今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 日浅陽一1) 愛媛大学大学院 消化器・内分泌・代謝内科学(第三内科)

著者: 徳本良雄2) 愛媛大学大学院 消化器・内分泌・代謝内科学(第三内科)/愛媛大学医学部附属病院 肝疾患診療相談センター

監修: 持田智 埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科

著者校正済:2024/12/11
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 田中篤:薬物性肝障害スコアリングシステム―RECAM-J 2023―. 肝臓. 65:482-490,2024.
  1. 伊藤隆徳、竹内康人、水野和幸、他:免疫チェックポイント阻害剤による肝障害の診断指針. 肝臓. 65:268-276,2024.
  1. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性肝障害 令和元年9月改定
  1. 欧州肝臓学会:EASL Clinical Practice Guidelines: Drug-induced liver injury. Journal of Hepatology. 70:1222-1261,2019.
  1. 国際医学団体協議会:Drug-Induced Liver Injury (DILI). Current status and future directions for drug development and the post-market setting. A consensus by a CIOMS Working Group. Geneva: Council for International Organizations of Medical Sciences (CIOMS), 2020.
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 海外で発表された新しい薬物性肝障害のスコアリング(RECAM)を基盤に、わが国の現状に沿った新しいスコアリングシステム(RECAM-J 2023)が提唱されたため、同スコアリングの項目に合わせて内容を整理した。
  1. RECAM-J 2023を用いて薬物性肝障害の可能性を評価する。あくまで被疑薬が肝胆道系酵素上昇の原因となる可能性を評価するためのスコアリングシステムであり、診断基準ではないことを理解しておく。
  1. 免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による肝障害や免疫抑制療法中のB型肝炎ウイルスの再活性化など、これまでと異なる発症機序の薬物性肝障害が増加しているため記述を追加した。
  1. ICIによる肝障害では、副腎皮質ステロイドの奏効率が異なるため、R値による病型分類をまず行う。また、CTCAE v5.0による有害事象の重症度を判定する。多くの場合はICI中止に加えて、副腎皮質ステロイドの導入を要する。
  1. 症例として他臓器の免疫関連有害事象治療中に発症した、ICIによるステロイド薬治療抵抗性の肝障害例を追記した。詳細は本文を参照されたい。

概要・推奨   

  1. 薬物服用後に食思不振、倦怠感、発熱、黄疸などの急性肝障害の症状が起こり、他の疾患が除外された場合に疑われる疾患である。
  1. 薬物誘発性の脂肪肝や腫瘍など薬物による肝病変を総称して薬物性肝障害とよぶことが多い。
  1. 免疫抑制療法・化学療法中のB型肝炎ウイルス再活性化、HHV-6などの再活性化による薬剤性過敏症症候群(DIHS)、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による肝障害など、特定の表現型を呈する特殊型の薬物性肝障害があることを知っておく。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
日浅陽一 : 講演料(ギリアド・サイエンシズ(株),あすか製薬(株),アストラゼネカ(株),大正製薬(株),大塚製薬(株))[2024年]
徳本良雄 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:持田智 : 講演料(ギリアド・サイエンシズ(株),アッヴィ合同会社,あすか製薬(株),東レ(株),大塚製薬(株),エーザイ(株))[2024年]

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