今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 中村造 東京医科大学病院 感染制御部 感染症科

監修: 上原由紀 順天堂大学医学部臨床検査医学科/総合診療科/微生物学

著者校正/監修レビュー済:2024/10/31
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、概要・推奨欄を更新した。

概要・推奨   

  1. 肝膿瘍は先行する胆道感染や腹膜疾患、血流感染が原因となることが多い。
  1. 細菌性肝膿瘍では発熱が多くみられるが、非特異的な症状が不明熱と診断されていることも多い。また血液検査でもWBC上昇、肝機能障害などがみられることが多い。非特異的所見にとどまるが、治療の一助となるため、血液検査を行うことが推奨される(推奨度2)
  1. 肝膿瘍の治療において、起因菌同定は重要である。血液培養と並行して膿瘍穿刺液の細菌検査を行うことにより検出感度を上昇させることができるため、細菌学的検査を行うことは強く推奨される(推奨度2)
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  1. 最も検出頻度の高いKlebsiella pnemumoniae による肝膿瘍に対して、起因菌判明後に嫌気性菌用抗菌薬を使用する必要は低い可能性がある(推奨度3)

病態、疫学、診察 

疾患情報  
ポイント:
  1. 肝膿瘍は、大きく細菌性とアメーバ性の2種類に分けられる。発熱、倦怠感、食欲不振、吐気・嘔吐、体重減少など非特異的症状が2週~1カ月ほど持続し、発熱のフォーカスがはっきりしていない、いわゆる不明熱の形で発症することが多い。
  1. 不明熱と認識した場合は、肝膿瘍を鑑別診断に含め、血液培養、腹部エコー、腹部造影CTで膿瘍を確認し、診断に至る。
  1. Klebsiella pnemumoniae による肝膿瘍では、台湾を中心に大腸癌との関連性を指摘する報告もある。
  1. アメーバ性では、男性同性間性的接触、肛門性交がリスクとなる。また東南アジアなどの流行地への渡航歴・滞在歴もリスクとなる。
  1. 赤痢アメーバによる感染の場合は感染症法5類感染症であり、7日以内に届出をする必要がある。
  1. カルバペネム耐性腸内細菌科細菌による場合は感染症法5類感染症であり、7日以内に届出をする必要がある。
 
疫学:
  1. 肝腫瘍は10万入院患者当たり10~20人程度とされる。
 
起因菌:
  1. ポイント:
  1. 起因菌は基礎疾患によりさまざまである。
  1. 単独感染の場合と混合感染の場合があり、起因菌は以下のように細菌性、真菌性、原虫性に分類される。
 
肝膿瘍の起因菌

Identity of organisms recovered from patients with pyogenic liver abscesses.

出典

Rahimian J, Wilson T, Oram V, Holzman RS.
Pyogenic liver abscess: recent trends in etiology and mortality.
Clin Infect Dis. 2004 Dec 1;39(11):1654-9. doi: 10.1086/425616. Epub 2004 Nov 9.
Abstract/Text BACKGROUND: Pyogenic liver abscess, a potentially life-threatening disease, has undergone significant changes in epidemiology, management, and mortality over the past several decades.
METHODS: We reviewed the data for patients admitted to Bellevue Hospital and New York University Downtown Hospital (New York, New York) over a 10-year period.
RESULTS: Of 79 cases reviewed, 43% occurred in patients with underlying biliary disease. The most common symptoms were fever, chills, and right upper quadrant pain or tenderness. The most common laboratory abnormalities were an elevated white blood cell count (in 68% of cases), temperature >or=38.1 degrees C (90%), a low albumin level (70.2%), and an elevated alkaline phosphatase level (67%). Seventy percent of the abscesses were in the right lobe, and 77% were solitary. Klebsiella pneumoniae was identified in 41% of cases in which a pathogen was recovered. Eighteen (50%) of 36 Asian patients had K. pneumoniae isolated, in contrast to 6 (27.3%) of 22 non-Asian patients (not statistically significant). Fifty-six percent of cases involved treatment with percutaneous drainage. Although prior reports noted mortality of 11%-31%, we observed only 2 deaths (mortality, 2.5%).
CONCLUSIONS: The data suggest that K. pneumoniae has become the predominant etiology of pyogenic liver abscess and that mortality from this disease has decreased substantially.

PMID 15578367
 
肝膿瘍の起因菌数

Number of bacterial isolates recovered per case in patients with pyogenic liver abscesses.

出典

Rahimian J, Wilson T, Oram V, Holzman RS.
Pyogenic liver abscess: recent trends in etiology and mortality.
Clin Infect Dis. 2004 Dec 1;39(11):1654-9. doi: 10.1086/425616. Epub 2004 Nov 9.
Abstract/Text BACKGROUND: Pyogenic liver abscess, a potentially life-threatening disease, has undergone significant changes in epidemiology, management, and mortality over the past several decades.
METHODS: We reviewed the data for patients admitted to Bellevue Hospital and New York University Downtown Hospital (New York, New York) over a 10-year period.
RESULTS: Of 79 cases reviewed, 43% occurred in patients with underlying biliary disease. The most common symptoms were fever, chills, and right upper quadrant pain or tenderness. The most common laboratory abnormalities were an elevated white blood cell count (in 68% of cases), temperature >or=38.1 degrees C (90%), a low albumin level (70.2%), and an elevated alkaline phosphatase level (67%). Seventy percent of the abscesses were in the right lobe, and 77% were solitary. Klebsiella pneumoniae was identified in 41% of cases in which a pathogen was recovered. Eighteen (50%) of 36 Asian patients had K. pneumoniae isolated, in contrast to 6 (27.3%) of 22 non-Asian patients (not statistically significant). Fifty-six percent of cases involved treatment with percutaneous drainage. Although prior reports noted mortality of 11%-31%, we observed only 2 deaths (mortality, 2.5%).
CONCLUSIONS: The data suggest that K. pneumoniae has become the predominant etiology of pyogenic liver abscess and that mortality from this disease has decreased substantially.

PMID 15578367
 
  1. 細菌:
  1. 混合感染の場合はE.coli などの腸内細菌科とBacteroides 属などの嫌気性菌が起因菌となる。
  1. 単独感染の場合はKlebsiella 属または、緑色連鎖球菌が起因菌となる。
  1. 連鎖球菌属が原因の場合はグラム陰性桿菌や嫌気性菌との混合感染である可能性がある。
  1. 連鎖球菌属やブドウ球菌が原因の場合には、肝膿瘍は血行性の転移巣である可能性がある。
  1. 近年、台湾を中心に市中感染の起因菌として病原性が強いK.pneumoniae の症例が増加しており注目されている。髄膜炎や眼内炎など播種性病変を認めることがある。
  1. 原虫:
  1. Entamoeba histolytica が病原微生物となる。
  1. 真菌:
  1. Candida spp.が起因菌となる。真菌性では、胆管病変や腹膜病変に関連しているというよりも血行性播種が原因であることがほとんどであり、カンジダによる中心静脈留置カテーテル関連血流感染症などの転移病巣として発症する。
問診・診察のポイント  
  1. 発熱、倦怠感、食欲不振、吐気・嘔吐、体重減少など非特異的症状が2週~1カ月ほど持続していることを確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中村造 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:上原由紀 : 研究費・助成金など(花王(株))[2024年]

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