今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 須田剛生 北海道大学大学院医学研究科 内科学講座消化器内科学分野

監修: 持田智 埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科

著者校正/監修レビュー済:2023/05/24
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、概要・推奨欄を作成した。
  1. また、HDVの疫学について更新した。
  1. 世界には約3億人のHBVキャリアーが存在すると推定されている。1980年代、世界の各地域のHBVキャリアーを対象としたHD抗体を用いた調査報告を集計すると、HD抗体の陽性率は約5%であったことから、世界のデルタ肝炎(D型肝炎)感染者は約1,500万人と推定されている。HDV抗体陽性者は世界中に存在するものの、HBV感染者の分布と同一ではなく、モンゴル、モルドバ共和国、そして西アフリカおよび中央アフリカ諸国の一部でその頻度は高いことが報告されている(Stockdale AJ, et al. J Hepatol. 2020 Sep;73(3):523-532.)。
  1. HDV遺伝子型は、大きくは8種類に分類される。ジェノタイプ1は世界中で見られ、主に北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、中東に分布する。ジェノタイプ2は主にアジア、東南アジア、ロシア、ジェノタイプ3は主に南アメリカ、ジェノタイプ4は主に日本と台湾に分布する。ジェノタイプ5-8は主にアフリカに分布する(Koh C, et al. Gastroenterology. 2019 Jan;156(2):461-476.e1.)。

概要・推奨   

  1. D型肝炎ウイルス(HDV)は、B型肝炎ウイルス(HBV)をヘルパーウイルスとして増殖する特異な肝炎ウイルスである。
  1. 欧米に比してわが国ではHDVによるD型肝炎は低頻度で、HBs抗原陽性者の0.6%と報告されている。
  1. B型肝炎ウイルス感染患者において、HBV-DNA量が低値(4.0 log copy/mL以下)であり、更に他の肝障害を生じる疾患(脂肪肝、アルコール性肝障害等)を除外しても、原因不明の肝機能障害が持続している場合に、HDV共感染を鑑別診断の1つとして考える。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. D型肝炎ウイルス(HDV)は、B型肝炎ウイルス(HBV)をヘルパーウイルスとして増殖する特異な肝炎ウイルスである。
 
D型肝炎ウイルスデルタ抗原のシェーマ

デルタ抗原(HD-Ag)は感染性病原体の構成成分であり、この粒子は複製にHBVを必要とする。HDVのゲノムは約1.7kbの1本鎖、環状のアンチセンスRNAから構成されている。デルタ抗原の大きさは35-37nmと非常に小さく、その表面はHBs抗原で被われている。HDVは、それ自身では複製できずHBVをヘルパーウイルスとして増殖する不完全ウイルスであることから、HDVウイルスキャリアはHBs抗原陽性でなければならない。

 
  1. HDVの増殖にはHBVの補助が必要なため、必ずHDVキャリアーはHBs抗原陽性でなければならない。
  1. 欧米に比してわが国ではHDVによるD型肝炎は低頻度で、HBs抗原陽性者の0.6%と報告されている[1]
  1. HDV感染は、HDV単独では感染が成立しないことから、その感染様式は、①HBV非感染者に対するHBVとHDVの同時感染(coinfection)か、②HBV持続感染者に対するHDVの重複感染(superinfection)のいずれかに大別される[2]
 
D型肝炎(HDV、HBV同時感染・重複感染)の血清数値、臨床症状、予後

HDV感染は、HDV単独では感染が成立しないことから、その感染様式は、①HBV非感染渚に対するHBVとHDVの同時感染(coinfection)か、②HBV持続感染者に対するHDVの重複感染(superinfection)のいずれかに大別される。
4-1.同時感染(coinfection) 
HBV非感染者に対するHBVとHDVの同時感染である。成人例ではHBV感染は慢性化せず通常一過性で経過するためにHDV感染も一過性感染として終息する。同時感染の特徴としてALT値の上昇ピークが2峰性を形成するといわれており、初めのピークはHBV増殖、遅れてのピークがHDV増殖に相当する。各種ウイルスマーカーは、まずHBV-DNA、HBs抗原の順に検出され、次にHDV-RNA、HD-Agが検出される。ALT上昇に伴ってIgM-HBc抗体およびIgM-HD抗体が陽性となるが、IgM-HD抗体の出現時期は、肝炎発症から数日から数週間遅れる。HD-Agの消失の後、HD抗体は陽性となるも低力価のことが多い。
4-2.重複感染(superinfection) 
HBVキャリアーに対するHDVの感染である。HBV感染が持統するため、HDV感染も慢性化する可能性が高い。ALT値の上昇パターンは、1峰性である。各種ウイルスマーカーは、発症以前からのHBV血症を反映するHBsAg陽性、HBV-DNA陽性に加えて、ALT値の上昇前にHDV-RNA、HDAgが検出される。HBV持続感染者であることから、HBc抗体は高力価で、IgM-HBc抗体は陰性である。ALT上昇後比較的早期にIgM-HD抗体は持続陽性となる。HDV持続感染に移行する場合は、ウイルス血症は持続し、IgM-HD抗体も陰性化せずに陽性となり、HD抗体も力価が上昇していく。
ALT:血中アラニンアミノトランスフェラーゼ値、anti-HBc :B型肝炎コア抗原抗体、anti-HDV:D型肝炎ウイルス抗体、HBsAg:B型肝炎表面抗原、HBV:B型肝炎ウイルス、HDV:D型肝炎ウイルス、IgM:免疫グロブリンM

出典

Feldman: Sleisenger and Fordtran's Gastrointestinal and Liver Disease, 9th ed., Saunders, 2010
 
  1. E型肝炎ウイルス(HEV)は、インド、ミャンマーなどで水系に発生する伝染性肝炎の報告がなされ、E型肝炎と命名された[3]。日本では2000年以後、北海道、東北を中心とした東日本に40~60歳の男性を中心とするE型肝炎感染例が多発し注目されるようになった。感染症法の4類感染症に分類され、診断した医師は、ただちに最寄の保健所に届け出る必要がある。
  1. E型肝炎の一般的臨床像はA型肝炎と近似し、一過性感染のみで通常慢性化することはない。
  1. 一方で、臓器移植後など免疫抑制下ではキャリア化し、慢性肝炎にもなり得る。
  1. EBウイルス(Epstein Barr virus :EBV)は一般に唾液を介し、幼少期から思春期にかけて感染し、Bリンパ球内で増殖する。NK細胞、Tリンパ球などにより制御される。わが国では20歳代ですでに90%以上の人が抗体を保有している。
  1. EBV肝炎は、20歳前後の若年に発症することが多く、その大部分は重症化せずに経過していくが、劇症化の報告もみられる 。
  1. サイトメガロウイルス(cytomegalovirus 、CMV)は、易感染性患者において重篤なCMV感染症を起こし得る。わが国における抗体保有率は90%といわれていたが、近年抗体保有率の低下が示唆されている。それに伴い、健康成人でのCMV肝炎の報告もなされており、CMV肝炎はEBV肝炎に比し有意に年齢が高く30歳前後が多い。
 
  1. 世界のHDV感染の疫学(推奨度1)
  1. 世界には約3億人のHBVキャリアーが存在すると推定されている。1980年代、世界の各地域のHBVキャリアーを対象としたHD抗体を用いた調査報告を集計すると、HD抗体の陽性率は約5%であったことから、世界のデルタ肝炎(D型肝炎)感染者は約1,500万人と推定されている[5]
  1. HDV抗体陽性者は世界中に存在するものの、HBV感染者の分布と同一ではなく、モンゴル、モルドバ共和国、そして西アフリカおよび中央アフリカ諸国の一部でその頻度は高いことが報告されている[5]
 
  1. 日本のHDV感染の疫学(推奨度1)
  1. わが国では、1989年に矢野らが全国の国立病院31施設を対象に1,306例のHBVキャリアーでのHD抗体陽性者を検討したところ8例のみ陽性で、その頻度は0.61%と低い値であったことから、わが国のデルタ肝炎感染者の頻度は諸外国に比して低いと考えられるようになった[6]。しかしながら、この8例中3例が長崎県の離島、五島出身者であったことから、Iwanamiらは、上五島のHBVキャリアー507例を対象にHD抗体を測定し42人(8.3%)が抗体陽性であったことを報告した[1]。また、Sakugawaらは、宮古島のHBVキャリアー195例を対象にHDV抗体の測定を行い、内46例(23.6%)がHD抗体陽性であったことを報告した[7]。わが国で唯一、HDVの感染頻度が高いことが確認されたこの2つの地域は、ともにHBs抗原陽性率が5%以上の離島である。この現象は、HDV集積地域として有名なイタリア・サルディーニャ島と類似しており、これらの報告はHBV持続感染者が多い閉鎖的な環境である離島などでは、HDVが一度侵入すると感染が容易に拡大する可能性を示している[8]
 
  1. 最近のHDV感染の動向(推奨度1)
  1. 1980~2000年の期間のHDV感染の疫学動向としては、イタリアでのHBVキャリアーにおけるHD抗体陽性率は1987年23%、92年14.4%、97年8.3%と減少しており、30-50歳の若年者で、その減少が顕著であることが報告されている[9]。同様の減少は、台湾、スペイン、トルコからも報告されており、その原因として、HBワクチン効果、医療社会環境の改善、薬物常用者への教育効果などが考えられ、このままの推移をたどればデルタ肝炎感染者は時間とともに減少するものと予想された[10]
  1. しかし2000年以後、ロンドン、ドイツ、フランスでは、必ずしもHDV感染者は減少しておらず、一部増加している地域があることも報告されている[10]。その原因として高罹患地域からの移民者の移住が関係していると考察され、これらの地域では彼らが新たな感染源となるのではないということことが危惧されるようになっている[10]
 
  1. HDV遺伝子型(推奨度1)
  1. HDV遺伝子型は、大きくは以下の8種類に分類される[11]
  1. ジェノタイプ1は世界中で見られ、主に北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、中東に分布する。
  1. ジェノタイプ2は主にアジア、東南アジア、ロシアに分布する。
  1. ジェノタイプ3は主に南アメリカに分布する。
  1. ジェノタイプ4は主に日本と台湾に分布する。
  1. ジェノタイプ5-8は主にアフリカに分布する。
 
  1. 日本のHEV感染の疫学(推奨度1)
  1. わが国のE型肝炎の特徴は①HEV 感染は全国(北海道‐沖縄)に浸透している②感染者の多くは中高年(平均50歳)で、男性優位(約3.5 対1)である③土着HEV 3型と4型である④年齢と肝炎重症度との間に相関ある⑤genotype 4による感染のほうが顕性化率も重症化率も高い⑥発生時期に季節性はない⑦約30%は動物由来食感染、8%は輸入感染、2%は輸血を介する感染である⑧過半の症例(約60%)においては感染経路が不明である――ことが挙げられる[12]。特に遺伝子型4型が3型よりも重症化の傾向が強いことは他の報告とも合致しており、現在では4型と重症化の関連については異論がないものと思われる[13][14]
問診・診察のポイント  
  1. HDV感染の問診、診断のポイント:HBs抗原陽性者のなかから診断を行う。輸血歴、血液製剤使用歴、血友病患者、透析患者、薬物常用者でHDV感染者の頻度が高いと報告されている。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
須田剛生 : 研究費・助成金など(ギリアド・サイエンシズ(株))[2024年]
監修:持田智 : 講演料(ギリアド・サイエンシズ(株),アッヴィ合同会社,あすか製薬(株),東レ(株),大塚製薬(株),エーザイ(株))[2024年]

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