今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 安戸裕貴 杏林大学医学部臨床検査医学

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2025/02/26
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 最新の知見に基づき定期レビューを行った。
  1. かつて咽頭結膜熱は「プール熱」とも呼ばれたが、近年、プール利用における集団感染の報告が減少している実態を踏まえ、厚生労働省は公式ホームページ上の咽頭結膜熱の解説で、「かつては俗称としてプール熱と呼ばれていた」と記載し、名称も「咽頭結膜熱」のみとしている。これを踏まえて、本コンテンツのタイトルも、「プール熱(咽頭結膜熱)」から「咽頭結膜熱」へ変更した。

概要・推奨   

  1. 咽頭結膜熱とは、発熱、咽頭炎、結膜充血を三主徴とする小児の急性ウイルス性感染症であり、数種類の血清型のアデノウイルスによる感染で発症する。
  1. 年間を通じウイルスは分離される。通常は夏に流行することが多いが、小規模流行は通年性に認められる。近年は、冬季にも流行のピークが明確に認められるようになっている。
  1. 発熱で発症し、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎に伴う結膜充血、眼痛、羞明、流涙、眼脂を訴え、3〜5日間程度持続する。眼症状は一般的に片方から始まり、その後他方にも出現する。
アカウントをお持ちの方はログイン
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となりま
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約

病態・疫学・診察 

疾患(疫学・病態)のまとめ  
  1. 咽頭結膜熱とは、発熱、咽頭炎、結膜充血を三主徴とする小児の急性ウイルス性感染症であり、数種類の血清型のアデノウイルスによる感染で発症する。以前はプール熱とも言われたが、近年はプール利用における集団感染の報告は見られなくなったため、この表現は用いられなくなった。医療機関や学校、保育園、幼稚園、老人保健施設などの公共機関での接触を介して流行することが多い。
  1. 年間を通じウイルスは分離される。通常は夏に流行することが多いが、小規模流行は通年性に認められる。わが国の感染症動向調査によると、夏期に流行の山が認められるが、近年は、冬季にも流行のピークが明確に認められるようになっている[1]。これは、アデノウイルスが年間を通して活動的であることに加え、夏は屋外活動が活発になることや、冬は病院、保育園、学校などの施設を介して感染が関係していると考えられる。
 
IDWR 過去10年との比較グラフ(週報)-咽頭結膜熱

出典

国立感染症研究所.過去10年間との比較グラフ(週報) 咽頭結膜熱 Pharygoconjunctival fever. https://www.niid.go.jp/niid/ja/10/2096-weeklygraph/1645-02pcf.html (2024年12月閲覧)をもとに編集部作成
 
  1. 発熱で発症し、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎に伴う結膜充血、眼痛、羞明、流涙、眼脂を訴え、3〜5日間程度持続する。眼症状は一般的に片方から始まり、その後他方にも出現する。
 
咽頭結膜熱の結膜充血所見

眼球の結膜充血が認められる。

出典

Medical Microbiology. Murray, Patrick R., PhD; Rosenthal, Ken S., PhD; Pfaller, Michael A., MD. Published January 1, 2016. Pages 418-424.e1.
 
  1. 咽頭結膜熱の原因としては、アデノウイルス3型によるものが主とされるが、それ以外にも2、4、7、11型などにも認められる。
  1. 最も分離頻度が多いアデノウイルス3型は、軽症例が多いが、脳炎、脳症などの重症を来す症例も報告されているため注意を要する[2]
  1. アデノウイルス7型は、アデノウイルスの中で最も病原性が強く、呼吸器感染や脳炎・脳症の合併が高頻度に見られる。重症例では、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)や多臓器不全による死亡例も報告されている。特に、心肺機能障害や免疫機能低下などの基礎疾患のある児や乳幼児では重篤な症状になりやすい。検査所見として特徴的なことは、血清LDH の異常高値、血球減少傾向、ならびに高サイトカイン血症である[3]
 
病原体:
  1. アデノウイルスは、直径約80〜90 nmの2本鎖DNAウイルスで正20面体構造を持つ。AからGの7種に分けられ、血清型として67以上の型が知られている。
  1. アデノウイルスは、眼結膜、咽頭粘膜への接触により感染する。正20面体から突出したファイバーの先端部分を介して、細胞のレセプターに結合し、細胞内に侵入、増殖する。ウイルスの増殖部位は、咽頭、気道、肺、結膜、膀胱、子宮頚部、尿道、腸管と多彩であり、そのため、呼吸器感染症、眼感染症、泌尿・生殖感染症、腸管感染症とさまざまな症状として出現する。
  1. アデノウイルスは血清型と臨床症状との関連性は以下の通りである。
  1. 感染性胃腸炎:アデノウイルス40/41(F種)、31(A種)
  1. 肺炎:アデノウイルス3/7(B種)
  1. 流行性角結膜炎:8/19/37、53/54/57(いずれもD種)
  1. 出血性膀胱炎:11/34/35(B種)
  1. 子宮頚管炎、尿道炎:37(D種)
 
アデノウイルスによる主な疾患と検出される型

出典

藤本嗣人: アデノウイルス感染症. 小児内科46巻増刊号2014 1022-1026
 
  1. 感染経路は、通常の飛沫感染や手指を介した接触感染などで認められる。多くは結膜、上気道からの感染である。
  1. 潜伏期は5~7日であり、上記三主徴に加えて、頭痛、嘔吐、腹痛、食欲不振、倦怠感も伴い3~7日間ほど持続し改善する。ウイルスは、唾液、眼脂以外にも、糞便中からも検出される。特に糞便中には数週間から数カ月ウイルスが排泄されるので、ウイルスの型判別には注意を要する。
問診・診察のポイント  
  1. 発熱、咽頭炎、結膜充血のいずれかの症状を伴うか注意をし、地域の流行状況も考慮して診断を進める。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
安戸裕貴 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2025年]

ページ上部に戻る

咽頭結膜熱

戻る