今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 清水 渉 新東京病院 副院長/不整脈疾患診療特別顧問

監修: 今井靖 自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門・内科学講座循環器内科学部門

著者校正/監修レビュー済:2025/03/26
参考ガイドライン:
  1. 日本循環器学会/日本不整脈心電学会:2024年JCS/JHRS ガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療
  1. 日本循環器学会/日本不整脈心電学会:2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン
  1. 日本循環器学会/日本不整脈心電学会:2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン
  1. 日本循環器学会/日本不整脈心電学会:不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)
  1. 日本循環器学会:遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017年改訂版)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『2024年JCS/JHRS ガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療』では、Brugada症候群に対するアブレーションがクラスIIaに格上げになった。

概要・推奨   

  1. 心室細動(VF・心肺停止既往のあるBrugada症候群患者は再発率が高く、植込み型除細動器(ICD)のクラスI(絶対)適応である(推奨度1)
  1. 失神既往例、男性、自然発生Type 1心電図(常にType 1心電図)を認めるBrugada症候群患者は、VF発生のリスクが高く予後不良であり、これらは心事故の独立した予後予測因子である(推奨度1)
  1. 日本人のBrugada症候群発端者では、VF・心肺停止既往に加えて、45歳未満の突然死の家族歴、後下壁誘導心電図の早期再分極がVF発生の予後予測因子である(推奨度2)
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  1. 遺伝子確率によりNa+チャネル遺伝子であるSCN5Aに病的変異を認める患者では、変異を認めない患者に比べVF発生リスクが有意に高くなる。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. Brugada症候群とは、12誘導心電図のV1またはV2(V3)誘導における特徴的なST上昇と心室細動(VF)を主徴とする、明らかな器質的心疾患を認めない症候群である[1][2][3][4][5][6][7]
 
Brugada症候群(特発性心室細動)

a:12誘導心電図 V2誘導でtype 1心電図(coved型ST上昇)を呈する。
b:心室細動

出典

著者提供
 
Brugada症候群の心電図(Wildeの分類)

参考文献:
Wilde AA, Antzelevitch C, Borggrefe M, Brugada J, Brugada R, Brugada P, Corrado D, Hauer RN, Kass RS, Nademanee K, Priori SG, Towbin JA; Study Group on the Molecular Basis of Arrhythmias of the European Society of Cardiology. Proposed diagnostic criteria for the Brugada syndrome: consensus report. Circulation. 2002 Nov 5;106(19):2514-9. doi: 10.1161/01.cir.0000034169.45752.4a. PMID: 12417552.(Figure 1)

出典

編集部作成
 
  1. 男性で頻度が高く(欧米8:1、日本10:1)、VF初発の平均年齢は39~48歳である。
  1. 欧米に比べ、日本を含めたアジア地域で頻度が高いという人種差がある[4][5]
  1. 日本人の中高年男性が夜間に突然死する「ポックリ病」の少なくとも一部は、Brugada症候群に起因すると考えられている。
  1. 本邦の健診ベースの報告で、0.1mV以上のcoved型ST上昇を認める頻度は0.05~0.16%、0.2 mV以上のcoved型ST上昇を認める頻度は0.15%と報告されている。
  1. Brugada症候群では、心房細動の頻度が高く[8]、この場合心房細動に対する薬物治療としてキニジンとベプリコール以外のNaチャネル遮断薬は禁忌である(治療: >詳細情報 薬物治療 参照)。
  1. 一部の患者では遺伝子変異を認めるが、病的遺伝子は、Brugada症候群患者の11~28%で同定されるNaチャネル遺伝子のSCN5Aのみと考えられている。
 
Brugada症候群の原因遺伝子とイオンチャネル機能

出典

清水渉:8 識る イオンチャネル病. 特集 遺伝性心筋疾患の現状と展望を識る.Heart View 20(2):63-70, 2016, 2
 
  1. Brugada症候群では15~40の患者で遺伝子変異を認め、19個の原因遺伝子が同定されている[9][10][11](S)
  1. まとめ:Brugada症候群では15~40%の患者で遺伝子変異を認める[9][10]
  1. 代表事例:Kapplingerらは不整脈の遺伝子診断で世界を代表する9カ所の施設におけるBrugada症候群の遺伝子診断率を検討した。Brugada症候群患者2,111例でNa+チャネル遺伝子であるSCN5Aのスクリーニングを施行したところ、遺伝子診断率は11~28%であった。また、L型Ca2+チャネル遺伝子であるCACNA1CCACNB2bや、その他の原因遺伝子の変異の報告はあるが頻度はいずれもまれである。
  1. 結論:Brugada症候群では15~40%の患者で遺伝子変異を認めるが、病的遺伝子はNaチャネル遺伝子のSCN5Aのみと考えられている[12]
問診・診察のポイント  
  1. 失神、眼前暗黒感、夜間苦悶様呼吸などがあれば、誘因・状況を詳しく聞く。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
清水 渉 : 講演料(第一三共(株))[2025年]
監修:今井靖 : 講演料(第一三共(株)),原稿料((株)南江堂)[2025年]

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Brugada(ブルガダ)症候群

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