今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 宇田和宏 岡山大学病院 小児科

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2025/02/26
参考ガイドライン:
  1. 日本小児感染症学会:小児感染症マニュアル2017
  1. Principles and Practice of Pediatric Infectious Diseases, Sixth Edition
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1.  定期レビューを行い、下記の点を加筆・修正した。
  1. 症例を追加した。
  1. 用語と記述を修正した。

概要・推奨   

  1.  突発性発疹は3~4日間持続する発熱とその後の発疹の出現という臨床経過で診断する。
  1.  症状に応じた対症療法を行う。
  1.  熱性けいれん、急性脳症、薬剤性過敏性症候群、血球貪食症候群などとの関連性が報告されている。

病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 突発性発疹は発熱で始まり解熱後に発疹を生じる症候群で、ヒトヘルペスウイルス6型(Human Herpes Virus-6 :HHV-6)、ヒトヘルペスウイルス7型(Human Herpes Virus-7:HHV-7)が原因病原体となる。
  1. 潜伏期は約10日(5~15日)とされる。
  1. 原則として季節流行性はない疾患である。
  1. HHV-6は2歳までに、HHV-7は3歳までに初感染をすることが多く、患児の95%が3歳未満である。本邦では90%以上の成人が抗体を有している。母体由来の移行抗体は生後6か月以内に消失する。その後、多くが生後6か月ごろから2歳までに初感染を受ける。HHV‐7 はHHV‐6 よりも少し月齢が経ってから感染する傾向があるため、HHV‐7による突発性発疹は臨床的には二度目の突発性発疹として経験される。
  1. 近年、本邦での突発性発疹の発症年齢の上昇が報告されている。以前は生後6か月~1歳半までに発症することが多く、「生後初めての発熱」として認識されることが多かったが、近年では2歳以降での発症もみられるようになってきた[1][2]。原因として核家族化、少子化、食住環境の変化などが考えられている[1]
  1. HHV-6の初感染では不顕性感染も存在するが、本邦では約80%が突発性発疹の臨床症状を呈するとされる。
問診・診察のポイント  
  1. 症状は、発熱で発症し38~40℃の発熱が3~4日間持続する。この間は高熱にもかかわらず、比較的機嫌がよいことが知られており、鼻汁や咳嗽などの上気道症状はない。解熱後数時間~24時間で発疹が出現し、発疹出現当日は、胸部、腹部を中心とした斑丘疹で四肢には少ない。その後、顔面や四肢に広がることがあり、通常2~3日で消失する。掻痒感は伴わない。
 
 
  1. 身体所見では、咽頭所見として永山斑(病初期に口蓋垂の根元の両側に認められる粟粒大の紅色隆起)が有名であるが、頻度は40%程度と高くない[3]。また、大泉門膨隆を伴うことがある。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
宇田和宏 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2025年]

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突発性発疹

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