

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