今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 手塚優 岩手医科大学薬学部病態薬理学講座

監修: 中原 保裕 (有)ファーマシューティカルケア研究所

著者校正/監修レビュー済:2024/03/21
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. エゼチミブとビタバスタチンが配合されたリバセブ配合錠について追記した。

概要・推奨   

  1. LDLコレステロール(LDL-C血症に効果的な薬剤なのか、高トリグリセライド(TG血症に効果的な薬剤なのかを認識しておくことが重要である。
  1. LDL-Cを酸化させないように、その値を下げる効果は小さいが、抗酸化作用のある薬剤を併用することは重要である。
  1. 投与開始後、検査値が改善してきても、投与を開始してから3カ月ほど経過した時点から再び値が上昇するケースがあるので、そのようなケースでは食事指導の実施や薬剤の変更を考慮することは重要である。
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総論 

まとめ  
  1. 脂質異常症の治療薬は、大きくHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系)、陰イオン交換樹脂(レジン)、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、フィブラート系薬、ニコチン酸誘導体、プロブコール、イコサペント酸エチル(EPA)、PCSK9阻害薬、ミクロソームトリグリセライド転送蛋白(MTP)阻害薬に分類される。
  1. 一次予防では、まず生活習慣の改善(食事療法、運動療法、禁煙など)を3~6カ月行い、LDLコレステロール(LDL-C)の改善および他の危険因子の改善を試みる。それでもLDL-Cが目標値に達しない場合は、他のリスクも勘案したうえで(すなわち重症度を考えたうえで)薬物療法を選択する。高LDL-C血症治療の第1選択薬はスタチンだが、スタチンが使用しにくい状況(妊婦、妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性、小児など)ではレジンや小腸コレステロールトランスポーター阻害薬なども第1選択薬となる。
  1. 二次予防の場合(冠動脈疾患の既往のある患者)には生活習慣の改善を指導するとともに、スタチンを中心とした薬物療法を早急に開始する。
  1. 家族性高コレステロール血症には、スタチンを最大耐用量まで増量した後、エゼチミブ、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン、プロブコールが用いられる(成人家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2022)。
  1. LDL-Cに関しては、その値を最も下げるのがPCSK9阻害薬で、ほかにMTP阻害薬やスタチンがある。次いで、中等量下げるのがレジン、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬である。少量下げるのが、フィブラート系薬、ニコチン酸誘導体、プロブコールである。
  1. トリグリセライド(TG)に関しては、TGの値をもっとも下げるのがフィブラート系薬である。次いで、中等量下げるのがニコチン酸誘導体、少量下げるのがスタチン系、小腸コレステロール吸収阻害薬、EPAである。
  1. HDLコレステロール(HDL-C)に関しては、その値を中等度上昇させるのが、フィブラート系薬である。次いで、スタチン、レジン、小腸コレステロール吸収阻害薬、ニコチン酸誘導体が少量上昇させる。プロブコールは逆に中等量下げることが知られている。
  1. LDL-Cのみ高い状態ではスタチンが第1選択となり、TGのみ高い場合にはフィブラートが第1選択となる。また、LDL-CとTGが共に高い場合には、スタチンが第1選択となる。
  1. それぞれの薬剤には、注意すべき副作用がある。スタチンの投与時は横紋筋融解症や消化管症状、肝機能傷害などの副作用に注意することが必要である。同様に、レジンの投与中は消化器症状、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬の投与中は消化器症状、CK上昇、肝機能障害、フィブラートの投与中は横紋筋融解症や肝機能障害、ニコチンの投与中は顔面紅潮や頭痛、プロブコールの投与中はQT延長や消化器症状、EPAの投与中は出血傾向や発赤にそれぞれ注意を要する。
 
併用療法:
  1. スタチンとレジンの併用、スタチンとフィブラート系薬剤の併用、プロブコールとニコチン酸誘導体の併用、レジンとニコチン酸誘導体の併用、スタチンと小腸コレステロールトランスポーター阻害薬の併用が脂質低下に効果があることを示す研究がある。
  1. ただし、スタチンとフィブラート系薬剤の併用により横紋筋融解症のリスクが上昇するとの報告もあるため注意が必要である。特に腎機能障害例では併用投与に注意する。
  1. 家族性高コレステロール血症の場合はスタチンにPCSK9阻害薬やMTP阻害薬を併用することが、最近用いられている方法である。
 
脂質異常症の治療薬の作用点

出典

中原保裕:薬が効くしくみ.ナツメ社、2013 p133

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
手塚優 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:中原 保裕 : 特に申告事項無し[2025年]

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脂質異常症治療薬(薬理)

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