今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 橋本雅人 中村記念病院 眼科

監修: 沖波聡 倉敷中央病院眼科

著者校正/監修レビュー済:2022/06/23
参考ガイドライン:
  1. 日本甲状腺学会・日本内分泌学会・厚生労働省「ホルモン受容機構異常に関する調査研究」班、臨床重要課題「バセドウ病悪性眼球突出症の診断基準と治療指針」作成委員会(編):甲状腺眼症診療の手引き メディカルレビュー社 2020
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 甲状腺眼症の原因は、眼窩後組織における自己免疫性炎症である。甲状腺眼症は眼窩後組織内に存在する線維芽細胞が眼窩内に浸潤したリンパ球の標的細胞であり、その細胞表面には甲状腺刺激ホルモン受容体様構造やインシュリン成長因子(IGF-1)が見られる。活性化された線維芽細胞はその産物としてグルコサミノグリカンを蓄積する。これが眼球突出や外眼筋の線維化などの不可逆的変化をもたらす。
  1. 眼症を疑うポイント:眼瞼腫脹、眼球突出、眼窩部痛を診たら甲状腺眼症を疑い、他の眼窩疾患との鑑別を行うことが奨められる(推奨度1)
  1. 診断のポイント:眼瞼後退(Darlymple徴候)、眼瞼遅延(Graefe徴候)は甲状腺眼症に特徴的な眼瞼所見である。眼球運動障害は下直筋肥大による上転障害が多い(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・推奨)  
イントロダクション:
  1. 1835年、アイルランドDublinの内科医Robert James Gravesは、甲状腺腫と動悸を示す3症例中1例に眼球突出を認めたことを報告し、次いで、1840年にはドイツの開業医Carl Adolf von Basedowが、甲状腺腫、動悸、眼球突出を3主徴(いわゆるメルゼブルグの3徴)とする4症例を報告した。欧米では、この疾患群にGravesの名を冠する事が多いのだが、かつてドイツ医学が主流であった日本では、Basedow病の名が定着し、現在に至っている。このため、眼球突出を主体とした甲状腺機能亢進症に伴う眼症状は、「甲状腺眼症」、「バセドウ病眼症」、「眼グレーブズ病」、「悪性眼球突出」など種々の名称で呼ばれている。しかし、その病態が甲状腺機能そのものとは直接の関連を持たない独立した自己免疫異常であり、眼球突出以外にも多彩な眼症状があるのみならず、眼球突出を生じない症例が半数以上あることが明らかとなった現代では、その病態を正しく示した「甲状腺眼症(Thyroid associated ophthalmopathy:TAO)」が最適な病名とされている。
  1. 甲状腺眼症は眼窩後組織内で特異的に起こる自己免疫性局所炎症である。
  1. 臨床的に甲状腺眼症と甲状腺の病状は時期的に必ずしも一致せず、眼症状が甲状腺の症状に先行するものから、後に起こってくるものまでさまざまである。
  1. 甲状腺眼症はその発症初期において、必ずしも特徴的な顔貌の変化や眼球運動障害を認めないため、甲状腺眼症の診断に至らず、眼精疲労や結膜炎などとして経過観察されている場合もある。
 
  1. 甲状腺ホルモンがたとえ正常であっても眼症は生じるため、甲状腺眼症は甲状腺機能異常とは切り離した、独立した眼科の疾患として捉える必要がある。
  1. 研究背景:甲状腺眼症の臨床的特徴を調べるためのretrospective studyがある[1]
  1. 研究事例:これによると、甲状腺眼症242例中、甲状腺機能亢進症が42.7%、甲状腺機能低下症が23.8%、正常甲状腺(Euthyroid Graves)が33.5%であったとしている[1]
  1. 結論:甲状腺機能亢進症に伴う甲状腺眼症の頻度が最も高いが、低下症またはeuthyroidもあるため、甲状腺眼症は必ずしも甲状腺機能とは一致せず、眼科の疾患としてケアしていくことを推奨する。
 
  1. 甲状腺眼症を的確に診断し治療を行うためには、その病態と臨床像について理解を深めておく必要がある。本項では甲状腺眼症の疫学、病態、診察のポイント、鑑別診断、疾患の活動性評価、病態の時期にあった治療について解説していく。
 
疫学:
  1. 甲状腺眼症の有病率は1-2%であり決して珍しい疾患ではない。
  1. バセドウ病の3~4割に眼球突出などの訴えがあるが、眼瞼腫脹や眼痛だけの軽度の甲状腺眼症を含むとその頻度はさらに高い。
  1. バセドウ病は男女比が1:5、橋本病は1:18といわれているため、甲状腺眼症は圧倒的に女性に多い病気である。
  1. 年齢別では20代から30代の女性が眼瞼症状の訴えで来院するのに対し、中高年の男性は外眼筋の伸展障害による複視を訴えて来院する場合が多い。
 
病態:
  1. これまでの免疫学的研究によると、甲状腺眼症は眼窩後組織内に存在する線維芽細胞が眼窩内に浸潤したリンパ球の標的細胞であり、その細胞表面には甲状腺刺激ホルモン 受容体様構造やインシュリン成長因子(IGF-1)が見られる。活性化された線維芽細胞はその産物として酸性ムコ多糖類であるグルコサミノグリカンを蓄積する。これが眼球突出や外眼筋の線維化などの不可逆的変化をもたらす。
  1. 研究背景:甲状腺眼症患者23例36眼の眼窩脂肪組織中にある酸性ムコ多糖類、グルコサミノグリカンの一種であるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンをプロトン眼窩部MRスペクトロスコピーによりin vivoで解析し検討した臨床研究がある[2]
  1. 研究事例:甲状腺眼症患者では健常者(16例28眼)に比べて、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンのプロトンMRスペクトロスコピーにおけるピークが有意に高かった。また、実際に眼窩減圧術を行った5例の甲状腺眼症患者における眼窩脂肪中のコンドロイチン硫酸プロテオグリカン濃度をELISAで測定したところ、プロトンMRスペクトロスコピーにおけるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンのピークと有意な相関を示した。また、このピークの高さは、眼症の重症度(NOSPECS分類)とも相関した。
  1. 結論:この研究結果より、甲状腺眼症では、眼窩脂肪組織中に存在するグリコサミノグリカンの一種であるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンが、甲状腺眼症の重症度に関与しているのではないかと推察している。
問診・診察のポイント  
  1. 甲状腺眼症の初期症状としては眼瞼腫脹、眼窩部の鈍痛、充血などであり、眼精疲労や結膜炎と誤って診断されることが少なくない。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
橋本雅人  : 特に申告事項無し[2025年]
監修:沖波聡 : 特に申告事項無し[2025年]

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