今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 井手久満 順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器科学

監修: 堀江重郎 順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器外科学

著者校正/監修レビュー済:2024/10/16
参考ガイドライン:
  1. 日本泌尿器科学会:前立腺癌診療ガイドライン 2023年版
  1. 日本泌尿器科学会:前立腺がん検診ガイドライン 2018年版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『前立腺癌診療ガイドライン 2023年版』の発行に伴いレビューを行った。
  1. MRI画像と超音波画像を融合させた上での前立腺標的部位に対するMRI標的生検(MRI-超音波融合画像ガイド下前立腺針生検)の有効性および安全性が示されたことから、2022年4月より保険収載となった旨を追記した。

概要・推奨   

  1. 前立腺癌罹患数は増加しているが、前立腺癌年齢調整死亡率は2000年以降低下している。
  1. 前立腺癌の危険因子として食事、肥満、喫煙、家族歴がある。
  1. 前立腺癌の治療では、病期診断やリスク評価がその後の治療法選択や予後予測に大きな影響を与える。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 前立腺癌は、前立腺辺縁領域より発生することが多く、病理組織学的には腺癌がほとんどである。前立腺特異抗原(prostate specific antigen、PSA)検査は前立腺癌の早期診断に有用であり、術後再発、再燃の評価や治療後の経過観察にも用いられる。
  1. 前立腺癌は典型的な高齢者の癌であり、年齢別罹患率および死亡率は年齢に伴って増加する。
  1. PSAの正常域は一般的に4.0 ng/mL以下とされているが、それ以下でも約20%程度の前立腺癌が存在しており、60歳以下ではPSAのカットオフ値を2.5 ng/mLまで下げることが推奨されている。
  1. PSA検査による前立腺癌検診で発見される癌では進行癌、転移癌の割合が低い。
  1. 肥満は悪性度の高い前立腺癌の発症と前立腺癌死のリスクを高める[1]
  1. 前立腺癌の骨転移は単純X線写真にて、骨硬化像を示すことが多い。
 
前立腺癌の多発骨転移

前立腺癌では多発骨転移を生じることが多い。椎体、骨盤、肋骨と広範囲に骨転移がみられる。

出典

著者提供
 
前立腺癌の多発骨転移

前立腺癌の骨転移の評価には骨シンチグラフィーが有用である。

出典

著者提供
問診・診察のポイント  
  1. 前立腺癌の家族歴は罹患リスクを2.4~5.6倍に高める。そのため、家族歴の聴取は重要である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
井手久満 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:堀江重郎 : 未申告[2024年]

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