今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

改訂のポイント:
『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第10.1版』およびその他最新の文献を参考に、以下について主にアップデートした。また、患者向け説明資料を作成した。
  1. 疫学
  1. 日本国内での感染者数は2023年5月8日に全数調査を終了したため全国5,000の医療機関からの報告をもとに公表する「定点把握」となっているが、2024年12月23日~12月29日で1医療機関あたり7.01人(2024年累計で64.39人)となっている(IDWR速報データ 2024年第52週)。
  1. 東京都保健医療局の報告によると、2024年5月以降、オミクロンJN.1株の子孫株であるKP.3系統およびその亜系統のXEC株が主流となっている。
  1. オミクロン亜系統は、以前のSARS-CoV-2亜系統と比較して感染力が強い。SARS-CoV-2の基本再生産数(R0)は、感染初期の中国の報告では2.0-3.1であったのが、デルタ株では5前後、オミクロン株では8以上に増加した(Chatterjee S, et al. Viruses. 2023 Jan 5;15(1):167.)。
  1. 複数の研究の観察データによると、オミクロン感染による重症化や死亡のリスクは、これまでに懸念されていた変異株よりも低いことが示唆されている。
  1. 再感染リスク
  1. 再感染の多くは軽症で、重症化や死亡例は少ない。
  1. オミクロン変異株およびその亜系統の出現後、特に前回の感染から180日以上経過した場合の再感染が増加している(Wei J, et al. Nat Commun. 2024 Feb 2;15(1):1008.)。
  1. オミクロン変異前の感染は、その後のオミクロン感染に対する長期的な防御効果は低く、異なるオミクロン亜系統でも再感染の可能性があり、リスクは亜系統間の近縁度と前回の感染からの期間に依存する。
  1. 先行感染は、その後の感染による重症疾患または入院のリスクを75~86%低下させることが示唆されている(Deng J, et al. Int J Environ Res Public Health. 2023 Feb 14;20(4):3335.、Bobrovitz N, et al. Lancet Infect Dis. 2023 May;23(5):556-567.)。
  1. 治療項目
  1. 表「COVID-19の治療戦略」にエンシトレルビルフマル酸(ゾコーバ)を追加した。
  1. レムデシビル:酸素補給は必要だが人工呼吸器のサポートを必要としないCOVID-19患者6,000人以上を対象としたランダム化試験のその後のメタアナリシにおいて、レムデシビルは標準治療またはプラセボと比較して28日死亡率を低下させた(Amstutz A, et al. Lancet Respir Med. 2023 May;11(5):453-464.)。
  1. ニルマトレルビル/リトナビル:COVID-19の症状を有する外来患者を対象とした複数のランダム化試験および観察研究で、症状の持続期間、入院、死亡の減少が示された。メタアナリシスでは、投与群は非投与群と比較して、入院率および全死因死亡率が低下した(入院の相対リスク[RR] 0.53、95%CI 0.24-0.69;全死因死亡のRR 0.36、95%CI 0.27-0.50)(Wang Y, et al. J Infect Dev Ctries. 2024 Aug 31;18(8):1169-1178.)。
    特に重症化のリスクが最も高い患者(免疫不全患者、65歳以上で複数の併存疾患を有する患者)において最も効果が顕著である。
  1. モルヌピラビル:大規模ランダム化試験では、急性期のCOVID-19感染時にモルヌピラビルで治療した患者は、通常治療患者と比較して3カ月後および6カ月後の症状持続リスクが低かったことが示されている(Harris V, et al. Lancet Infect Dis. 2025 Jan;25(1):68-79.)。しかし、絶対的リスクの低減は小さく、効果的な対象集団は不明であるため、モルヌピラビル単独での遷延性後遺症(Long COVID)予防は推奨されない。
    ワクチン接種患者における有効性については議論が分かれている。
  1. エンシトレルビルフマル酸:アジアで行われたランダム化試験では、主にワクチン接種済みの軽度から中等度のCOVID-19患者1,800人以上を対象に、エンシトレルビルを5日間投与したところ、プラセボと比較し症状消失までの期間が1日短縮された(Yotsuyanagi H, et al. JAMA Netw Open. 2024 Feb 5;7(2):e2354991.)。
    また、SCORPIO-PEP試験において、COVID-19患者の同居者など2,387人にエンシトレルビルまたはプラセボを5日間投与した結果、投与後10日間の発症率がエンシトレルビル群2.9%、プラセボ群9.0%と発症リスクが67%有意に低下し、その効果は28日間持続し、安全性も良好であった。
  1. ACE阻害薬/ARB:ACE2をある程度増やすといわれているが、投与を中止する根拠はなく、また中止することで、心血管や腎疾患に対して悪影響を及ぼす可能性もある。血圧の低下や腎機能障害などがなければ、米国や欧州の学会(AHA、ESC)ガイドラインでは継続を推奨している。
  1. ワクチン
  1. 2025年4月時点、JN.1系統に対応した1価ワクチンが接種可能であるが、日本国内ではJN.1系統の下位系統であるKP.3系統およびその亜系統が主流となっている。なお、JN.1系統対応ワクチンはKP.3にも有効とされる。
  1. 2024年2月、医師の判断で他のワクチンとの同時接種が可能となった。同年10月、年1回の定期接種が導入され、インフルエンザワクチンと同様の扱いとなった。
  1. CDCでは6カ月以上の中等度~重度の免疫不全者に対し、6カ月間隔での複数回のワクチン接種を推奨し、接種スケジュールを公表している。
  1. 妊娠・授乳期:システマティックレビューでは、曝露時期やワクチンの種類にかかわらず、ワクチン接種は未接種と比べて、評価されたすべての母体および新生児の安全性に関して有意な差をもたらさないことが示された(Ciapponi A, et al. Drug Saf. 2024 Oct;47(10):991-1010.)。また、同レビューでは、未接種と比較して、ワクチン接種は感染した妊娠中の人の重症COVID-19や入院、症状のあるCOVID-19、死産のリスクを減少させ、生後6カ月までの乳児における重症COVID-19や入院、さらに検査で確認されたSARS-CoV-2感染のリスクも低減させた。
  1. がん患者:がん患者は一般人よりもワクチン投与後の入院を防ぐという予防効果が低いものの、死亡率は低下しており、接種の効果はあるとされている(Copland E, et al. Eur J Cancer. 2024 Apr;201:113603.)。また、米国臨床腫瘍学会(ASCO)のガイドラインでも、がん患者と同居家族にもワクチン接種を推奨している。
  1. Long COVID
  1. 急性期SARS-CoV-2感染者172人のうち34.3%がLong COVIDを報告し、ウイルスRNAの排除が遅いほど発症リスクと症状数が増加することが示された(Herbert C, et al. Clin Infect Dis. 2025 Feb 5;80(1):82-90.)。
  1. 最近のメタアナリシスでは、重症化リスクのある人に抗ウイルス剤を投与するとLong COVIDのリスクが23%低下し(Jiang J, et al. J Infect. 2024 Aug;89(2):106190.)、過去にワクチンを2回接種した人は発症オッズが36%低いことが示された(Watanabe A, et al. Vaccine. 2023 Mar 10;41(11):1783-1790.)。しかし、すべての抗ウイルス療法が同等に効果的ではなく、多くの研究はLong COVID予防を主要目的としていないため、さらなるデータ蓄積が必要である。

概要・推奨   

病態・疫学
  1. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はコロナウイルスの一種であるSARS-CoV-2による感染症で、2019年12月頃に中国湖北省武漢市で発生し、現在は世界中に広がっている。その後の解析で、2019年10月頃には既に前駆ウイルス(Procov2)が存在していた可能性が示唆されている。
  1. 2025年4月30日現在、全世界で約7億7,720万人が罹患し、約709万⼈が死亡している(WHO Coronavirus (COVID-19) Dashboard)。変異株の感染力や免疫逃避などが問題であるが、ワクチンの普及やオミクロン株の影響で死亡率は下がっている。
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  1. mRNAワクチン:ファイザー社製コミナティ筋注、モデルナ社製スパイクバックスTM筋注
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  1. オミクロン株対応2価(オミクロン株BA.4-5対応型)ワクチン:ファイザー社製コミナティRTU 筋注、モデルナ社製スパイクバックスTM筋注
    ※コミナティ筋注やスパイクバックスTM筋注は、3回目以降のワクチン接種間隔が3カ月に短縮された。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
石川和宏 : 特に申告事項無し[2024年]
松尾貴公 : 未申告[2024年]
森信好 : 未申告[2024年]
監修:上原由紀 : 特に申告事項無し[2025年]

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