今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 野口満 佐賀大学医学部泌尿器科講座

監修: 中川昌之 公益財団法人 慈愛会 今村総合病院 泌尿器科顧問

著者校正/監修レビュー済:2024/05/29
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った。
  1. 本疾患の外科的治療は、単一尿管か重複腎盂尿管で分類し、さらに症状の有無、膀胱尿管逆流、所属腎機能を踏まえて術式選択を行い、両疾患の治療方針は多く共通する。
  1. 有熱性尿路感染症では、グラム染色等で起炎菌を推定し、それに対応した抗菌薬加療を計2週間程度行う。

概要・推奨   

  1. 本疾患は、有熱性の尿路感染、尿失禁、腎尿路の異常が契機で診断される(推奨度2)
  1. 本疾患は、排尿時膀胱造影、膀胱鏡検査、腎シンチグラフィーは必須の検査である(推奨度1)
  1. グラム染色の結果でグラム陽性球菌なら腸球菌を想定しペニシリン系(アンピシリン)、グラム陰性桿菌で大腸菌想定であれば第1~3世代セフェム系、緑膿菌想定であればセフタジジムを投与します(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 先天性の膀胱尿管接合部異常で、胎生期の尿管芽および中腎管の分化・消退過程での異常による。
  1. 発症頻度には性差があり、両疾患とも女児に多く男児の3~7倍である。
  1. 尿管瘤では、左側が60%で右側より頻度が高い。
  1. 両疾患とも単一腎盂尿管で発生するもの、重複腎盂尿管で発生するものがある。
  1. 原発性膀胱尿管逆流症や腎盂尿管移行部狭窄症と違い、自然軽快・治癒は望めない。
  1. 尿管瘤では、完全重複尿管の症例(疾患の所属尿管は上半腎由来)であることが70~80%と多く、異所性尿管では、単一腎盂尿管が多い。
 
完全重複尿管での尿管瘤

左腎は完全重複腎盂尿管であり、上半腎由来の尿管が膀胱内尿管瘤を呈している。

 
  1. 異所性尿管では発症側に左右差はなく、10%程度は両側性である。
  1. 異所性尿管は膀胱頚部や尿道への尿路への異所開口と、精路、腟、腸管になど尿路外開口がある。
 
尿管異所開口の部位

尿路のほか、腸管、腟、子宮、精路に尿管が異所開口することがある。
a:女性
b:男性

 
  1. 尿管瘤は尿管下端が膀胱粘膜と排尿筋との間で嚢状に拡張したものである。
  1. 尿管瘤は瘤が膀胱内に限局した膀胱内尿管瘤(intravesical type)と膀胱頚部・尿道へ伸展した異所性尿管瘤(extravesical type)に分類される。
 
尿管瘤の分類

瘤が膀胱内に限局した膀胱内尿管瘤(a:intravesical type)と膀胱頚部・尿道へ進展した異所性尿管瘤(b:extravesical type)がある。さらに、巨大尿管の膀胱壁外からの膀胱内への圧迫突出(c:偽性尿管瘤)は鑑別として重要である。
a:膀胱内尿管瘤
b:異所性尿管瘤
c:偽性尿管瘤

出典

著者提供
問診・診察のポイント  
  1. 尿路感染症による発熱、下腹部痛・下腹部腫瘤、排尿障害・尿失禁などが症状として挙げられる[1]
  1. 女児の異所性尿管では腟に開口することが多く、この場合dry timeのない持続した尿失禁を認めることから外陰部の観察で本疾患が想定される。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
野口満 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:中川昌之 : 特に申告事項無し[2024年]

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異所性尿管、尿管瘤

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