今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 小倉翔 虎の門病院 臨床感染症科

監修: 大曲貴夫 国立国際医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2022/08/03
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、加筆修正を行った。

概要・推奨   

  1. 赤痢菌性胃腸炎は抗菌薬治療により発熱や下痢の持続期間を2日程度短縮できることが期待されるため、診断された患者には抗菌薬治療が強く推奨される(推奨度1)
  1. 日本における赤痢菌性胃腸炎に対する第1選択薬としてはフルオロキノロンがおそらく推奨される(推奨度2)
  1. 治療期間については、3~5日がおそらく推奨される(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 赤痢菌性胃腸炎は赤痢菌(Shigella species)によって引き起こされる消化管感染症である。
  1. 症状からカンピロバクターや非チフス性サルモネラなどの他の細菌性腸炎と鑑別することは困難である。
  1. テネスムスや膿粘血便など、赤痢菌性胃腸炎を疑うことができることはあるが、便培養なしに診断することは困難である。
  1. 赤痢菌には4種類の血清型がある。
  1. Shigella dysenteriae(group A)
  1. Shigella flexneri(group B)
  1. Shigella boydii(group C)
  1. Shigella sonnei(group D)
  1. 病原性が強いのはShigella dysenteriaeであるが、国内の疫学はほとんどがShigella sonneiShigella flexneriで占められる。
  1. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)により三類感染症として直ちに届け出る義務がある。
  1. かつては国内でも流行していた感染症であり、戦後には年間5~10万人以上の患者が報告されていた。しかし、国内の衛生環境の改善などにより1960年代半ばから患者数は減少し始め、2000年以降は年間500~1,000人程度の発生となった。国立感染症研究所における感染症発生動向調査によると[1]、2010年以降は年間300例を下回っている。最新の公表されたデータでは、無症状病原体保有者を含めると、2018年268例、2019年140例、2020年87例となっている。2010〜2021年の期間における平均届け出数は164例/年であった。
  1. 推定感染地は58%を国外が占めていた。国外の推定感染地はアジアが多く、全体の75%を占めていた。国別ではインド、インドネシア、フィリピンの順に多かった。ただし、輸入例の実態が分かりづらく、実数はこれより多い可能性がある。特に、直近に海外渡航歴のある患者の診断において注意を要する。
問診・診察のポイント  
  1. 糞口感染する。少ない菌量でも感染が成立するため、感染力が高い。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
小倉翔 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:大曲貴夫 : 特に申告事項無し[2024年]

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赤痢菌性胃腸炎

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