今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 井上郁夫 埼玉医科大学 内分泌・糖尿病内科

監修: 野田光彦 国際医療福祉大学市川病院 糖尿病・代謝・内分泌内科

著者校正/監修レビュー済:2025/01/29
参考ガイドライン:
  1. 日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』発刊に伴いレビューを行った。
  1. 脂質異常症診断基準に随時TG値を追加・設定
  1. 冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞を合わせた動脈硬化性疾患をエンドポイントとした久山町研究スコアを採用
  1. 治療に関するステートメントを更新

概要・推奨   

  1. 0.6%/年以上の冠動脈疾患のリスクがある患者が高LDLコレステロール(LDL-C)血症を呈している場合には、スタチン系薬剤を投与することが強く勧められる。リスクがそれ未満の患者では、LDL-C値と患者のリスクを併せて検討した上で治療の適応を決定することが勧められる(推奨度1)
  1. スタチン系薬剤によるLDL-C低下療法は脳梗塞予防に有用である(推奨度2)
  1. スタチン系薬剤の間の効果を比較した研究の結果、スタチン系薬剤間に心疾患による死亡率低下効果の差があるとのエビデンスは得られていない。このことより、動脈硬化症予防としてスタチン系薬剤にてLDL-Cを低下させる場合には、どのスタチン系薬剤を選んでもよい(推奨度1)
アカウントをお持ちの方はログイン
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧 にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧に

病態、疫学、診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 高LDLコレステロール(LDL-C)血症とは、血清中のLDL-Cが高値を示す病態であり、動脈硬化症の最も重要な危険因子の1つである。LDL-C値を低下させることで動脈硬化性疾患は有意に減少する。
  1. 日本人で総コレステロール(TC)値が220 mg/dL(LDL-C:140 mg/dL相当)を超えている頻度は男性で24%、女性で34%以上である(平成26年国民健康・栄養調査報告)。
  1. 高LDL-C血症の診断には、まず二次性の高LDL-C血症を除外する必要がある。
  1. 『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022』では、LDL-C値140 mg/dL以上を高LDL-C血症と規定している。ただし治療基準はこれとは別に定められている。
  1. 高LDL-C血症の治療目標値は、各患者が持つ動脈硬化性疾患の危険因子数により異なる。『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022』では、患者の今後10年間の冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞を合わせた動脈硬化性疾患の発症率により、低リスク群から高リスク群に分類している。動脈硬化性疾患の発症率は久山町研究スコアを用いて算定する。低リスク群はLDL-C 160 mg/dL、中リスク群は140 mg/dL、高リスク群は120 mg/dL、冠動脈疾患の既往は100 mg/dL未満を目標に治療を行う。
  1. ACC/AHAガイドラインは、スタチン系薬剤のみがエビデンスのある薬剤であるとの見解から、LDL-C低下率に基づいた治療指針である。しかしながら、患者のアドヒアランスを考慮すると、絶対的なLDL-Cの管理目標値を設定する方が実際的である。
病歴・診察のポイント  
  1. 他の動脈硬化危険因子の有無を確認する。主たる危険因子は、年齢、高血圧症、糖尿病、耐糖能異常、性別、喫煙、早発性冠動脈疾患の家族歴、低HDL-C血症、慢性腎不全、肥満である。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
井上郁夫 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:野田光彦 : 特に申告事項無し[2025年]

ページ上部に戻る

高LDLコレステロール血症

戻る