今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 大川清孝 大阪市立十三市民病院 顧問/淀川キリスト教病院 消化器内科顧問

監修: 上村直実 国立健康危機管理研究機構(JIHS)国立国府台医療センター/東京医科大学消化器内視鏡センター

著者校正/監修レビュー済:2025/04/23
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、「食中毒の最近の動向」について最新データを加えて修正した。
  1. 2020年に新型コロナウイルスが蔓延し、その対策により食中毒の発生件数や発生数が抑制され、2022年まで低い状態が維持されていた。2023年には新型コロナウイルスの影響がほぼなくなり、食中毒の発生状況は2019年のレベルにまで戻っている。

概要・推奨   

  1. 食中毒の原因としてウイルスではノロウイルスが、細菌ではウェルシュ菌、カンピロバクターや病原性大腸菌が多い。
  1. 大規模食中毒の原因として多い病原微生物はサルモネラ、ウェルシュ菌、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、ノロウイルスである。
  1. 食中毒の原因物質として1990年代後半まではサルモネラと腸炎ビブリオが最も多かったが、2000年以降はノロウイルスとカンピロバクターが多くなった。
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  1. Vibrio vulnificus 感染症は肝硬変患者では致死的な食中毒であり、早期治療が必要である(推奨度2)

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 食中毒とは飲食物の摂取に際し有害物質が体内に入ることにより引き起こされる疾患である[1]
  1. 同一の給食を食べた集団、同一の食物を食べた集団など特定の集団に発生した食中毒を集団食中毒という。
  1. 食中毒患者を診断し、またはその死体を検案した医師は、ただちに(食中毒の場合は24時間以内)最寄りの保健所長にその旨を届けなければならない(食品衛生法第58条)。
  1. その報告に基づいて保健所が調査を行い、原因施設や原因食品・病因物質が特定されると、営業停止や原因食品の回収、衛生指導などの対策が行われる。
  1. 保健所長はその調査結果を都道府県知事に、都道府県知事は厚生労働大臣にこれらを報告する。厚生労働省はこれらの情報を収集・分析し、ホームページ上で食中毒統計として公表している。
  1. 感染性胃腸炎の多くが食中毒に該当するが、単発例は届け出ず、同じ物を食べた複数者が発症した場合に集団食中毒の疑いとして通報されているのが現状である。個々の医療機関では集団発生かどうかの判断が困難な場合も多い。
  1. そのため、食中毒統計は実数とはかけ離れて少ないが、大規模食中毒についてはほとんどが含まれている。それらは行政が介入して調査しており、強固なエビデンスが得られた情報である。
  1. 原因物質の90%は細菌とウイルスであるが、それ以外に寄生虫、自然毒、化学物質などがある。
 
食中毒の分類

出典

著者提供
 
  1. 病原微生物による食中毒は感染型と毒素型に分けられ、感染型食中毒と感染性腸炎は同一である。
  1. 一方、毒素型食中毒は食品中で産生された毒素による食中毒であり、感染性腸炎とはいえない。
  1. 原因食品の最多は魚介類で全体の1/3を占め、肉類およびその加工品、野菜類およびその加工品の順に続いている。
  1. 食毒発生の施設では、飲食店が最多で仕出し屋、事業場、旅館、学校が多く、家庭や病院での事例は少ない。
 
  1. 食中毒の原因としてウイルスではノロウイルスが、細菌ではウェルシュ菌とカンピロバクターが多い。
  1. まとめ:2018年度の食中毒統計の患者数は、ノロウイルス、ウェルシュ菌、カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌、ブドウ球菌、その他の病原性大腸菌、腸炎ビブリオの順に多かった[2]。しかし、食中毒統計は届出のあったもので、本当の患者数を反映していない。例えばカンピロバクター腸炎の届出患者数は1,995人であるが実際は約600万人と推測されている[3]
  1. 結論:食中毒の原因としてノロウイルスとウェルシュ菌、カンピロバクターが多い。
 
  1. 食中毒の原因物質として1990年代後半まではサルモネラと腸炎ビブリオが最も多かったが、2000年以降はノロウイルスとカンピロバクターが多くなった。(参考文献:[2]
  1. まとめ:腸炎ビブリオ腸炎は、汚染菌数の規制や生食用魚介類の洗浄水の規制、10℃以下の低温保存が義務づけられたため減少した。サルモネラ腸炎は鶏卵の低温保存、期限表示、農場での衛生管理の普及により減少した。2000年以降はノロウイルス腸炎とカンピロバクター腸炎が多くなった。
  1. 結論:食中毒の原因物質として1990年代後半まではサルモネラと腸炎ビブリオが最も多かった。
 
  1. 大規模食中毒の原因として多い病原微生物はサルモネラ、ウェルシュ菌、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、ノロウイルスである。
  1. まとめ:大規模食中毒に目安とされる500人以上の細菌性食中毒事件は1998~2010年に29件発生している。起因菌はサルモネラ9件、ウェルシュ菌7件、腸炎ビブリオ5件、病原性大腸菌5件、ブドウ球菌2件、セレウス菌1件である[3]
  1. 結論:大規模食中毒の原因として多い細菌はサルモネラ、ウェルシュ菌、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌である。
問診・診察のポイント  
  1. 問診では、海外渡航歴、汚染された食物摂取の可能性、集団発生の可能性について聴取する。

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文献 

相楽裕子:腸管感染症とは? 腸管感染症Q &A 相楽裕子,編. 東京:医薬ジャーナル社; 2005.p.10-2.
相楽裕子:感染性下痢の疫学的な見方―季節的、地域的観点から. 日医雑誌2010;139(5):1023-28.
横田恭子,古川恵一:感染性下痢の便の特徴、性状から分かること. 日医雑誌2010;139(5):1029-32..
大川清孝:感染性腸炎総論 感染性腸炎 A to Z.第2版,大川清孝,清水誠治,編.医学書院,2012;2-11.
神谷 亨:成人の感染性下痢の診断と治療. 日医雑誌2010;139(5):1037-42..
遠藤和郎:感染性下痢の治療の原則. 日医雑誌2010;139(5):1033-36.
Cimolai N, Carter JE, Morrison BJ, Anderson JD.
Risk factors for the progression of Escherichia coli O157:H7 enteritis to hemolytic-uremic syndrome.
J Pediatr. 1990 Apr;116(4):589-92. doi: 10.1016/s0022-3476(05)81609-9.
Abstract/Text
PMID 2181099
Salazar-Lindo E, Sack RB, Chea-Woo E, Kay BA, Piscoya ZA, Leon-Barua R, Yi A.
Early treatment with erythromycin of Campylobacter jejuni-associated dysentery in children.
J Pediatr. 1986 Aug;109(2):355-60. doi: 10.1016/s0022-3476(86)80404-8.
Abstract/Text To evaluate the efficacy of early treatment with erythromycin on the duration of fecal excretion and of diarrhea associated with Campylobacter jejuni, 170 patients, age 3 to 60 months, were randomly assigned in a double-blind fashion to receive either erythromycin ethyl succinate or placebo immediately after being seen at Cayetano Heredia Hospital because of acute dysentery. The groups' pretreatment characteristics were comparable. Of the 30 patients with stools positive for C. jejuni, 12 were in the placebo group and 16 in the treatment group. After 2 days of treatment, none of the patients in the placebo group and 36% of those in the erythromycin group had normal stools (P less than 0.05). After 5 days of treatment, 50% of the patients in the placebo group and 93% of those in the erythromycin group had normal stools (P less than 0.02). Fecal excretion of the organism continued significantly longer in the placebo group (P less than 0.01). There were no treatment failures in the treatment group compared with five (42%) in the placebo group (P less than 0.01). Thus, early administration of erythromycin significantly reduced the duration of both diarrhea and fecal excretion of the organism in infants and children with acute dysentery associated with C. jejuni.

PMID 3488385
坂本光男:宿主の易感染性要因は? 腸管感染症Q &A.相楽裕子,編. 東京:医薬ジャーナル社; 2005 p.47-8.
左近直美:感染性胃腸炎の発生動向の変化、臨床と微生物、voL49 No2、近代出版、2022:137-143.
厚生労働省:食中毒統計資料(2023年1月閲覧).
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
大川清孝 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:上村直実 : 講演料(武田薬品工業(株),カイゲンファーマ(株))[2025年]

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